この時期のお薦めは、1990年に発表されたプリファブ・スプラウト PREFAB SPROUT の5作目、JORDAN:THE COMEBACK 。80年代に名を馳せたトーマス・ドルビーによるプロデュース。プリファブは北イングランドのニューキャスルの近くにある小さな街、ダーラム出身のバンド。もともと田舎のバンドなのだが、彼らの飽くなき上昇志向はプリファブを5枚目にして彼らの最高傑作へと至らしめた。このアルバムはクリスマスをテーマにしているわけではないが、初冬の街のイメージがある。クリスマスの定番を歌う山下達郎にあやかって、プリファブを自分の中で「イギリスの山下達郎」とか勝手に思っているが、プリファブには彼のような「あざとさ」はあまり感じられない。プリファブの曲は非常に凝った技巧的な作りになっているにもかかわらず、曲の展開がそれを全く感じさせないくらいスムーズなのだ。技巧と洗練のバランスはポップアルバムにとって最も重要な指標。その絶妙なバランスを通してのみ、研ぎ済まされた極上のロマンティシズムが味わえる。
パディの男前なボーカルもさることながら、透明感のあるウェンディのバッキングボーカルも巧みに色を添えている。トーマス・ドルビーも生楽器とプログラミングによって適切なアレンジメントを施し、エコーがかかったような深みのある空間を作り出している。やはりこういうポップアルバムの王道を行く傑作は、やはりイギリスからしか出ないのだろう。
聴きながら歌詞を追っていくと、いやおうなしにストーリー性を感じてしまうが、元はと言えば、それぞれ違ったテーマを持った3つの組曲から構成されるはずだったらしい。特に名曲、Jessie James Bolero & Symphony なんかは、いわゆる「バッドボーイ」の物語だったことがわかる。そんな3つの物語がそれぞれの歌詞の中に濃縮されているわけだ。確かに恥ずかしくなるくらいロマンチックな歌詞が多いが、英語で歌われていることがちょうどいい壁になる。
個人的に好きな曲は WE LET THE STARS GO や THE ICE MAIDEN(雪女?)、それと上記の JESSIE JAMES BORELO & SYMPHONY など。とにかく一瞬のハーモニーの切れが素晴らしい。
ジャケットはこのアルバムの色彩的なイメージをうまく表現している。深い夜の空間に原色の光が揺らめく。このイメージが、クリスマスの時期の華やぐ街の雰囲気と重なり合うのかもしれない。
Jordan: The Comeback
posted with amazlet on 06.12.13
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青臭さがたまらなくポップス
美しきマスターピース
1990年度個人的英国ポップ部門 第1位!!■プリファブ・スプラウトの2枚組みのベストアルバムも出ています。本アルバムからも7曲が収録。
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曲が良いのに
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