2007年01月21日

週刊フランス情報 15‐21 JANVIER 前編

フランスの出生率、2・00人の大台に
フランスだったら産めると思ったフランスの合計特殊出生率(女子1人が生涯に生む子供の数)が2006年に2の大台を超え、欧州で最高となる見通しであることが判明した。一方、平均寿命は女性が84歳、男性が77歳に伸び、社会の高齢化も進行した。フランス国立統計研究所(INSEE)がこのほど発表した。INSEEによると、06年に誕生したのは前年比2・9%増の約83万人。合計特殊出生率は2・005で、前年の1・94から大きく伸びた。欧州連合(EU)加盟国の合計特殊出生率の平均値は1・52で、日本は1・26(05年)。フランスの「子だくさん」の理由は、育児に関する税制上の優遇措置や託児所の設置など政府の積極的な少子化対策があると指摘される。週35時間労働制に代表される労働環境も子育てに有利に働いている。 
(1月19日、時事通信)

★それでも出生率が2・07人でようやく人口が維持できるレベルなのだ。フランスの06年度の出生数は83万人と81年以来の多さ。前年と比較しても2・9%増。やはり、政府のこれでもかといわんばかりの積極策が功を奏したようだ。とにかく育児手当の充実ぶりが凄い(コチラを参照)。日本政府なんて1・26という数字が出たにもかかわらず、何だか二の足を踏んでいる。うちは子供ひとりだが、月5000円でどうしろっちゅうんじゃい。
★フランスでは結婚件数が27万4400組と前年よりも8800組も減っていて、95年以来の少ない数。そして子供のほぼ半数が結婚していないカップルから誕生。フランスでは結婚しない同棲が多いが、PACSという法律で結婚した場合と同じ権利を保障されている。PACSERという動詞も使われているようで、飛行機で隣になったフランス人のカップルも、On a pacsé と言っていた。フランスでは結婚がもはや家族の形成を意味してはいない。日本の保守論者が聞いたら怒り狂いそうな話だ。
★フランスでは20-40歳の女性の人口は減っているが、働いている女性の出生率は03年45・3%→05年45・8%と増えている。注目すべき点は、働く女性が子供を産んでいるということだ。日本の政府内にも「女性は家庭に戻れ」と時代錯誤なことを言っている人もいるが、そういう保守的な考え方が今の世では逆に少子化を推し進めてしまうことが全くわかっていない。そういう人は家では何もせずにふんぞり返ってきたんだろうが、今の世代は、夫が家事や育児に消極的なほど、妻の出産意欲が低くなる傾向があるのだ。
★労働時間が短いことも子育てに有利に働くことは明らかだ。しかし日本の労働環境はそれに完全に逆行している。正社員は残業は当たり前って感じで、こき使われ、一方非正社員やフリーターは何の保障もないので、子育てどころか、結婚もままならない。
★朝日新聞(朝刊1月13日付)によると、中国本土から出産間近の妊婦が香港の病院に押し寄せ、地元香港の妊婦たちが十分なケアを受けられない事態になっているという。香港で生まれた子供には香港の永住権が与えられる上、「一人っ子政策」の抜け道にもなると、中国本土の富裕層を中心に口コミで広まっている。高度な医療技術も魅力のようだ。観光資格で香港に入り、病院に駆け込む例が多いという。子供がこの厳しい世界をサバイバルできるように、より良い条件を与えてやりたいというのは、万国共通の親の願いだろう。子供に二重国籍を取らせるとか、こういう国境を越える戦略は昔からよくある話だ。日本でも国の政策や教育が信用できないとなると国外脱出をはかる人々も増えてくるだろう。美しい国とか、国家の品格とか言っている前に、まずは住みよい国にすることだろう。そんなものはあとからついてくるのだ。
★ところで、今日(20日)日経新聞を読んでいたら、「出生率、40年に1・75可能」という見出しがあった。1・75という数字は、社会保障審議会とかいう厚労省の諮問機関が弾き出したもので、国民の持つ結婚や出産についての希望が満たされた場合だそうだ。若い世代にアンケートを取ったら、9割が結婚を希望し、平均で2人以上の子供が欲しいと答えた、だからその希望を満たしてやれば、1・75になるという結論。何か政府が積極策を打ち出したのかと思えば、こんな意味のない数字をわざわざ公表する神経を疑う。その希望を満たすのが難しいから問題なんでしょうが。フランスのデータの公表に対する反撃だったのかも。
★次のニュースも少子化につながる問題。でも「仕事と家庭の調和」と言われても、具体的にどんなことを言っているのかいまいちわからないですが。

■「ワーク・ライフ・バランスに不満」、日本が1位、少子化にも反映か
ワークライフバランス社会へ―個人が主役の働き方仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)に不満を持つ人の割合は世界24カ国のうちで日本が1番多く、それに対する改善を試みたことがない人の割合は同じく2位、それが少子化にも反映している可能性が高い−調査により、こんな結果が明らかになった。世界30カ国の調査会社による組織、インターナショナル・リサーチ・インスティチューツ(iris)による世界24カ国1万4千人を対象にした「仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する世界意識調査」の結果。調査結果によると、ワーク・ライフ・バランスについて「うまくとれている」という回答の割合が低かったり、「全く満足していない」という回答の割合が高い国は、日本、韓国、ギリシア、ポーランド、ドイツ、ロシア、スペインなど。これらは合計特殊出生率が1・3以下で少子化の傾向がある国々だ。そこで、仕事と家庭の調和と少子化には相関関係があるとみられる。日本の結果に着目すると、「ワーク・ライフ・バランスがうまくとれている」と感じている人の割合が15パーセントと24カ国中22番目と低く、「仕事と家庭の調和に全く満足していない」人の割合は16パーセントと24カ国中トップで、仕事と家庭の調和に不満を持つ人が多いことがわかる。
(1月16日、 ITmedia Biz.ID)

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posted by cyberbloom at 00:10 | パリ ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
いつも楽しく拝見しています。
フランスの出生率向上は育児手当よりも何よりも、
働く女性が思い切って産めることにあります。
それとシングルマザーでも世間の冷たい目はないので、
《できちゃった婚》などせずに、
女達は堂々と胸を張ってバンバン子どもを産む傾向もあります。
育児手当充実は失業者や不安定雇用者の子作りへの応援になります。
「ワークライフバランス」(=仕事と家庭の調和)は女が一人で頑張ることになってしまう仕事と家庭の「両立」とはちょっとは違うよと言う意味ではないでしょうか。
日本女子大の大沢真知子先生の「ワークライフ・バランス社会へ」(岩波書店)という本がありますよ。
もう、ごぞんじかな。
これからもよろしく。
Posted by シャオリン at 2007年01月21日 04:46
シャリオンさん、コメントありがとうございました。その本のことは知りませんでした。情報ありがとうございます。早速、貼り付けさせていただきました。調和って言ってしまうと、いろんな考えや形の調和があるわけで、高度成長時代の男は外で企業戦士として働き、女は家庭を守るという形も一種の調和と言えてしまうんじゃないかかと思ったわけです。あの時代が成功のモデルとして染み付いている年配の人も多いんでしょうね。
Posted by cyberbloom at 2007年01月21日 08:47
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