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そんな読書で出会ったのがシュヴァルの宮殿。フランスの文化遺産であるとは知る由もなく、謎めいた建物と、それをたった独りで建てたというガイジンのおっちゃんのつぶれたようなモノクロの写真は思いっきりあやしげで、イエティやらツタンカーメンの呪いといっしょに、頭の中の“Belileve It or Not”の箱にしまいこまれてしまったのでした。
この書店の母体は、帝政ロシアに対する11月蜂起(1830年)に失敗した亡命知識人が、1833年に創立したポーランド文芸協会である。フレデリック・ショパンは、同協会の初代運営委員だった。書店の方は、当初はヴォルテール河畔に店を構え、ショパンはよく立ち寄っては、ミツキェヴィッチなど、同郷の文学者と議論したという。1925年に、書店は現在の住所に移転。ここでかつて入手した『プルースト、堕落に抗してProust contre la déchéance』という本を、今回紹介したい。
『プルースト、堕落に抗して』は、獄中のメモと記憶をもとに、1943年にフランス語でタイプ原稿が作られ、1948年にポーランド語訳が『クルトゥーラ』に発表された。僕が入手したフランス語版は、1987年にNoir sur blanc社から刊行された。この出版社は、ポーランド語やロシア語の書籍のフランス語訳と、各国語の書籍のポーランド語訳の両方を刊行しており、パリのポーランド書店も拠点の一つである。本書はその後、文庫版も刊行されている。
と不知火さんが書いてくれたのが2010年。そして今日送られてきた白水社の新刊案内に3巻目の『笑い―喜劇的なものが指し示すものについての試論』 Le Rire. Essai sur la signification du comique (1900) が載っていた。ベルグソンが試みた初めての社会学的考察。ベルグソンは、笑いを社会から乖離した存在に対する社会の罰とみなしている。時間の空間化を批判した時間論はデフォだが、この「笑い論」も面白かった。鷲田清一氏の解題の他、しりあがり寿氏の漫画入りの月報がついているのが今風。 (cyberbloom)
マーシャル・プランの目的は疲弊した各国の経済振興だけでなく、 made in USA 製品の新市場獲得のためでもあり、さらには american way of life を輸出することでもあった。フランスにはチョコレートやタバコ、コンビーフの缶詰が流れ込み、ル・アーブル港(セーヌ川の河口に位置する)にはトラクター、ミシン、冷蔵庫、掃除機などが次々と到着した。それ以来、フランス人の生活も次第にアメリカ化されていく。中でもやはり、コカコーラは象徴的で、1944年のパリ解放時にシャンゼリゼを凱旋行進したアメリカ軍の戦車にはすでにコカコーラの瓶用のケースも装備されていたという。
1942年のある日、サンテグジュペリはアメリカ人の編集者と昼食を取っていた。サンテグジュペリはなにげなくナプキンの上に長いスカーフを巻いた少年の絵を描いた。サンテグジュペリはカフェや、汽車の中や、散歩中などに浮かんだアイデアを絵や文章で紙片に書き留める癖があったらしい。それを見た編集者は、子供の向けの物語の素晴らしい主人公になると思い、それを書いてくれるように頼んだ。そして1943年に、作者のイラストつきの、英語による初版 The Little Prince が出版された。それ以来、「星の王子さま」は149の言語に翻訳され、4500万部が売れた。しかし、初版以外は本人のものではない、偽のイラストが使われている。
2005年1月、日本での著作権保護の期限が切れたのを機に、10種類以上の新訳が一挙に登場。ファンのあいだでは、タイトルや訳し方をめぐってちょっとした論争になっていたようだ。「星の王子さま」というタイトルは故内藤濯(あろう)が付けたものだが(原題は Le Petit Prince で、「小さい」とか「かわいい」の意味)、新しい訳で同じタイトルを使用する場合は、「内藤氏の考案した題名」と明記する必要があったようだ。
個人的には第6号のペレック特集が一番面白かったです。これはぼくの関心の在処を突かれたから。『眠る男』『人生使用法』『Wあるいは子供の頃の思い出』などが日本語でも読めるペレック作品。その最大の特徴は「言語遊戯」ということになるでしょうか。なかでも、フランス語で最も使用頻度の高いアルファべ e を一切使用せずに書かれた『失踪』La Disparition や、逆に使える母音文字を e だけに制限した『戻ってきた女たち』Les Revenentes が有名です。ペレックの諸作品は翻訳の不可能性を喧伝されることが多いのですが、『水声通信』第6号に寄せられた塩塚秀一郎氏の論考は、もしかしたら日本語で『失踪』が読める日が来るかもしれないという期待を抱かせてくれます。そのとき、翻訳の不可能性を克服した英雄的行為ではなく、翻訳という行為の臨界、もしくはその問題性が、まさにひとつの「遊び」として提示されるでしょうし、なによりもペレック流の「言語遊戯」を日本語で楽しむことができるはずなのです。
■定年退職前の厳しくも優しいロペス先生のもとで、勉強したり遊んだりする13人の子供たちの姿を追った、心温まるドキュメンタリー映画。Etre et Avoir―タイトルにもなっているこの二つの動詞から見ても、フランス人にとってのフランス語の始まりも、日本人がフランス語を始めるときと全く同じなんだな、と分かります。フランス語をやっている人なら、まるで自分も小学生になったような気分になり、子供たちと一緒に「うぃぃ〜!」「ぼんじゅ〜る、むっしゅ〜」と言ってしまいそう。