2012年02月16日

GNP主義=サッカー/GDP主義=ラグビー?

さて、この記事のタイトルをみてピンときたひともいるかもしれませんが、むしろ「なんじゃこりゃ?」と思われた方のほうがおおいと思います。GNPは経済用語の「国民総生産」のことで、GDPは「国内総生産」であるという予測はつくと思いますが、「これとサッカーとラグビーになんの関係があんねん?」と。

このことを説明する前にまずこちらのHPをご覧ください。すでに日本国籍を取得した外国出身の選手にちらほら混じって、主力選手のジェームズ・アレジ選手など外国籍の選手が何人かいます。この理由ですが、ラグビー界では「所属協会主義」を採用しており、たとえば日本国籍でない選手であっても日本で3年以上プレーした実績があれば日本代表選手になる資格を有することができるという制度になっています。代表選手が「国籍主義」で選ばれることになるサッカーやオリンピックとは違う、ラグビー界のひとつの特徴といえるでしょうね。

そして、これを踏まえるとGNPとGDPに話を結びつけることも許してもらえるかと思います。具体的にいうと、サッカーナショナルチーム代表とGNPは「国民」という概念でつながれており、ラグビーナショナルチーム代表とGDPは「国内」という概念でとらえることができるということです。

いちおう、GNPとGDPの定義を簡単に定義しておくと、
* GNP(Gross National Product)=国民総生産
→一定期間にその国に住む国民が生みだした付加価値(財やサービス)の合計。

* GDP(Gross Domestic Product)=国内総生産
→一定期間にその国で生産された付加価値の合計。

となります。GNP=国内総生産というのは「国民」が生産したものですから、国内の外国人が生みだした付加価値は計算せず(正確にいうと6ヶ月以上国内に居住していればカウントされるのですが、話がややこしくなるので無視しておきます)、逆に国外での国民の付加価値は計算に組み入れられます。つまり「国民が生みだしたもの」=GNP、と考えればいいと思います。

それとは違いGDP=国内総生産は、それを生みだしたひとの国籍にこだわるのではなく、あくまで「国内」で生みだされた付加価値を合計してえられます。国民が外国で行った経済活動はカウントされず、逆に外国人の国内での経済活動はこれに含まれることになります。

だいたい20年ころ前までは、国の経済規模を表す指標としてGNPが使われていたのですが、経済がグローバル化するにつれて「国民総生産=国内総生産」が乖離するようになり、国の経済規模あるいは「経済的魅力」を表す概念としてGDPが使われるようになったのです(たとえば、日本国民&企業の大多数がアメリカに出稼ぎに出たとして、GNPベースではこれらは日本のものにカウントされますが(正確にいうと日本人と日本企業がセットで出ていった場合)、GDPベースではカウントされません。この場合、日本という国は市場としての魅力がないということになるでしょう)。

で、ここまでくると「GNP主義=サッカー/GDP主義=ラグビー?」というタイトルをつけたのもある程度理解してもらえるのではないかと思います。といってべつにどっちのスポーツが進歩的かどうかなどは話題にするつもりもなく、経済のグローバル化っていうのが「国民」と「国内」という違いを浮き立たせ、それがスポーツ界にも密接に関連しているんだなと指摘をしたかったからです。おそらくラグビー界でも、いかに「所属協会主義」をとっていたところで、2,30年前までなら経済=人的交流がいまより盛んでないからこれほど多くの外国出身の選手が「日本代表」になることはなかったと思います。またおなじく今回のW杯を観戦していると、ラグビー界を通じて日本のグローバル化の流れが象徴的に実感できるようにもなっていると思います。

じつのところ、この外国出身選手の多い「ラグビー日本代表」についてはネットなどで議論が沸騰しているようです。「あんなの日本代表なのか?」とか「べつにいいじゃないか」と肯定論否定論が入り乱れています。広い意味でのナショナリズムとグローバリズム(コスモポリタニズム)での争いといえましょうか。どちらの意見ももっともで、こういう議論は極端な例をつかうと本音と理想があぶり出るでしょうが、もしもかりに世界各国のラグビー代表がオールブラックス本軍&その他予備軍(つまりすべてニュージーランド人)で固められたら、おそらくW杯の注目度は世界中で激減するでしょう(ニュージーランド人は歓喜するかもしれませんが)。かくいうぼくも、野球が好きで、お米が一番好きな食べ物で、牛肉よりも豚肉派で、クリスマスがどうも好きになれず、結婚式で奥さんには白無垢を着て欲しいと思っているし、英語とフランス語は多少は理解できますが、やはり日本語なかんずく河内弁で思考&行動するのが一番やりやすい。これらの話題についてきてくれるのは日本人が多い=友達になれる可能性が高いので、身近な存在として日本出身選手が活躍してくれると嬉しいです。さらにはそもそも全員オールブラックス予備軍で固められた日本代表ってなにを「代表」しているのか疑問です。

ところが、これだけグローバル化が進んだ結果として、外国人との交流は必然的に高まるでしょう。そしてここでも極端な例を出すとして、日本人全員が心の底から「すごい!」と思える人物や文化が入ってきたらどうでしょう。これを断固排除するというのは、「内向き」ではなく馬鹿げているとしか思えません(もちろん自分たちの慣れ親しんだ「やり方」を即刻排除する必要もないと思います。そちらを選ぶという選択肢もある)。しかもその「異物」が自分たちのことを尊重し好きだといってくれているのなら、これを排除すべき理由が見当たりません。さらにいわゆる外国出身のラグビー日本代表選手ですが、彼らは日本代表を選んだ段階で出身国を含めてもうほかの国の代表選手にはなれませんし、日本代表として国際試合に出場したところで、実際の報酬がどれほどか知りませんが、いずれにしてもその後の生活費を十分確保できるほどの額ではないでしょう。さらには経済的利益を抜きにしても、3年以上日本でプレーして、結果、日本のことが嫌いになったのに(あるいは日本などどうでもいいのに)なぜか日本代表に選ばれ、そして日本を貶めるためW杯本大会で怠慢プレー(あるいは日本がそもそもどうでもいいので自分本位のプレーをする)をするというのはどうも考えにくいです。

この意味で、ぼくとしては自分が肯定論者なのか否定論者なのかよくわかりませんが、外国出身者が日本代表として一生懸命戦ってくれるのであれば応援するつもりでいます。というか国籍を問わず、ぼくはすくなくともなにかを代表している選手が(国レベルだけでなく。日本の高校野球レベルでもいいです。レギュラーがタラタラしてたら補欠は浮かばれんでしょう)、どんなスポーツのどんなレベルの大会でもタラタラとプレーする奴が嫌いなんですが、「なにかを代表」して戦うというのは人間の個性を経済的価値観(儲ける奴がいい奴だ)でもって評価しがちな経済のグローバリズム化的側面に横槍を入れるというメリットもあると思われます。もしも国籍や地域、もしくは宗教やギルド的組織、家族、親族、友人も含めたなんらかのものを「代表」するということを下敷きとせず、たんにとあるスポーツの優劣を競うだけになるなら、たんなる「パワーゲーム」に終わってしまうように思えてなりません(勝った奴がいい奴だ)。しかも、その競技を競技関係者以外のだれがみるのでしょうか。

先日、友人たちと酒を飲んでいるときに「ラグビー日本代表」の話題が出たことをきっかけに、その後、「なにかを代表する」という考えが偏狭なナショナリズムと極端なグローバリズム(コスモポリタニズム)に対抗できるかなと考えたんですが、みなさんはいかがでしょうか?



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2009年06月30日

『‘ムッシュ’になった男』

のっけからですが、まずは引用から。

“ムッシュ”になった男―吉田義男パリの1500日「当たり前なんですけど、彼は球を速く投げたほうが速くアウトにできるんじゃないかといってるんです」
「野球もよう知らんくせして、ようそんなこといいよるな」
と吉田はいった。
「すいません。これがフランス人なんです。この国では、自分の意見を言えない者はバカ者だというふうに教育されてますんで、めんどくさいんです。ぼくもこっちにきたばかりの頃は、論理がきちんとしていないとテコでも動かないんで、面食らったもんでした。でも納得すればはやいですから、慣れるまでなんとか辛抱してください」
「ええか、球いうのは人間の走るスピードより何倍も速いんや。トスを速くしなくてもダブルプレーには十分な時間がある。それを、あせってセカンドに強い球を投げたら、タイミングだってとりにくいし、エラーをする確率が高くなるやろ。セカンドも走ってくるんやから。それで柔らかくトスせなあかんのや」
選手は大きくうなずき、笑顔をみせるとすぐにショートの位置に戻っていった。(同書、p60)

このくだりを読んだ瞬間、なんだかとても新鮮な気持ちになりました。ぼくもいちおうは「フランス文化」を学ぶほうの立場にあるので、どちらかというとフランスの文化や流儀はどうなっとるのかとか、そんなことが気になりがちです。ところが、いまWBCの話題でもちきり(?)の日本といえば野球の強豪国。野球は「日本の文化」といってもいいでしょうが、『‘ムッシュ’になった男』はそんな野球伝道師吉田義男のパリ1500日滞在期がドキュメンタリータッチで描かれています。

吉田義男さんがフランスに野球を教えにいったことがあるのは有名ですが、実際はどんな様子だったのかはほとんど伝えられていませんでした。ぼくも吉田さんは阪神の監督を辞めたあと、フランス政府(野球連盟とか)の要請とか、日本野球界による野球普及活動で、フランスに渡っていたのかと思っていましたが、さにあらず。なかば観光のつもりでパリ在住日本人の知人の要請でフランスに渡り、その後、現地の野球関係者と接触するうちにあれよあれよという間にフランスで野球を教えることになり、しかも滞在当初はまとまった給料が出たわけでもなく、ほとんど手弁当状態だったのだとか。まずは、パリのクラブチームのコーチを務めるところからフランスでのキャリアをスタートさせ、その後、順調に実績を残しつつナショナルチームの監督に就任したのだそうです。

ところで、この本はいろんな角度からみることができますね(1990年ころが舞台なので、現在状況は変わってるでしょうが)。フランスの野球事情――フランス国内最強クラブチームの選手で、山なりのボールでしかキャッチボールできないのがいるらしい…――、ヨーロッパの野球事情――先日、WBCでオランダがドミニカを下し、1次ラウンドを突破しましたが、ムッシュ吉田もオランダには散々痛い目にあっていたようです――、冒頭の引用で紹介したようなムッシュ吉田の直面した文化衝突(?)などなど。

ちなみに、ぼくの一番印象に残ったくだりが、

「これがヴァンセンヌの森ですねん」

登場人物のほとんどが関西人なんですが、関西弁とフランスのマッチングはなかなか素敵です…。


“ムッシュ”になった男―吉田義男パリの1500日
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2009年03月18日

松井大輔へのインタビュー

フランスのインターネットサイトでみつけた、松井大輔選手へのインタビュー記事を紹介します。

matsui2007.10.01.jpgフランスにいる日本人は旅行者たちだけじゃない! (フランスにきてから)二年以上経ち、まだ流暢に言葉を話すわけではないけれど、松井大輔はすっかりフランスの生活と彼にとって貴重な習慣に溶けこんでいる。前途有望なルマンの攻撃的MFとの風変わりな会見のおかげで、FOOT-INTERVIEWは日本人のことが好きになった。

ダイ、ピッチの外ではなにをするのが好き?
ほかの多くのひととおなじように、よくTVゲームをやりますね。ただ、とりたてていうなら、DVD鑑賞が好きです。ぼくのお気に入りは、お笑い番組をみながら笑い転げることです・・・、もちろん日本のですけどね!

きみ自身をめぐるメディア報道すべてについて、どのように受け入れるようにしてる?
あまり深くは受け止めないですし、そもそもあまり新聞は読まないです。

そうだね。だけど、ヒステリックなファンって絶対にいるでしょ?
日本ではそうだけど、フランスではそうじゃないですね・・・。だからここではほんとうに落ちついていられます!

ファンの女の子からもらった、一番馬鹿げたプレゼントってなに?
(考え込んで) ある日、ある女の子がぼくにタケノコをくれましたね(笑)!

サッカー界で一番仲のいい友達っていうのは?
すぐに那須大亮を思い浮かべますね。日本の横浜Fマリノスというチームでプレーしています。高校がいっしょだったし、オリンピック代表にもいっしょに選ばれました。

じゃあルマンでは、だれと一番仲良くしているの?
全員と仲良くしているけど、しいていうならマルコ・バシャとトゥーリオ・デ・メロですね。

ルマンでは、だれが真っ先にきみの友達になろうとしてきた?
だれもそんなことはしてこなかったし、勝手にそうなりました。ただ、最初はフェルナンド・ダミコと気心が知れるようになりましたね。

ルマンチームのなかで、だれが一番問題児なの?
以前はヨアン・オクールだったけど、この夏にサンテチエンヌに移籍してしまいましたからね(註;このインタビュー記事は2007年1月4日のこと)。いまはロマリッチがそれを引き継いだんじゃないかと思うよ!

フランス人は日本人とおなじくらい自分なりのスタイルをもっていると思う?
そうですね。フランス人はみんな着るものに個性がありますし、とてもオリジナルです。個人的にはとても好きなのですが、なんといっても日本ではみんな流行を追いかけますし、みんな似たような身なりですからね。

リーグ1ではだれが一番当たりの強いDFかな?
リーグ1とリーグ2のDFは全員ですよ!

ゲンを担いだりしますか?
ほとんどありませんね。まったくといってもいいんじゃないかな。

フランスサッカーの民族の多様性について驚いたことはありますか?
いいえ。たいした驚きはありませんでした。フランスにくる前からそのイメージはありました。

お気に入りのフランス料理は?
フォワグラのポアレです! よく食べるわけでないし量もそれほどではないけど、大好きです。

日本人というわけで、きみもフランスを旅行したと思うんだけど・・・。
もちろん、たまにします。この前はモンサンミシェルに行きましたし、サンマロにも行きました。

日本へ行ってみるべき理由を5つあげてもらえますか?
3つあげておくよ:
1.日本の現代的側面はぜひみておくべきでしょうね。超高層ビルや夜のイルミネーションはみるととてもきれいです。心に残りますよ。
2.食べ歩き。日本では料理がとてもおいしいです。どこに行ってもなんでもおいしいし、イタリアレストランやフレンチレストランも格別だね!
3.日本は過ごしやすいね。治安はいつも安全だと感じられるし。女の子が午前2時にひとりで歩いていても全然平気だよ。

じゃあ、エッフェル塔を除いて、是が非でもフランスに行ってみるほうがいいといえるような理由を5つあげてもらえますか?
じゃあ、4つあげておくよ:
1.パリは絶対にオススメ。建物は素晴らしいし、美術館はとんでもなく大きいしね。
2.ショッピング。ぼくはパリで買物巡りをするのが大好きなんだ。なんでもあるしね!
服もそうだけど、食料品もなんだってある。日本から届いたものもね!
3.フランスの地方の静けさや、落ちついた環境も好きですね。
4.南フランス。プロヴァンスを何度か移動して、海や浜辺、海岸の風景がとても気に入ったんだ・・・。


※2007年10月1日に main blog に載せた記事で、ルマン時代のインタビューです。




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2009年03月15日

フランス語の野球用語(2)

2007.11.19baseball.jpgさてさて、前回のエントリーで紹介したとおり、きょうはフランス語の野球用語の紹介となります。まずは日仏野球用語の対応表を示し、それにコメントをつけるというかたちで以下説明していきましょう。

*ポジション
Lanceur:投手
Receveur:捕手
Premier but:一塁手
Deuxième but:二塁手
Troisième but:三塁手
Arrêt-court:遊撃手
Voltigeur de gauche:左翼手
Voltigeur de centre:中堅手
Voltigeur de droite:右翼手

→実際のところこれ以外の呼称もあるようですが(Voltigeur de gauche→Champ gauche 、ウィキペディアによるとフランス語の野球のポジションはこのようになっていました。ちなみにVoltigeurというのは単語自体知らなかったので辞書で調べてみると「曲芸師」「警察のオートバイ部隊」とあり、外野を縦横無尽に走り回る姿からこの命名となったんでしょうかね? 

またArret-courtってのは英語のShort-stopからそのまま直訳したのでしょうが、ところでなぜこのポジションがShort-stop&遊撃手という名なのかご存じですか?野球ができた当初、内野の一塁手〜三塁手はそれぞれ対応するベースに張りつくように守っていて、つまり一塁手&三塁手はいまとほぼおなじ位置、そして二塁手はセカンドベースの周辺を守っていました。ところがおなじ内野のShort-stop&遊撃手ってのは特定の位置を受けもたず、状況に応じてファースト方向やサード方向に寄ったりと守備位置を切り替え、しかもバッターからみてピッチャーとほかの内野手の中間に位置することがおおかったそうです。そのためShort-stopという呼称が与えられたそうです。

日本で「遊撃手」という呼び名が発明されたのが19世紀末といわれてますが、おそらく日本でもそのころまで、Short-stop&遊撃手はさきに説明したような役割を期待されたポジションだったんでしょうね。大リーグでも日本のプロ野球でも現在Short-stop&遊撃手は一番守備能力の高い選手が守る花形ポジションですが、あらためて意識すると日本語の「遊撃手」っていうのはネーミングもなかなかかっこいいですよね。


*球種
la rapide:速球
la fourchette:フォークボール
la balle fronde:スプリットフィンガー
la courbe:カーブ
la glissante:スライダー
le changement de vitesse:チェンジアップ
la balle papillon:ナックル

→実際の球筋から判断してだいたい妥当な命名だと思いますが、まず意味不明なのがla balle fronde&スプリットフィンガー。英語名ではSplit-fingered fastballといい、人差し指と中指を速球のときより少し広げて握り、高速で微妙に落下する球種です。「高速フォーク」といったほうが直感的に理解できるかもしれませんね。で、なぜこれがフランス語ではfrondeボールなのか? fronde=投石機の石の弾道がこれに近いんだろうか? 

そしてベタなのが、le changement de vitesse&チェンジアップ。日本では比較的新しい球種なので、古い野球ファンでチェンジアップがよくわからないというひとがいますが、これはボールを鷲づかみにして速球とおなじフォームで投げる球種です。この握りのおかげで速球よりも2~30q/hほど球速が落ちるため、ピッチャーの投球フォームをみて速球がくると思ったバッターはタイミングを狂わされます。で、le changement de vitesseというのはこの内容をモロ説明しているわけですが、なんだか冗長でまどろっこしい。シャンジュマン・ドゥ・ヴィテッスって・・・。

秀逸なのがla balle papillon&ナックルボール。ナックルってのは極力ボールに回転をかけないようにしながら投げる球種のことで、回転がないぶん空気抵抗&風の影響を受けて投げた本人でさえどう変化するかわかりません。ふらふら〜っと揺れる挙動不審なボールです。これをして「papillon=蝶々」ボールというんですから、なんとも優雅ですね。

baseball2007.11.19b.jpg(ちなみに、このナックルボールってのは様々なフランスのインターネットサイトで紹介されているのですが(たとえばここhttp://www.ffbsc.org/imgs/docu/BB.swfでも)、これってフランスで野球が浸透しきってないことの証になるんじゃないかなと思うのですが、どうなのかな・・・? というのもナックルボールは投げる側も打つ側も予測不能なぶん「魔球」扱いの球種といわれているのですが、コントロールが難しい&ある程度の球速がないとただのスローボールと大差ない(以上つまり習得がかなり難しい)、さらに球速が遅いためランナーに盗塁されやすいなどの理由から、たとえば日本では小中高校の段階ではこのボールを投げることすら禁ずる指導者がほとんどで、実際日米のプロ野球選手でもナックルボールを自在に操る投手は歴史的にみてもごくわずかです。そんな実用性のない技術を大々的に紹介しているのを目にすると、フランスは野球ではまだまだおのぼりさんだなという気がしますね・・・。

さらにフランスの野球地域リーグの試合画像をみると、キャッチャーがミットに右手をそえてピッチャーのボールをキャッチしてました。ボールの衝撃を抑えるためにやっているのでしょうが、少なくとも日本ではファウルチップなどで右指を突き指する危険性があるし動きも鈍くなるので、右腕は体の後ろにそえて(ワンバウンドしたはねる暴投を押さえるとき以外は)片手でキャッチするように指導されます(メジャーリーグのキャッチャーもほとんどそうなので、たぶんアメリカでもおなじように指導されているのでしょう)。それを思えば、危なっかしいというかなんというか、フランスの野球はまだまだ基本的なことを吸収すべき黎明期にあるといわざるをえませんね・・・。




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2009年03月13日

フランス語の野球用語(1)

2007.10.29yoshida.jpgこの記事を読んでくださっている一部の人たちはご存じでしょうが、ぼくはサッカーに負けず劣らず野球が好きで、そのためかねてから当ブログで「フランスの野球」のことについてもなにか書いてみたいと思っていました。そして現在その情報を地味に集めている最中なのですが・・・(今度まとめて紹介します)、そのまえに根本的に整理をしておかなければならないものがあります。

それというのはフランス語の野球用語です。もともと歴史的にみて日米間では野球の交流が盛んであったため、野球が好きな日本人なら英語の野球用語と日本語のそれとを両方とも苦もなく使い&聞きわけるでしょう(ピッチャー=投手、ランナー=走者、ヒット=安打)。つまり野球用語にかぎっていえば日本語と英語には非常に親近性があるわけです(ちなみにアメリカの野球ファンは「サンシン」という語を知っているそうらしいですしね)。ところが日本語とフランス語にはこうした野球用語の互換関係が構築されていないというか、要は(使う機会がまずないからでしょうが・・・)日仏辞典などにも載っていないため、フランス語ができようができまいが、フランス語の野球用語を一見してすぐに理解するって訳にはいかないのですね。

たとえば、野球について書かれたこんな表現をみつけたのですが:

Les coureurs n'ont pas toujours a courir vers le but suivant.

一見してすぐにこの文章が要求する意味を読みとるのは、ちょっとむつかしいです。とりあえず直訳してみると「走る人は、かならずしもつぎの目的{=ゴール}にむかって走る必要がない」くらいでしょうか。そこから「走る人=coureur」ってのはまあ「ランナー=走者」のことを指しているのだろうと推測がつきますが、「目的=but」っていうのが、なんのことだかすぐにはわからない。それでbutというフランス語の野球用語を調べていくうちに、たとえば「一塁手=ファースト」「二塁手=セカンド」というポジション名がそれぞれフランス語では「premier but」、「deuxieme but」というらしく、ここからbutというのが「塁=ベース」ということがわかります。そうして、ようやくさきの文章が「走者(=coureur)はいかなるときにも進塁(=courir vers le but suivant)せねばならないわけでない」と理解すべきだということがわかるわけですね。そのほかにも、たとえば「Retrait sur les prises」ってのは、どうやら「三振」を意味するらしいのですが、いくらフランス語が堪能であっても、字面だけみてこれが三振とわかる日本人はまずいないでしょう(フランス人の大多数もおそらく意味がわからないでしょう)。このようにフランスの野球事情を調べるにあたって用語の整理をしておかないことには話がさきにすすみません。

ってことで、いま現在フランス語の野球用語と格闘しております。くわしくは来週のエントリーで用語対応表やコメントを残すつもりですが、とりあえずきょうはフランス語の野球用語をクイズ形式にして以下にいくつか用意しておきました。フランス語のできるひとは、それが野球のなんにあたるか考えてみてください・・・。

ちなみに、ぼくが週末の草野球で本業にしているのはサードなんですが、これはフランス語では''troisieme-but''というそうです。発音するとトロワジエーム・ビュとなりますが、どうも異質な&間抜けな響きがあるなぁ・・・。「サードゴロ」ってのはトロワジエーム・ビュ・テランとかいうのだろうか。

*フランス語の野球用語問題
初級編
1) lanceur 2)receveur 3)baton 4)frappeur 5)sauf
中級編
1) fourchette 2) coup sur 3) Voltigeur de centre 4) ballon sacrifice 5) glissante
6) feinte illegale 7) chandelle
上級編(回答絶対無理編)
1) marbre 2) amorti 3) manche 4)point merite
(※中級編は野球そのものか、フランス語のスポーツ用語にくわしいとなんとか対応できるかもしれません、解答は最後に)

またこれを機会にあらためて、野球と言葉の関係を考えてみましたが、よくよく思えば「ストライク」ってのはなかなかインパクトのある言葉ですよね。要するに、「ストライク」というかストライクボールというのは、「バッターが打てる範囲の球」というのがだいたいの定義で、そのため、そのコースにきたボールに対して審判が「ストライク!」というわけですね。これ、日本語というか関西弁にすると「打たんかい!」となるわけで、まぁ実際、ぼくが野球をしているとき、見逃し三振した場合なんかはベンチの連中から「打たんかい!」と罵声を浴びせられるんですが、これってまぁ、まずは審判から「ストライク! バッターアウト!=打たんかいな! おまえ出ていけ!」といわれ、ついでベンチにすごすごと帰ってからもチームメートから「ストライクやないか! 打てや!」と追い打ちをかけられているというわけで、言葉の暴力といってもいいんじゃないだろうか。またさらに「疲労からくる疲れ」「いわゆる赤いレッドですね」「春のスプリングキャンプへようこそ」「状態のいい状態」「プレーボール、よーいどん」との冗語的名言を数多く残した長嶋茂雄さんのことを思いだすなぁ。(続く)


フランス語の野球用語(2)



初級編
1) ピッチャー 2)キャッチャー 3)バット 4)バッター 5)セーフ
中級編
1) フォークボール 2) ヒット 3) センター 4) 犠牲フライ 5) スライダー 6) ボーク 7)フライ
上級編(絶対無理編)
1) ホームベース 2) バント 3) イニング 4)防御率


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