管理人:cyberbloom
★FRENCH BLOOM NET は「フランス」の情報化のプロジェクトです。具体的には、フランス語を学ぶ人やフランスに関心のある人のために、フランス関連情報を記事にして、カテゴリー別に蓄積しています。週末には「週刊フランス情報」と題して1週間のフランス関連ニュースをピックアップしています。この他にもサイトを運営しています。 □精鋭ライターによる投稿サイト:FRENCH BLOOM NET □仏検&フランス語学習サイト:FRENCH BLOOM CAFE □音楽専用サイト:FRENCH BLOOM MUSIC □インスタントストア:FRENCH BLOOM STORE ★当方、大学でフランス語を教えているメンバーを中心としたグループです。詳細やお問い合わせに関しては「ABOUT & PROFILE」をご覧ください。
「ときめき☆アーモンドパフェ」でフランスで大ブレークしたフランスのお子様アイドル、イローナ・ミトルセ(Ilona Mitrecey)は FRENCH BLOOM NET で何度か紹介しているが、今日はクリスマスということでイローナのクリスマス・ソング、「すてきなクリスマス」(Noël que du bonheur)を紹介したい。PV ではイローナのアニメキャラがクリスマスの風景の中でパラパラ風ダンスを踊っている。フランスでこの曲がヒットしたのは一昨年の12月だが、去年の12月には日本でも「すてきなクリスマス」の着うたが配信されていた。お子様向けの打ち込み系ダンスだが、歌っている本人よりもアニメキャラが断然かわいい。この曲が入ったイローナのアルバムはフランスでは2005年の10月に発売されているが、日本では今年の2月にこの曲が入ったフルアルバムCDがようやく発売になった(日本ではミニアルバムが先行発売されていた)。
C'est Noël, je marche dans la rue Père Noël, Père Noël, où es-tu ? Les guirlandes, les lumières des vitrines Les regards des enfants s'illuminent
C'est Noël, dans le ciel Les étoiles, étincellent C'est Noël, dans les coeurs De la joie, du bonheur
Des enfants qui dansent Une ronde en cadence En se donnant La main Autour d'un grand sapin Des enfants qui chantent Une musique entraînante Des rires et de la joie Partout sous tous les toits
Noël, que du bonheur
Ding, dang, dong, les clochers carillonnent Minuit sonne, et les gens réveillonnent Tout le monde va s'amuser ce soir
C'est Noël, dans le ciel Les étoiles, étincellent C'est Noël, dans les coeurs De la joie, du bonheur
Des enfants qui dansent Une ronde en cadence En se donnant la main Autour d'un grand sapin Des enfants qui chantent Une musique entraînante Des rires et de la joie Partout sous tous les toits
I wish you a Merry Christmas La la la la la We wish you a Merry Christmas La la la la la
Les yeux dans le ciel On attend le matin On pense à nos cadeaux On rêve du lendemain Le coeur plein de joie D'attente et d'espérance On invite la Terre A entrer dans la danse
Les yeux dans le ciel On attend le matin On pense à nos cadeaux On rêve du lendemain Le coeur plein de joie D'attente et d'espérance On invite la Terre A entrer dans la danse
エイプリル・マーチはゲーンズブール・フリークで、彼がプロデュースしていた時代のフランス・ギャルのカバーをしています。例えば、ギャルの名曲、「娘たちにかまわないで Laisse tomber les filles」。原曲と大まかな部分は変わりませんが、少しテンポが違う感じがします。あと、キーも変わっていたような…。印象としては、フランス・ギャルよりもオテンバな印象ですね。何か、「変に若い」です(笑)。投げやりっぽいというか、何と言うか…。ギャルの方が声こそ舌たらずな感じですが、大人っぽく、音も歌も落ちついている感じがします。エイプリルの方はとにかく「元気」な印象ですね。キャンキャン言ってるような感じ…(笑)。色で例えると、ギャルは渋いピンク色、エイプリルはビビッドなオレンジ、みたいな。聴き比べてみると、私としてはエイプリルの方が「とっつきやすい」とは思います。
Youtubeでフランス・ギャルの「娘たちにかまわないで Laisse tomber les filles」のビデオを探していたら、カバー曲らしいビデオがリストにあった。Mareva Galanter なんて名前聞いたことないなあと思いながら再生ボタンをクリックしてみた。最初はマジで自分の知らないフレンチ・アイドルが存在していたのかと思った。ビデオの60年代風のチープな作りにまんまと騙されてしまったのだった。ガレージのような独特なアレンジと、お下げ髪のマレーバのコケティッシュな仕草に一発でやられてしまった。誰が何と言おうと、これはフランス・ギャルのベスト・カバーだ。
マレーヴァ・ギャランテール(Mareva Galanter)。1979年2月4日、タヒチ生まれ。彼女の名前は「流れ星」を意味するらしい。1m78の長身とエキゾチックな美貌で、14歳からモデルとして仕事を始める。1998年のミス・タヒチに次いで、1999年にはミス・フランスに選ばれる。その後、テレビのバラエティー番組の司会者も努めるが、中でもM6 AWARDSのプレゼンテーターとしての仕事が代表的。女優としても、映画やテレビドラマに出演。パリ在住で、デザイナーのジャン・カステル・ド・カステルバジャックJean-Charles de Castelbajac(Max Maraの仕事で有名)と生活を共にしている。カステルバジャックはマレーヴァにアルバムで曲を提供し、マレーヴァは彼のイメージモデルの仕事もしている。
そして問題のデビュー・アルバムは去年、2006年に発表された。タイトルは「ukuyéyé」ウクレレとイエイエをくっつけたもの。ウクレレはマレーヴァが小さいころタヒチでいつも耳にしてた楽器だ。イエイエはフランス・ギャル、フランソワーズ・アルディ、シェイラに代表されるフランス60年代のロックシンガーを指すが、要はイエイエのリバイバル・アルバムだ。思い出深いことには(といってリアルタイムで聴いたほど年じゃありません)、伝説のフレンチ・ロリータ、ジャクリーヌ・タイエブ Jacquerine TAIEBの曲、「7 heures du matin」「On roule à 160」もカバーしている。
1991年に発表された MC SOLAAR の1枚目、QUI SEME LE VENT RECOLTE LA TEMPO は、かなりショックな体験だった。それまでヒップホップにはあまり馴染めなかったし、アメリカのパブリック・エナミーくらいしかしなかった。ヒップホップもフランスだとこんなにオシャレになるのかと感心した。他のフランスのハード系のラップを当時あまり知らなかったせいもあったのだが、Nique ta mère(=Fuck your mother )とか、パリを爆弾で破壊するとか、マルセイユは理想の都市だとか、自分は火星からの来訪者だとか歌っていたラップとは一線を画していた。
音もジャズっぽいし、ラップのスタイルがクール(文字通り暑苦しくない)だし、何よりも流れるような韻の踏み方がカッコよかったのだ。5曲目のL'Histoire de l’art のラップを真似ながら、フランス語の滑舌を良くする訓練をしたものだ。特にリフレインをよく口ずさんでいた。
Les salauds salissent Solaar cela me lasse mais laisse les salir Solaar, sur ce salut!
Armand est mort という、失業して、離婚されて、ホームレスになって、喧嘩に巻き込まれ拳銃で撃たれて死んでしまった男の曲があるが、あまりに洗練されていて、まるでマーヴィン・ゲイのように聞こえる(音ネタが使われているのかも)。名曲 Caloline は一時パリ中でかかっていて、あちこちのカフェやブティックで耳にした。ラップの中で女性をドラッグになぞらえているが、Caroline はドラッグそのものという説もある。
Elle était ma drogue, ma dope, ma coke, mon crack, mon amphétamine, Caloline
セルジュ・ゲンズブールといえば、フレンチ・ポップスを語る上では避けられない大御所。みずから歌うのはもちろんのこと、ブリジット・バルドー、ジャンヌ・モロー、そしてジェーン・バーキンなど数々の女優たちを歌わせては、彼女たちの新たな魅力を世に知らしめました(ついでに浮き名を流しちゃったりもしてました)。ゲンズブール・プロデュースの名盤はいろいろあれど、私がいちばん好きなのはバーキンとの間の娘、シャルロットが15歳のときに出した「シャルロット・フォーエヴァー」。これはセルジュが自分と彼女を主演(おまけに親子という設定)にして監督した同タイトルの映画のサントラで、映画もアルバムも、父と娘というには濃厚すぎる関係を描いたかなりヤバーイ内容だったんですが、それをサラリと表現するシャルロットは、別段いやらしい感じもせず、不思議な雰囲気のある女の子だなあと思っていました。にしても、自分の父親とデュエットして、 "Amour de ma vie" と語りかけるなんて、日本人ではなかなかできませんな〜。
極めつけは「お尻丸出し事件」。1972年に「ポルナレフ革命 Polnarévolution」と題したライブコンサートが再びオランピア劇場を舞台に行われた。その際、パリ中にコンサートを知らせるポスターが貼られたが、それはポルナレフがお尻を丸出しにしているセンセーショナルなものだった。ポルナレフは裁判所に呼び出され、「強制ワイセツ罪 attentat à la pudeur」としてポスター1枚につき10フランの罰金を科せられた。
Je cherche un job, job, job, job, job, job Pour aller lui acheter sa robe Job, job, job, job, job, job Pour un jour lui enlever sa robe
キクチ君は私に「Je cherche un job」という歌の歌詞カードを見せ、この意味わかるかと聞いてきた。挑発的な口調だった。こんなもの簡単さと、辞書をひきひき、直訳でなんとか意味はとれたが、ウブだった私には意味する状況がさっぱりわからなった−俺は仕事を探す。彼女に服を買ってやるために。俺は仕事を探す。いつか彼女の服を脱がせるために−何でせっかく彼女に買ってあげた服を脱がせるわけ?
「ジョブ」はあまり有名ではないが(シングルのB面)、ポルナレフの最も有名な曲といえば「シェリーに口づけtout tout pour ma chérie」だろう。授業中にかけても、誰もが知っていると手を挙げる。今もときどきCMに使われ、最近ではホンダのゼストのCMに使われていた。98年のフランス開催のW杯では日本のナショナルチームの応援ソングがこの歌の替え歌だった。今の学生は「シェリーに口づけ」を聴くと、「ウォーターボーイズ」を思い出すらしい。
そして2002年、本アルバム、Quelqu’un m’a dit で歌手デビュー。ヨーロッパで100万枚を売り上げるヒットとなった。このアルバムはアイドルやモデルによくあるように、プロデューサーにすべてをお膳立てされたわけではない。自分で詞を書き、曲を作り、ギターまで弾く。さらにはハスキーで落ち着いた魅惑的な声の持ち主ときている。
びっくりしたのは、Quelqu’un m’a dit のビデオクリップを撮っているのが、「汚れた血」「ポンヌフの恋人」で有名なレオス・カラックス監督。歌っているカーラの背後でろうそくを持った怪しげな男が徘徊している。確かにカラックスっぽいが、あの演出は余計な気がする。映画にもときどき見られるカラックス的なひとりよがりを感じるが、咳払いをひとつして歌い始めるところは、憎い演出だ。ソファに正座して、ギターをつまびきながらしっとりと歌い上げるカーラの姿には本当に魅入ってしまう。アルバム・バージョンとは違って、ストリングスは入ってなくて、ギター一本のシンプルなバージョン。Serait-ce possible alors? の部分のメロディーも少し変えている。
シェブ=マミも Let me rai、Saida、Meli meliと傑作を連発しています。彼も最新作のDellali がライらしさをなくし過ぎた作品と批判されましたが。他にお勧め盤を言い出すとキリがありませんが思い付くままにあげてみると、シャバ=ザフアニアChaba Zahouania のアルバム、フォーデル FaudelのBaida、Cheb Abdou のHabibi、Cheb Bilal のSidi sidiなどなど…ライ界のキーパーソン、ヌレディン・ガファイティNourredine Gafaiti が今力を入れているラシダRachida も見逃せません。またCheb Houari Dauphin の Live とかCheikha Nedjma のものとか、アラブ・コミュニティーでカセットでだけ流通している音にすばらしく面白いものがあるのですが、それは少なくともパリまで出てBarbes 他のアラブ人街のカセット屋まで買いにいくしかありません。世界にはインターネットで買えないものがたくさんあるわけですね。
ところで今ライで一番注目すべき傾向は、フランスにおけるライとr'n'b の融合です。去年Kore & Skalp というコンビが多くのアーチストを集めて製作したRai'n'b Fever というコンピレーション・アルバムは大セールスを記録しました。なかでも113, Mohamed Lamine, Magic System の歌った Gaou a Oranという曲が昨年一年間でフランスの「クラブで最も多く流された曲」に輝いています(Yacast発表)。「R'n'b」というのはもちろん「リズムアンドブルーズ」のことですが、フランスでこの名称で呼ばれる音楽はあんまり「リズムアンドブルーズ」ばかりとは聞こえません。このGaou a Oran の場合それも当然で、歌っているアーチストのうち113(サントレーズと読みます)は Tonton du Bled などのヒットのあるアラブ移民系ラップバンド(グループ名は彼等の育ったパリ郊外の団地の建物番号、「113号棟」というのからとったとのこと。いいネーミングですね)ですし、 マジックシステムはコートジヴォアールのバンド(彼等のUngaou a Paris という曲がUn gaou a Oranの下敷きなわけですね)ですから。彼等とライのモハメド・ラミンが作り上げたすごく楽しい音を是非一度お聞き下さい。あとこのアルバムではもちろんハレド、リミッティの声も聞くことができますが、都会っ子フォーデル(彼はフランス生まれで、アルジェリア系としてフランスのアイドル人気を得た存在です)やReggae Rai のヒットがあるシェブ=ターリクCheb Tarik などの活躍が目立っていますね。
さてそのライですが、どんなジャンルか定義するのはたいへん難しいです。現時点で「ライ」と呼ばれるものが共通にもつ性質というのは存在しないと言っても過言ではありません。アルジェリア西部オラン地方の民衆歌謡から発達したことは確かですし、典型的なポップ・ライはオラン方言のアラブ語で歌う歌物でシンセサイザーを主たる伴奏楽器とするもの、なのですが、今日その形に当てはまらなければライではないとは到底言えません。早い話が「ライの母」シェイハ=リミッティCheikha Rimittiも「ライの王」ハレドKhaledも年代ごとにどんどん変わっていってますし、フランスでアラブ移民二世たちがグループでやっているライや、ラシード・タハ Rachid Taha などフランスで一般に「ライ」と呼ばれているアーチストまで含めるとその多様性は驚くばかりです。それだけにライ・ウォッチングは非常に面白いのです。
■定年退職前の厳しくも優しいロペス先生のもとで、勉強したり遊んだりする13人の子供たちの姿を追った、心温まるドキュメンタリー映画。Etre et Avoir―タイトルにもなっているこの二つの動詞から見ても、フランス人にとってのフランス語の始まりも、日本人がフランス語を始めるときと全く同じなんだな、と分かります。フランス語をやっている人なら、まるで自分も小学生になったような気分になり、子供たちと一緒に「うぃぃ〜!」「ぼんじゅ〜る、むっしゅ〜」と言ってしまいそう。