2007年01月27日

雑誌ナナメ読み MARIE CLAIRE 3月号

marie claire (マリ・クレール) 2007年 03月号 [雑誌]今月号のエコ特集は必読だ。表紙に「不都合な真実、を私たちだって知りたい!」という見出しがあるが、今月20日から映画「不都合な真実」が公開され、そのショッキングな内容が話題を呼んでいる。映画には、本ブログでも以前から活動を紹介しているアメリカのゴア元副大統領が出演していて、彼の講演を通して、温暖化問題をわかりやすく、説得力をもって伝えている。

かなり前から報道されていることだが、世界で二番目に小さい国、ツバルが海に沈もうとしている。地球温暖化の影響で海面が上昇している。そんなツバルの現状をモデルの大田莉菜がレポートしている。いつだったか、NHKの番組がツバルと、経済成長が著しい中国のある工業都市を同時中継していた。一方で祖国が沈んでいくのを見て、悲嘆にくれているツバルの人々を映し、他方で「もう貧しい生活には戻りたくない」と答える中国の人々を映していた。もちろん中国の人々だけを映すのは不当だ。私たちだって同じ側にいる(新興国に責任を転嫁するのは、明らかに既得権益者の視点だ)。

最近、マリ・クレールは「エコ・リュクス」というキーワードで攻めているが、オシャレにエコを取り込もうということらしい。ちょっとキレイゴトすぎる感じもするが、「チョイ悪おやじ」とか言って勘違い消費オヤジを増殖させている某雑誌よりははるかにいい。エコリュクスな有名人50人のエコ自慢も載っていて、筆頭はやはり坂本龍一。音楽家としては超有名だが、近年は平和や環境に対する発言や活動をいっそう強めている。また、「think global, act local」をスローガンに、エコロジカルな視点から社会・文化貢献を目指す新しい音楽コミュニティーとして、「commmons」という新しいレーベルを立ち上げている。マクロビオティックの実践者でもあるらしい。あと、大晦日に引退宣言した須藤元気とか載っていた。「野菜を皮まで食べる」という発言も見られ、やはりベジタリアン志向の人が多かった。

格差社会はこのようなエコな動きの阻害要因になるかもしれない。社会から何の恩恵も受けていない人間は社会に対して恨みが募るだけで、帰属意識など持てるはずがない。地球のことを考えるどころか、モラルはいっそう低下するだろう。しかし、一方で、エコロジーは格差社会が押し付けてくるネオリベ的な価値観から下りるための新しい価値やライフスタイルを提供してくれる可能性もある。ネオリベ=格差社会は勝ち組であれ、負け組みであれ、人間をバラバラにして孤立させる。エコロジーはゴミを分別するとか、安全な野菜を食べることだけではない。人を新たに結び直す思想なのだ。おそらくエコロジーは映画なんかを見て、啓蒙的に押し付けられるよりは、現状を自分で考え抜いた末に到達すべき価値観なのだろう。


marie claire (マリ・クレール) 2007年 03月号 [雑誌]


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2007年01月19日

映画「マリー・アントワネット」公開

marieantoinette01.jpgソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」が1月20日から公開される。ロック・チューンときらびやかな衣装で演出された斬新な宮廷劇が話題になっている。公式サイトの予告編を見たが、ソフィア・コッポラ独特のリリシズムとポップセンスが生きた作品のようだ。

主演はキルステン・ダンスト。マリー・アントワネットについて「パンがなければケーキを食べればいいじゃん」って言ったことくらいしか知らなかっと言っていて、フランス史で習うことはアメリカも日本もそんなに変わらないのか。ソフィアはキルステンをマリーと同じく、無邪気でかつ品格があると評価。マリーに関しては、「私はこの映画で、政治的なものではなく、マリーの人物像を描きたかった。興味があったのは、14歳でベルサイユ宮殿に来て、そこでどう成長していくか、そういう人間的な部分」とのこと。

「マリー・アントワネット」は去年の5月のカンヌ国際映画祭で上映されていた。しかし、観客の反応は芳しいものばかりではなかった。ソフィアは映画祭の座談会で、マスコミ向けの上映会でブーイングが出たことに対し、「フランスでマリー・アントワネットの映画を見せているのよ。仕方ないわ」と反論した。また「万人向けの作品ではなく、好き嫌いがはっきりした方がいい」とも言っている。

巨匠の娘とは言え、アメリカ人の監督がヴェルサイユ宮殿に乗りこんできた撮った映画。フランス人は一言も二言も言いたかったに違いない。舞台は紛れもなく実物の宮殿であるが、登場人物たちは英語を話している。バックに流れるのは優雅な宮廷音楽ではなく、イギリス系のロック・チューン。フランス人が違和感を覚えないはずはない。それにしても、ギャング・オブ゙・フォー、ザ・キュアー、ニュー・オーダーを使うなんて耳を疑う。ルイ王朝の時代に流れる80年代ニューウェーブってどんな感じなんだろう。音、映像、ストーリーを含めた一種のコラージュやリミックスの発想なのかもしれない。

お父さんフランシス・コッポラの「地獄の黙示録」に使われていたドアーズの「ジ・エンド」も映画に決定的な色合いを与えていたが、ソフィア・コッポラの過去作品、「ヴァージン・スーサイズ」や、東京を舞台にした「ロスト・イン・トランスレーション」でも音楽の使い方が注目された。「ヴァージン」ではフランスのユニット、エール AIR が、「ロスト」では MY BLOODY VALENTINE のケヴィン・シールズ Kevin Shields が起用された。エールのサントラはアルバムとしても十分聴ける完成度。ノイズギターが凄かったマイブラはすっかりご無沙汰だが、90年代の最高のバンドだった(「Loveless」は必聴)。

cyberbloom

★サントラのラインナップを見ていたら、クラシック、2000年以降のロック、そして80年代ニューウェーヴもの、という構成になっているようです。TVのCMで流れているのはニュー・オーダーですね。彼らは今でも現役のバンドですが、ここで使われているのは81年のデビュー曲 "Ceremony"で、あ〜ソフィアってこういう音好きなんだなーと思いました。それから最近急に聴きたくなってヒット曲集を買ってしまったBow Wow Wow という、これも80年代のバンドの曲が多く使われていてびっくりです。ボーカルの女の子はモヒカン頭で話題を集めた、とか懐かしい記憶がよみがえってきます…ファッションも特筆すべき項目の一つですね。この当時を扱った作品ではあまり見たことのないような、キャンディーやマカロンを思わせる淡い色彩の軽やかなドレスや装身具が印象的です。靴は有名デザイナーのマノロ・ブラニクが担当。ファッションの仕事に携わってきたソフィアのセンスがあらゆる所で感じられます。

by exquise


「マリー・アントワネット」公式サイト

★関連エントリー
音楽で観る映画(5)−ヴァージン・スーサイズ
AIR-THE VIRGIN SUICIDES
カンヌ映画祭開幕!

★関連DVD
ヴァージン・スーサイズ
ロスト・イン・トランスレーション

★関連視聴コーナー
MY BLOODY VALENTINE/SOON
AIR/PLAYGROUND LOVE


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2007年01月05日

大晦日はK1を見て過ごした

■去年出版され、注目された本のひとつにロバート・パットナムの「孤独なボウリング」がある。アメリカでは孤独にひとりでボーリングをする人が増えているのだという。それはアメリカがどれだけ人間のつながりに乏しい社会になったかを象徴している。社会的な信頼や市民参加の衰退は、経済的停滞、不平等拡大、犯罪増加、健康不安、学力レベルの低下へと連動していく。
■言うまでもなく、日本でも同じことが起こっている。格差社会、ニート、愛国心、すべて社会関係資本の観点から説明できる。愛国教育はそういう崩壊した共同体から弾き出された個人を強引に再統合しようという戦略だ。パットナムはテレビなどの個人的な娯楽メディアが社会不信の要因のひとつと考える。個人の娯楽や個人の利便性の追求(つまりは個人消費主義ってことだが)は、まず社会の最小単位である家族を破壊する。例えば、コンビニは家族間の重要な行為である食を破壊するだろうし、テレビは家族が向き合う時間を確実に奪ってきたことは言うまでもない。
■今や日本はアメリカを越えるテレビ大国だ。そのテレビ大国の誕生にCIAが関わっていたというショッキングな事実を明らかにした「日本テレビとCIA 」も去年出版された。何やら謀略論めいたタイトルだが、CIAの新しい資料から、CIAが資金と技術を提供して、正力松太郎の日本テレビ放送網を支援していた経緯が明らかにされている。それはマッカーサーによるアメリカ占領期から反共政策の一環として始まった。アメリカの情報戦は戦後という断絶なしに継続していることをメディア史が物語っているし、今日の日本のメディアの性格も理解しやすい。

夢と魅惑の全体主義 日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」 孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

■ところで、大晦日は「K1 premium 2006 dynamite」を見て過ごした。大晦日の9時ごろに実家にたどりつくと、テレビがついていたので、そのまま見てしまった。今は格闘技には興味はないが、小学生のころプロレスに夢中になった時期があった。当時と言えば、アントニオ猪木とストロング小林の名勝負(1974年)があったし、異種格闘技戦の流れで言えば、猪木が寝た状態でひたすらローキックで攻めたモハメド・アリ戦(1976年)があった。またプロレスにスピードをもたらした藤波辰巳の登場(1978年)も新鮮だった。今回に関して言えば、やはり山本KID(北京オリンピックを目指しているとは知らなかった)の研ぎ澄まされた肉体と動きから放たれるオーラは凄かった。
■多少熱が入りながらも、いくつか気になったこともあった。とりわけ試合前の大仕掛けなスペクタクルと、選手を戦いへと動機づけている物語に関して。番組の中で「子供たちに夢を与える」とかいうディスクールが連発され、実際に子供たちがスペクタクルに動員されていた。桜庭がボコボコにされたシーンなんて、子供にすればショッキングな残酷なシーンだろう。フェアなルールにのっとっているとはいえ、「暴力が肯定され、暴力が解放される場(K1は明らかに暴力の過剰が売りである)」がどうやって子供の夢になりうるのか。「リアルタイガーマスク」のエピソードも確かに感動的な話だ。しかし、オリジナルの「タイガーマスク」が傑作と言えるのは、子供の夢と暴力が結びつくことの不条理を問題にしていたからだ。「子供たちに夢を与える」というのは、究極のゴールデンタイム、つまりNHKの紅白の裏番組として、暴力を上演することの言い訳なのだろう。あれはどう見ても、18禁の大人限定のスペクタクルだ。おそらく欧米ではそう扱われるはずだ。余計な物語=言い訳(pré-texte)で、キレイな口当たりの良いものにする必要はない。そもそも格闘技にはいかがわしさと不条理さはつきものなんだから。
■格闘技にはまる若者が多いのはよくわかる。「殺れ!殺れ!」ってな具合で、ストレスのはけ口には格好のものだし、何よりも一体感を味わえる。社会的立場が弱ければ弱いほど、強いもの、マッチョなものに惹かれるというパラドックス。会場と視聴者の一体感を演出するスペクタクルは全体主義的なイメージに彩られていたが、共同体から疎外されれば疎外されるほど人間は一体感を希求する。番組の演出を見ていて、そういう心理が実感できた。小泉前首相はそういう部分にうまくつけこみ、若者を動員した。安倍首相も同じことを目論んでいるのか。北朝鮮情勢といえば、日本は蚊帳の外に置かれたまま、そこそこ落ち着き、安倍さんは威勢よくコブシを振り上げられない。結局政治家としての売りは北朝鮮でもめると勢いづく、あのワンパターンな身振りだけ。そのうちそれも通じなくなるだろう。
■テレビという媒体が登場する以前からの大衆動員型のイベントは存在していた。それはファシズムであり、共産主義であり、戦時中の総動員体制であったが、右左にかかわらず、一般大衆に向けた壮大で崇高なイメージの上演は不可欠だった。井上章一(「美人論」で有名)が去年著した「夢と魅惑の全体主義」は人々の社会参加が極限に達した1930年代の政治のスタイルとパフォーマンスを建築から読み解いている。イデオロギーは論理的に理解されるのではない。美意識(カッコよさ)や情緒的なものを通して刷り込まれる。全体主義は魅惑的なのだ。これがもっともやっかいな事実であり、これを踏まえないと批判もままならない。


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2007年01月04日

雑誌ナナメ読み COURRIER JAPON 2007年1/18号

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2007年 1/18号 [雑誌]■ブログでも何度か紹介している一押しの雑誌「クーリエ・ジャポン」。海外メディアの記事を編集して、「世界から見た日本」を多様な視点から提供している。この前(先月22日)、日本経済新聞が1面を使って紹介していた。
■多くの有名人が読んでいるらしく、この雑誌に賛辞を寄せている。「いかに自分が接してる情報が限定的か、思い知らされる」(福田和也)、「保守化、あるいは思考停止の時代にあってこそ、私たちは目を外に向ける必要がある」(藤原新也)、「まずは他の国に見えている日本の像が大事」(池澤夏樹)など。自己像は本質的に他者を通してしか結ばれない。いくら「美しい国」とか言っても、他者の視点をとりこめなければ、ひとりよがりな自己像を肥大させることにしかならないのは当然のこと。
■創刊当初は30代男性の読者を想定していたようだが、ふたを開けてみると20代前半と女性の支持が多かったという。

■ところで、今月号にはフランス、韓国、イランの東京特派員の対談が掲載されていた。テーマは「日本の2006年」。フランス代表は左派系のリベラシオン紙の特派員、ミシェル・テマン氏。彼の発言を拾ってみよう。
■まずはライブドア事件について。まずあの事件は基本的にバッシングで、「ホリエモンはヤクザまがいの経営者で、財界をクリーンにするには彼を追放しなくてはならない」というトーンで報道されていたと指摘。しかし、財界にはホリエモン以上にダーティーな人間はたくさんいる。結局、「ライブドア事件は政治家たちのホリエモンに対する復讐劇」で、「金持ちになりたければ、汗水たらして時間をかけてステップアップすべきだと多くの人が考えている」ことの表れだったのではないかとテマン氏は述べている。この論点は本ブログの「オジさんのくせにパブリック言うな」と重なる。
■さらに最近の日本のメディアの報道姿勢には「ここは日本なのか、北朝鮮なのか、つぶやいていしまうほどです」と。「報道の自由がしっかりと保障されているにもかかわらず、自己規制の仕組みがとてもメディア内に強く働いている。外国メディアから見ると、それはとっても不思議なこと」らしい。やはり記者クラブ制度が最大のガンのようだ。それだけメディアに守られているにもかかわらず、次から次へとボロを出す安倍政権って一体…。
■テマン氏の2007年の最大の関心は日本の核武装だそうだ。日本の政治家に取材するとみんなその話をしたがるらしい。核武装をしたくてしょうがない政治家がそんなに多いのか。
■日本にはドキュメンタリー番組が少ないという指摘もあった。フランスではよくドキュメンタリー番組がよく放送され、それが自国の歴史と記憶と向き合う機会になる。日本では歴史(特に現代史)はタブーで、それを考える情報や論点すら提示されない。フランス人はドキュメンタリー番組を通して、日本の歴史についてもよく知っていて驚かされる。

■今月号は「ロハス特集」。日本ではエコロジストはまだまだ少数派だし、ベジタリアンなんていうと「肉が食べれないかわいそうな人」とみなされる。欧米ではそんなに特異なことではなく、多くの有名人がベジタリアンとして名を連ねている。それにエコライフは実際にやってみるとそんなに大変なことでもなく、日常的に無理なく楽しめることのようだ。特集で紹介されていたロンドン郊外の「エコ分譲住宅」にはぜひ住んでみたい。既成のものを買うのではなく、自分の置かれている状況を考え、自分でアイデアを出したり、実際に作ってみる。これが重要な転換点になるのだろう。
■イギリスではラディカルな直接行動に訴える若者も増えているという。06年9月にノッティンガムのイースト・ミッドランズ空港の滑走路を4時間にわたって平和的に占拠し、航空機がもたらす環境破壊に関心を向けるように訴えた「プレーン・ステューピッド」(公式サイトはコチラ)という新手の環境保護団体がいる。彼らは「一刻の猶予も許されない。遅くとも15年後までに、一般のライフスタイルを大きく変える必要がある。そのためにも、政府側からの大々的な働きかけが早急に求められている」と主張する。これはFBNで紹介したフランスのANTI-PUB(反広告運動)ともパラレルなグローバリゼーションに反対する動きだ。イギリスではケータイに反対する運動家たちが基地局の打ち壊しをするという話も聞いたことがある。
■「ライフスタイルを根本から変える必要がある」という主張はおそらく正しいのだろう。地球温暖化の影響が身近に感じられるようになり、漠とした不安を感じながらも、「一刻の猶予もない」という切羽詰った感覚は多くの日本人にはない。政府の環境対策も企業に反対されていつも骨抜き(献金たくさんもらっているからね)。政府のエコロジーに関するスローガンときたらいつも「ひとりひとりの心がけ」。確かにそうにちがいないのだが、個人に責任転嫁しているとしか聞こえない。やはり政府主導で法整備をして、国民の行動を方向付けしなければ、誰もやるわけがない。何のための環境省だ。
■「運動の過激化は逆効果になりかねない」という批判もある。「いま必要なのは、国民全体が環境問題を直視することであり、そのためには全体の関心を引き寄せるような言葉を選ぶ必要がある」。「滑走路に座り込むのが現実的な解決策だと思うのは勘違いだ」と。消費至上主義を全く疑わない日本人にとって、全くリアリティーのない議論だが、まさに日本人のような人々をいかに環境問題に向き合わせるかなのだろう。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2007年 1/18号 [雑誌]


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2006年12月11日

教育基本法の改悪反対の声をあげませんか

友人から「教育基本法の改悪反対の声をあげませんか」とのお誘いを受け、緊急署名しました。以下に転載させていただきますので、みなさんもぜひ。本人には本意ではないかもしれませんが、一応、友人の個人名は文中から削ってあります。

みなさんへ

こんばんは。教育基本法の大改悪反対の件で我慢ならず、長文メールを打っています。(転載自由。特に「緊急署名」の欄だけでも転載歓迎)

御存知の通り、愛国心の涵養を明記し、「民主的」の文言をすべて抹消し、国家による教育現場の統制をもたらす教育基本法の改悪が大詰めを迎えています。法案は衆議院を通過し、参議院で承認される手前にきています。

とはいえ、法案通過が本当に決定的になったわけではありません。「世論の声をしっかり聞いたから」という与党の理屈は、やらせの発覚によって吹き飛びました。「100時間以上も十分、審議した」と与党側はいいますが、実は、議事録を読むと、「なぜ、いま、教基法を変えるのか」に関してはまったく議論されていません。地方公聴会(神戸など)では、与党の推薦人までもが、「教基法を改正する理由がわからない」「審議時間が少ない」と言い出す始末です。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061205-00000065-mailo-l15
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061205-00000203-mailo-l28

また、教員・市民を中心とする運動も盛り上がっており、教基法改悪の大きな歯止めとなっています。先週、国会前には連日、全国から多くの人が詰めかけ、集会や座り込みしました。この寒空の下、ハンストや座り込みをむ人々には頭が下がる思いがします。また、毎週火曜日の国会前集会も10回を数えました。私は12/5の会に行きましたが、若い女子学生が拡声器で国会に「やらせなんてふざけるなー、このやろー!」と叫んでいたのが痛快でした。もちろん、国会前だけでなく、日本各地でさまざまな抗議行動がおこなわれており、反対の声明もさまざまな団体や有志グループから提出されています。

来週15日、今国会は閉会されますから、いよいよ山場を迎えています。与党は一気にかたをつけるつもりで望むでしょう。大手メディアは自民党の「願望」を伝える道具と化しているので、「教基法は成立する見込み」といった語りを垂れ流しています。しかし、実は、法案採決の日程はまだ与党から提出さえされていません。世論調査でも、教基法改正には慎重意見が多く、幾分――あくまでも、幾分――与党は押されているのが実状ではないでしょうか。愛国心教育へと国家がおおきく舵を切る前に、もっともっと押し返す必要があります。

賛同される方ができることはいくつもあります。簡単な順番に記しておきます。

1)誰でもすぐにできることとして、まずは、緊急署名にできるだけ多くの声を届けること。

「【アピール】公述人・参考人として教育基本法案の徹底審議を求めます」への市民緊急賛同署名
〆切12月13日(水)午前10時。
ネット署名としては、とんでもない勢いで署名者数が増えています。

 http://www.fleic.dyndns.org/cgi-bin/appeal1206.cgi

2)時間のある方は直接行動。

教基法改悪阻止の運動を、この3年間、日本全国で積み上げてきた運動に、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」があります(呼びかけ人:大内裕和、小森陽一、高橋哲哉、三宅晶子)。組合や教師だけでなく、一般市民にも開かれた運動です。

 http://kyokiren.seesaa.net/
 http://www.kyokiren.net/

「全国連絡会」による直接行動としてはさしあたり以下のものがあります。
・12月12日 緊急院内集会 16時半〜17時半
 参議院議員会館第1会議室にて
 国会前集会 18時〜
・12月14日緊急国会前集会 18時〜
・14日、15日は9時から17時まで 廃案においこもう!すわりこみ

★「ヒューマン・チェーン」★(人間の鎖)
12月13日(水)午後5時集合〜
場所●参議院議員会館前(有楽町線永田町下車)
午後5:00〜6:00  
キャンドル・ ヒューマン・チェーン
コール&リレートーク<呼びかけ人&国会議員など>
「教育基本法「改正」反対市民連絡会」などが主催

政治不信をもたらすニュースが最近、続いています。タウン・ミーティングのやらせでは、一回2.000万円をかけて、人件費3万-90万/1人1日を無駄遣いして、この「政治ショー」をすべて電通などに丸投げしていました。防衛庁の省庁更新に関する法案もすんなりと可決されてしまいました。共謀罪法案も眠ったふりをしながら、つねに待ち構えています。

また、外資からの政治献金規制を解除する政治資金規正法改正案が衆議院を通過しました。今後は、外資が日本大企業を統御し、その献金を通じて、日本の政治に触手を伸ばすことが可能となりました。派遣労働法も、「3年雇用の後に正規雇用の義務」という条項が外されようとしており、非正規雇用者は「再チャレンジ」とは程遠い世界に追いやられようとしています。そして、「一般のサラリーマンに企業は時間計算で残業代を支払う必要がない」(ホワイトカラー・エクセプションの拡大適用)、という驚天動地の労働法改正はこれから審議されるところです。

最近では、「小泉劇場」以後の異常な予算が明らかになりつつあります。小泉以後、内閣府の広報費に年間7億円が支払われてきたというのです。つまり、「官邸ホームページ」「メールマガジン」「テレビ・新聞・雑誌など」の広報に 1日200万円 の費用をかけています、しかも、特定の業者との随意契約(丸投げ)で。(以上、詳しくは保坂展人のブログを参照。)

何らかの形で歯止めをかけないと、復党議員を吸収した大翼賛化与党のやりたい放題は止まらないのではないでしょうか。以上、長文を失礼しました。

PS とりあえず、国会前集会でのアベ首相のコントでもどうぞ。



PST

★FRENCH BLOOM NET に PST さんから緊急の書き込みがあったので、こちらにも転載しておきました。大学では何か他人事のような雰囲気ですが、教育基本法改悪に大学が影響を受けないはずがないと思います。


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2006年12月05日

滝川クリステル

フランス→クリステルと来れば、かつてはシルビア・クリステル(笑)が真っ先に想起されたが、今は満場一致で滝川クリステルだろう。

フジテレビの夜のニュース、「ニュース JAPAN」でキャスターを務めている。本名は、滝川ラルドゥ・クリステル(Lardux Christel)雅美、お父さんがフランス人なんだそうだ。パリ生まれで、3歳のとき日本へ。

もうひとりのキャスター、松本方哉氏はアメリカ通で知られている。ときどき外国人のゲストを相手にベラベラ英語をしゃべっているが、クリステル姉さまのフランス語を一度聞いてみたいものだ。

「クリステル姉さま」という呼称は「くりろぐ」というブログからのパクリだが、これは何と「毎日の滝川クリステル姉さまについて考察を重ね、熱き血潮を滾らせる」、「滝川クリステルに特化したブログ」で、彼女の服装や表情の移り変わりを毎日詳細にレポートしている。ちょうど去年の今頃、「くりろぐ」を紹介したが、まだ続いている。「特化」と「継続」は力なり。ブログをやる上での基本姿勢だ。

ところで先日新聞を読んでいたら、「週刊文春」の広告欄に「懸念される滝川クリステルの左傾化」と見出しがあり、思わずコンビニに駆け込んで記事を確認してしまった。この見出しを見れば、大本営発表化する既成メディアのニュースで、それに風穴を開けようと滝川クリステルが孤軍奮闘している、と誰もが想像したくなるだろう。さすが彼女には革命の伝統がいまだに息づくフランスの血が流れているんだと感動したかったが、何のことはない、左傾化とは「ニュース JAPAN」のあの変なカメラのアングルのことだった。

確かに左に傾いている(でも右に傾いているとも言えるよな)。文春のライターも書いていたが、クリステル姉さまの顔に見とれていたら、ニュースの内容なんて頭を素通りしてしまうし、松本キャスターの影もいっそう薄くなる。松本さんがアメリカ通だろうが、英語で気の利いた質問をしようが関係ない。あのアングルは少しタレ目なクリステル姉さまをいかに見(魅)せるかということから導き出されたのだろう(実際 Wikipedia に番組スタッフの証言があった。やっぱりそうなんだ)。それによって伝達される情報量はさらに減少させる。映像の左傾化による情報の右傾化作戦だ。「事実を多面的に切り取る」というメディア本来の役割を完全に捨ててしまったメジャー・メディアのニュースなんて、もはや情報としての価値は全くない。結果的に「くりろぐ」のような視点が「ニュース JAPAN」の最も正しい見方と言えてしまう。

一方で、個性的な男性キャスターをアシストする控えめな女性キャスターという構図は根強いが、思い起こせば逆にリベラル系のニュース番組の方が男性優位の絵を演出している。そんな中で小谷真生子がキャスターをしているテレビ東京の経済系のニュースなんかが見てていちばんリラックスした感じがする。


cyberbloom

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2006年11月17日

飲みました

henryfessy.jpg奇しくも今回の投稿日はボジョレー・ヌーヴォー解禁の翌日。最近のフランスではワイン離れが目立っているというし、先日の tk さんのエントリー を読んでも、解禁日をありがたがっているのは今では日本人だけなのかなあと思う。毎年踊らされているなと感じつつ、今年も我が家にはネット経由で解禁日当日に届いたボジョレーが3種類もある。私はふだん食後(というより寝る前)に、もっぱら白ワインかスパークリングものばかり飲んでいるし、赤を飲むとしたら軽いものが好みなので、ワイン飲みとしては邪道な部類に入るのかもしれない。だから逆に若い味のボジョレーは自分には飲みやすいし、先日日本酒の新酒を飲んで、作りたてのフレッシュな味というものにあらためて感心したところなので、早速到着したばかりのボジョレーを開けてみた。Pst さんを差し置いて恐れ多いのだけれど、しろうとの感想だと思って軽く聞き流して下さい。


さて、今回購入したのは

1. Beaujolais vin de primeur 2006 Philippe Pacalet
2. Beaujolais villages nouveau tradition 2006 Henry Fessy
3. Beaujolais villages primeur Château du Montceau "Les lapins monopole" 2006


の3種。今日は2のアンリ・フェッシー(写真)を飲みました。これは去年も飲んだのだが、一緒に飲んだ方に、「ボジョレーはあまり好きではないけれど、これはおいしいですね」と言われたので、今年も買ってみた。アンリ・フェッシーのボジョレーは「トラディション」という名前が象徴しているように、昔ながらの作り方を重要視して、樹齢50年以上の古樹のブドウを用い、補糖もなし、フィルターを軽めにして瓶詰めしているワインだそうです。


「ブーケが・・タンニンが・・」と表現できたら最高なのだろうけれど、年がら年中鼻があまりきかない味音痴なので繊細に言い表すこともできず、言うならば第一印象は「あっさり」(何てヒネリのない言い方・・トホホ)。去年のほうが濃くて深みがあったような気がする。けれども、たまたま家にあった合鴨のサラダをアテにすると、とても美味しくなったし、時間が経つと味わいが増してきたように感じる。何よりも鼻にぬける香りがフンワリ快い。今日は1本飲みきれなかったので、明日の夜残りを飲んでみようと思うのだが、それでまたひと味変わってきそうで、これも楽しみ。


明日はまた、1のフィリップ・パカレのボジョレーを大学の先生方と飲んでみる予定。フィリップ・パカレのワインはブドウの出来具合で、酸化防止剤である亜硫酸塩を入れたり入れなかったりするそうで、よりブドウの味そのものを味わえそうです。これからしばらくはボジョレー三昧の日々が続きそう・・でも Pst さんもおっしゃるようにお祭り気分で楽しみたいな〜。ところで Pst さんの飲まれたボジョレーは何でしょうか。感想を期待してます!



exquise@extra odrinary #2

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2006年11月15日

ボージョレ、解禁間近

ボージョレの真実今週木曜日(11月16日)はボージョレ・ヌーヴォーの解禁日。

本ブログでも tk さんがすでに記事(11・04)を書いてくれています。
 
「買わない」と即答されたというフランス人の方とは違って、ぼくは毎年毎年、お祭だと思って、店頭で何種類か試飲し、べつの店にも行って試飲し、最後に2、3本買って家でも飲みます。もちろん一気にぜんぶ飲むわけではありません。

お祭の余韻は適度に長いほうがいい。

というわけで、当日は試飲と自分の買った一本を空けて、その半分ほどを飲みます。ビールを飲んだり、他のワインを楽しんだりするので、買ってきたボジョレーはだいたい1〜2週間のあいだに空瓶と化していくというのが、ここ数年、11月第3木曜日以降の「ワインの日々」です。
 
ですから、今度の木曜は楽しみでもあり、習慣になってしまったという一抹の寂しさもありという一日なのです。

ところで、今年の出来はどうなのでしょう?
 
毎年毎年「すばらしい」「最高の出来」などの美辞麗句が乱れ飛ぶボジョレー商戦ですが、あまり信用できない(当たり前ですね)。特に去年2005年が最上級の讃辞をべったり貼り付けて販売されていたわりには、じつは「そんなに美味しくないじゃん」と思った僕です。過剰に美味しさを煽るのは反ってボジョレー離れをひき起こすのではないでしょうか。「なんだ言うほど美味しくないね」=「来年はいいや」。ワイン飲みとしてはみんなが飲んでくれて、たくさん輸入される=値段が下がることを期待しております。

今年のブドウは平年並みということなので、いつもどおりのボージョレを期待しつつ、それでも「あっ、美味しい」という一本に出会えることを夢見て、店頭をうろうろ、懐には何本かを愛おしく抱えて帰宅することになるでしょう。

ボージョレ・ヌーヴォーを何本も買うの?と訝るあなた、生産者ごとに味が違うことをぜひとも強調させてください。いいわけともいいますが、これはまぎれもない真実です。

飲酒運転の取り締まりのあおりで(それともやっぱりまだ不況?)店頭試飲をしないところが多いようですし、どの輸入メーカーも値段を少々上げて販売するようなので、お祭としてみると、今年のボージョレ・ヌーヴォー解禁日はちと寂しい。世知辛いです。

今年のヌーヴォー商戦はずばり「希少性」のようです。

これってやっぱり「味」に期待できないってことですか?


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2006年11月04日

ボージョレ・ヌーボー解禁前

フランス語の授業中。
近接未来形(aller+動詞不定形)の会話の練習の時のこと。
先生(フランス人男性)に、何気なく「ボジョレー・ヌーボー買います?」と、文法も活用も発音も間違いまくって、訊いてみた。
先生は即答で「買わない」

理由は、「新しすぎて、深みがない」というような事を仰っていました。どうやら、先生の好みではないようです。
「ワインは寝かせて、年月経たないとおいしくない」そうです。
ついでに「ワインも男も年をとると良いね〜」なんて事を仰ってましたが、誰かがすかさず「女は?」と聞いたら、「女の人は年取ると意地悪になる(笑)」そうな。痛い目でもみた(みてる?)のかしら??と勘ぐってみたり。

そのとき、酒酔い対策として、お酒を飲む前30分から1時間まえに、スプーン2杯のオリーブオイルを飲んでおくのがフランス流だとか。
お酒飲む前の牛乳みたいなものでしょうか。
ちなみにほぼ下戸のtkですが、牛乳嫌いなので、お酒飲む前にも牛乳は飲みません。かと言ってオリーブオイルもどうかな〜。


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2006年10月04日

ノワゼットのおフランス便り(3) ビオ&ベジタリアン三昧

IMG_0638 (2).JPG「ベジタリアンのレストランよろしく」と電話で言ったのを、イタリアンと聞き違えられてイタリアンに連れて行かれそうになったところ、ベジタリアンに近いお店(実はサロン・ド・テ)が目の前にあった。待ち合わせのノートルダムドロレットの駅の近く。「ここもおいしいし、肉とか使うお料理じゃないから」と言われ、入ってみました。店内はシックでエレガント。ビオ(=オーガニック)ではないものの、大変おいしゅうございました。ワンプレートながら結構なボリュームで、大きめのほうれん草キッシュにお豆のサラダ(キッシュとサラダの種類はチョイスできる)などなどで、ドリンク付13ユーロ。昼からちょっと高い(私には)ですが、奢りということで。

■LES CAKES DE BERTRAND, 7 RUE BOURDALOUE

後日、「ビオのベジタリアン」と注文がうるさい私のために、同じくビオに関心のある彼女(ビオは買いたいんだけどフランスは高くてなかなか手が出ないとのこと)は、ムフタール街の、これまたおしゃれなビオ・レストランに連れて行ってくれたのでした。場所柄と夜のせいもありちょっとお高めですが、メイン料理が「てんぺ」だの「とふ」だの、あと名前を失念したのだけどグルテンで作ったもどき肉(食感はきのこっぽい)といった完全マクロビオティック食。にも関わらず洗練されていて、こちらもワンプレートでしたがボリュームはたっぷり。一番安いセットで14ユーロ弱。見た目も美しく写真を撮らなかった私はブロガー失格です。食後にティザンヌ(=ハーブティー)を飲むのがベジタリアン風だということで、ティユールとカモミーユをいただきました。よく寝れるとのこと。テーブルに「ゴマシオ」という調味料が置いてあったのですが、日本のと似ても似つかぬものですた。

■LES CINQ SAVEURS D'ANADA, 72, RUE DU CARDINAL LEMOINE

なんかムフタールは平日にも関わらず、(アメリカ人らしい)観光客で賑わってて、パリジェンヌの友人もちょっとびっくり。ヨーロッパ景気いいんだなあー。それにひきかえ日本人はあまり見かけなかったんだけど、1ユーロ=150円が大きな壁になっているのでしょうか。ぶらぶらセーヌのほうまでお散歩したんだけど、世界各国のレストランがある中おしゃれなベジタリアンの店が結構あちこちあるのに気付いた。最近のブームなのか?チベット料理屋も二件並んであった。チベットも結構ベジタリアンらしく今度はこれにトライしようということに。

そういえばビオ・コープ(=オーガニック生協)も行ったけど、平日なのにすごい賑わってた。中高年金持ち層(格好はヒッピーぽい人も、左翼インテリの証。でも日本と違って?お金持ちだったりする)、あと男性の独り者っぽい人もちらほら。働いてる男性がなんかホモっぽそうな人が多かった。でもとても親切ですた。「ノキア入りパスタ」ってのが何だかうまそうだったのでノキアって何?とか聞いたら少し慌てて、現物持ってきて見せてくれた店員のお兄さんとか。ちなみにこのノキアってメキシコの穀物の一種で見た目は稗・粟って感じ。スーパーにあるポリ袋のつもりで「袋ください」と言ったら実はエコバック(とうもろこし澱粉から作った、燃やしてもダイオキシンのでないもの)でしかも売り物だったのですが、無愛想ながら「ホントは売り物なんですけどあげますよ」ってくれたレジのお兄さんとか。ラッキー♪、いや、いつもはマイバッグなんですよ。今回もちゃんと買ったものを詰めるためのリュックを持ってったんだけど、思いのほか買いすぎて入らなくなってしまった。ちなみにホントは6サンチーム(=9円)なんだって。パリ13区、グラシエール通り55番地。平日午後2時からしか開店しませんのでご注意。

本文と関係ないけど、写真はマンガ・カフェ。フランス版、マンガ喫茶ですた。実はヨーロッパ初上陸の店らしい!インターネットしたり飲み物も飲み放題で時間制、ほぼ日本と同じシステム。

noisette

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2006年09月30日

ディープインパクト、凱旋門賞に挑戦、フランスの直前現地情報!

ロンシャン競馬場は今や5万5千人の観客を迎え、200カ国10億人がテレビで観戦すると言われているが、今年はディープインパクトの出走で日本の競馬ファンが盛り上がっている。発走時刻は10月1日午後5時35分(日本時間10月2日午前0時35分)。「イギリスのブックメーカーによると、日本時間30日午後6時現在で、3・75倍でシロッコと並び2番人気になっている。1番人気は3・5倍のハリケーンラン」とニュースにあったが、最新情報では1番人気?日本のファンが買っているのだろうか。

★イギリスのブックメーカーのオッズがまとめて載っています。コチラをクリック。

まずは30日付の仏「リベラシオン紙」に今年の凱旋門賞に対する日本の競馬ファンの熱狂ぶりが報じられている。

ディープインパクトの出走が決まってからフランス・ギャロップ(レースの主催団体)の電話が鳴りっぱなし。お祭りに参加したいという問い合わせが来ない日はなかった。200人近くの日本の報道陣が競馬場の国際プレスセンターの3分の1を占拠するだろう。去年、凱旋門賞は5万人の観衆を迎えたが、今年は「日出ずる国 pay du Soleil levant」から5000人から1万人の競馬ファンがやってくる。東京パリの往復便はどれも満員だ。
競馬は日本でもっとも人気のあるヨーロッパのスポーツのひとつだ。日本では年間240億ユーロ(1ユーロ=150円)のお金が賭けられる(フランスでは80億ユーロ)。ジャパンカップには14万人が参加し、賞金総額は360万ユーロ。国際的に活躍するジョッキーたちは東京の道端でサインを求められ、一緒にファンとポーズをとる。フランスのスターである、オリビエ・ペリエは2ヶ国語で自分のサイトを運営しているが、フランス語と英語ではない。フランス語と日本語なのだ!彼の友人でもある、日本の最大のジョッキー、武豊は日本のモード雑誌の表紙を定期的に飾っている。
何で日本人はこんなに競馬に熱狂するのだろうか。イギリスやアメリカでさえこれほどの絶頂には達してはいない。ひとつは賭け事の趣味がある。他の大半のアジア人と同じように、日本人は様々な種類の賭け事を楽しむ。ふたつ目は、日本と他のアジアの国の違いを際立たせているのだが、それはアメリカの影響である。香港やインドやシンガポールはイギリスの植民地として、イギリスの影響のもとに競馬を発展させてきたが、日本は1945年以来、パートナーのアメリカの影響下にあったのだ。日本では競馬は、時には屈辱的である過去の遺物ではなく、戦後の驚くべき飛躍のひとつの要素であった。3つ目は、日本人は同時代人の最良の人々を神格化するのが好きなのだ。騎手と馬のカップルは、とりわけ馬が美しく、華奢で、速いときには、簡単にヒーローに変わる役柄なのである。(中略)
今回の凱旋門賞ですべての日本人がディープインパクトが勝つことを夢見ている。ディープインパクトは色の濃い服を着た筋肉質の小さな馬だが、パリに運試しにきた最初の日本のチャンピオンではない。ジョッキーの言葉を信じるなら、1999年の凱旋門賞で2着に入ったエルコンドルパサーよりも良い馬だ。それならばディープインパクトは日曜、世界最大のレースで、非ヨーロッパの初めての勝者になれるだろう。また、パリジャンよりも凱旋門賞に詳しい日本人の情熱と競馬文化に報いることができるだろう。
Liberation, 30 septembre 2006

次もネットで見つけた記事であるが、どこで拾った記事かわからなくなってしまった。とりあえず紹介。

「第85回凱旋門賞の注目は日本のチャンピオン、ディープインパクトの存在であろう。日本ではひとつの現象にまでなっていると聞くが、パートナーの武豊は「日出づる国」を揺り動かすような挑戦に打って出る。ロンシャン競馬場では200人以上の日本の報道陣が日曜日が来るのを待ち構えている。もしハリケーンランがアレッジド(77年、78年と2回凱旋門賞を勝ったサラブレッド、それ以降同賞を連覇した馬はない)に追いつきたいなら、大試合を演じ、父であるモンジュー(1999年の凱旋門賞でエルコンドルパサーを破った)よりも良い結果を出す必要があるだろう」

つまり、ハリケーンランの凱旋門賞連覇に立ちはだかるのが、日本から来た馬、ディープインパクトというわけだ。ハリケーンランの父、モンジューは1999年に日本からの挑戦者エルコンドルパサー(2着)を下し、同賞を勝った。そういう因縁を言っているのだろう。

■凱旋門賞 Prix de l’Arc de Triomphe
★賞金総額200万ユーロ(3億円):1着賞金114万2800ユーロ(1億7000万円)
★斤量3歳:56 kg; 4歳以上:59.5 kg 1/2 (牝馬- 1 .5kg )
★2400m、芝

■出走馬
1)DEEP IMPACT JPN M.PS. 4 ans
Par SUNDAY SILENCE USA et WIND IN HER HAIR IRE
Y TAKE 59,5 kg
2)HURRICANE RUN IRE M.PS. 4 ans
Par MONTJEU (IRE) et HOLD ON GER
KF FALLON 59,5 kg
3)SHIROCCO GER M.PS. 5 ans
Par MONSUN GER et SO SEDULOUS USA
C SOUMILLON 59,5 kg
4)PRIDE F.PS. 6 ans
Par PEINTRE CELEBRE USA et SPECIFICITY USA
CP LEMAIRE 58 kg
5)RAIL LINK GB M.PS. 3 ans
Par DANSILI GB et DOCKLANDS USA
S PASQUIER 56 kg
6)SIXTIES ICON GB M.PS. 3 ans
Par GALILEO IRE et LOVE DIVINE GB
L DETTORI 56 kg
7)IRISH WELLS M.PS. 3 ans
Par POLIGLOTE (GB) et SIGN OF THE VINE (FR)
D BOEUF 56 kg
8)BEST NAME GB M.PS. 3 ans
Par KING'S BEST USA et FLAWLY (GB)
O PESLIER 56 kg

フランス語で表記されるとこんな感じです。今年は一桁の8頭立てのレース。日本でもおなじみのペリエ騎手(凱旋門賞では96、97、98年の3連覇の偉業を達成している)はベストネイム、デットーリ騎手はシックスティーズアイコンに騎乗。2行目は父と母。ディープインパクトはサンデーサイレンス産駒。先ほど指摘があったが、ハリケーンランの父は、99年にエルコンドルパサーを下して勝ったモンジュー。Terrain prévu : BON とあり、馬場状態は良いようです。

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2006年09月28日

ノワゼットのおフランス便り(1)

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 10/5号 [雑誌]安倍さんが自民党の総裁に選出される直前に用事でフランスに行って、選出された数日後にフランスから帰ってきました。

今回キャセ・パシフィックを使ったのでまず香港までの飛行機の中で国際版の英語新聞を読んだのですが、まあこれは中国よりの意見だからこんなもんだろという感じでした。しかしながらフランスのマスコミでも、日本の政治が批判的にかつ的確な分析とともに連日取り上げられていて、日本だとネットにアクセスしてないと知ることができないような内容が日常的に読めてしまうのでした。だから、フランスの友人たち(インテリに限らないフツーの人も)は日本人以上に日本のことを客観的に語れるし、何より冷静に分析を加えて語ってくれるので大変面白い(時々イヤミとしか聞こえなかったりすることもありますが)。この件以外でもいろいろ議論を吹っかけられますた。

「日本の子供のイジメに関するテレビ放送があって、日本の子供は子供のころから学校の成績が一番になるように親からプレッシャーを掛け続けられるって言ってたけど」と解説を求められたり(汗)。これにはこのように答えましたーっ(汗)。「つまり子供のころから競争が激しくて本当の人間関係が築けないんだよね、だからイジメはフランスの郊外の問題のように暴力的なのではないけれど、もっと陰湿でその子の居場所を奪っていくようなものになる、最悪なのは子供は忙しい親にも相談できず自殺する子供が後をたたない、言ってみれば周りが皆敵なんだよね」。「敵」という言葉に、放送内容に対する理解と一致したようで深く納得されました。皇室問題についてもあっさり「あれらの妊娠は人工的なものでしょう?男だってわかったうえでの帝王切開だったていうし」「日本ではお世継ぎが出来てうれしいんでしょうけど、女の人は子供を生む道具なんだねー」て言われて、Bien sur, c’est une histoire abominable! とあわてて付け加えるはめになったりして、なんか知らないのは当の本人たちだけなんじゃ…って気になってきました。冗談で「なんで革命しないの?」って言われて、「それはフランスの十八番でしょ」と返すのが精一杯。

結局日本て民主主義国家というよりは戦前の、さらには戦国時代の将軍に支配された軍事政権の伝統が支配し続ける国って感じのイメージで見られてるのだなーと。前にもはっきりそう言われたし、ますますアベシの言うこと聞いてると時代逆行してるとしか思えないし。「日本の人たちって、サムライの時代の農民みたいに、為政者にどれだけいじめられても黙って従うんでしょ?」と、革命の国の人たちに言われると返す言葉もありません。

アベシに関しては、「リベラシオン」(格調高い翻訳はこちらにおまかせ♪)はもちろん、「ル・モンド」も「ヌーベル・オプセルヴァトゥール」も「彼は日本の過去の罪を否定し、戦後の平和主義路線を捨てて自衛隊を軍隊にし、核装備も辞さず、軍事路線をまっしぐら、大変怖いヒト」みたいな記事ばっかり(「若くモダンな外見なのに」、という一文は意識的に削除すますた(^^;)。でも、これはひねったイヤミなのか?写真の顔がなんか怖いのね、明らかに日本のマスコミが使ってる写真と違う、ちゃんと反対派のデモの写真もつけてるし)。もちろんヒステリックな書き方じゃなくてきちんとソースを提示して、緻密に分析するのでちゃんと意見の違いがあっても議論(弁証法)になるんだけど(少なくとも表向きは)、日本のマスコミってこれが決定的に欠如してて、なんか圧力があるのかとしか思えない。それとも日本のマスコミがそこまでアホなのでしょうか。おじいさんの過去とか突っ込むのに最高の機会でしょうが。でもほにゃららが怖いのね…うう、ここは言論の自由なんて微塵もない軍事政権国家でしただよ。なんたって「古い政治王朝の子孫」ですもんね、ほにゃららもカルトもケーサツもマスコミも思いのままですた。

とどめは帰りの飛行機。香港の英字新聞(行きと同じようなの)と朝日新聞国際版を同時に見てへなへな。まあ立場の違いを考慮せず比較するのも悪いんだけど(あくまで良心的に言ってですが)、一面の真ん中に「世論調査の結果、安倍新総裁良かった57パーセント」という見出しと、「ほんとかよ」と突っ込みを入れたくなるような、しかもずさん極まりない「全国緊急世論調査(電話)」の、あまりにもバカバカしい「解説」になってない「解説」。一体、何が「良かった」んだか(日本式の丸く収まってよかったってこと?)。他の新聞では、「人柄が信頼できる」が半分を占めてる(テレビで見たことしかない人間の人柄が信頼できるって?)。おいおーい、何にも言ってませんよーっコレ。しかし裏を返せば、この死んでも多くは語るまいというこの堅固な姿勢、良心の残っているマスコミ側からのメッセージかも?とは単なる深読みでしょーかね。
(続く)

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 10/5号 [雑誌]
特集「世界が見た安倍晋三貴公子政権の弱点はここだ!」「日本のマスコミが語らない菊のカーテン」

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2006年09月26日

ジョニー・デップ&ヴァネッサ・パラディ

paradepp01.jpgFRENCH BLOOM NET(メインブログ)の方に立て続けに2本、ヴァネッサ・パラディのエントリーを書いた。ヴァネッサ・パラディは「パイレーツ・オブ゙・カリビアン」で脚光を浴びているジョニー・デップの妻で、2人の子供まで儲けている。世界の女性たちの羨望の的であるが、そもそも何でジョニー・デップとヴァネッサ・パラディがくっついたの?という根本的かつミーハーな疑問がわいてきた。

で、調べてみたら、こういうのを見つけた。「ヴァネッサ、ジョニーを語る」というインタビュー。フランス語のインタビューだが、英語の字幕がついている。「Johnny on Vanessa」というジョニーがヴァネッサを語るインタビューもあった。

男は最初のうちはキレイだとか、好きだとか、いろいろ言ってくれるけど、恋愛は長くは続かない。だけどジョニーとは見つめ合うだけじゃなく、いろんなことを話したの。「ジョニーは2003年の最もセクシーな男に選ばれましたが、心配になりませんか」という質問には、全く心配ないわ、彼はわたしのものだから、だって。よくよく聴いたらノロケ全開だった。

Vanessa talking about Johnny

Johnny on Vanessa

ヴァネッサが歌うONEって曲(バックで歌っているのはジョニーだという噂はデマらしい)をバックに、二人のラブラブなツーショット写真のスライドショーが展開するビデオも見つけた。どこかのファンの方の手作りのようだ。このONEって曲、泣きの入ったなかなかいい曲。ジョニーのファンはあまり見たくないだろうけど、クールなお似合いのカップルだ。

Johnny and Vanessa“ONE”


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2006年09月20日

レバノン侵攻、あるブロガー兵士の死

イスラエル軍の伍長(sergent)であるアンドレイ・ブラドナー(Andrei Brudner)、18歳がレバノンで死んだ。その2週間前、彼はブログの最後の記事で前線に送られることを読者に知らせていた。

「僕のことがメディアで語られるかもしれないが、それは長くは続かないだろう。しかし、僕たちはそれを長く続かせるための十分な弾薬を持っている。僕の幸運を祈ってください」

すでにイラクやアフガニスタンで、アメリカのブロガー兵士(ブログをやっている兵士)がすでに何人も死んでいるが、アンドレイは今回のレバノン侵攻の最初のブロガー兵士となった。爆撃の向こう側、インターネットの世界にも戦争が広がっている。

少し古い8月13日のル・モンド紙の記事。日本の終戦記念日の2日前のニュースだったので、リアルタイムで紹介したかった記事だ。

「それを長く続かせるための爆薬」とはブログでの議論のことなのだろう。メディアはセンセーショナルなニュースとして扱っても、すぐに忘れてしまう。メディアのニュースは使い捨てなのだ。戦争に巻き込まれた当事者の生々しい声がブログによって聞けるようになった。こういう経験はもっと広がり、決定的な影響を及ぼすだろう。つながらなかったところがつながる。ブログはまさに爆薬であり、人の心を変えるかもしれない武器なのだ。当のイスラエル兵であっても、ヒズボラに対する憎しみ一色に染まっているわけではない。国家と個人のあいだに強制的に立たされ、葛藤しているのだ。亡くなったイスラエル兵がどんな議論を望んでいたのか知る由もないが、それは政治家やメディアによって作られた一方的で想像的な他国像や他民族像を信じることではないことは確かだ。

La « cyber-guerre » : des blogs entre dépit et colère
Article publié le 13 Août 2006
Par Jean-Marc Manach
Source : LE MONDE

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2006年09月17日

あるフレンチ・ラッパーの裏切り(2)

しかし、これまでラッパーと右派政党とのあいだに親和性が全くなかったわけではない。ラップはフランスのナショナリズムを揺るがす象徴でありながら、一方でそれを担う役割も果たしてきたのだ。

例えば、MC Solaar は洗練された文学的なラップで知られているが、1994年に国民議会の演説で当時の文化大臣、ジャック・トゥーボンがフランス語の擁護者としてSolaarソラーの名を挙げ、「現代のランボー Nouveau Rimbeaud」と賞賛したのは有名なエピソードだ。ソラーはフレンチ・ヒップホップの系譜よりも、レオ・フェレ、ジョルジュ・ブラッサンス、セルジュ・ゲーンズブールなどのフランスの伝統的な詩人=ミュージシャンの系譜に数えられたりする。またル・モンドがアルバムや発言を紹介したり、高校や大学でソラーのラップが授業の教材として取り上げられたり、インテリ好みのラッパーだ。当然、その一方でハード系のラッパーたちからは、システムへの妥協だと非難される。

フランスのポストコロニアルな状況において、移民系のミュージシャンが、アメリカの黒人文化に端を発するラップという形式を用いて、フランス語を新鮮に響かせ、言語を通したナショナリズムの顕揚に動員されるという興味深い事態に注目しよう。一方で、Daft Punk ダフトパンクのようなグループ(フレンチ・エレクトロが富裕層の子弟によって担われているという指摘もある)が、英語で歌ったり、日本のアニメーターとコラボしたりして、脱ナショナルな、グローバルなものを志向している。

フランス文化の保護を目的としたペルシャ改正法という法律がある。放送サービスにおけるバラエティー音楽番組は、視聴率の高い時間帯(6:30-22:30)において最低40%をフランス語表現の歌とし、そのうちの半分はゴールドディスクを取っていないアーティストか、正式に発表されてから6ヶ月に満たない新曲とすることが、この法律によって定められた。つまりこの法律が意図するところは、圧倒的な力を持つ英米音楽から、フランス語によって表現される音楽を保護し、フランスの若いミュージシャンを育成することである。

このペルシャ改定法は一方でフランスにおけるヒップホップの普及に貢献したと言われている。フランス語の新しい曲のレパートリーを要求するその法律が、フランス語で歌われるマイナーなヒップホップの発掘を促したからだ。それはヒップホップを聴く層とラジオを聴く層がある程度一致していたからなのだろう。ラジオを聴くのが好きというより、CDが高価すぎて買えないという層も確実に存在するのだ。しかし、フランス語で歌われているとはいえ、ヒップホップというNY生まれの、それも移民系のミュージシャンによって担われる音楽が普及することを、この法律は果たして望んでいたのだろうか。

98年のワールドカップのフランス大会での優勝時に、シラク大統領が多民族で構成されたナショナル・チームを通して多民族国家フランスをアピールしたこと。あるいはイラク戦争に反対する立場を取ったシラク大統領が移民系の人々の支持を集めたこと。このようなナショナリズムのねじれ現象を私たちは頻繁に目撃する。19世紀的な、国民国家的なものが空中分解しているのを目の当たりにする一方で、現在のフランスのナショナリズムが、それまで排除されていた人々をも動員しながら、巧みに演出されていることを見逃してはならない。


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2006年09月12日

あるフレンチ・ラッパーの裏切り(1)

gyneco01.jpgフランスの与党(中道右派)、国民運動連合がマルセイユで党の夏季セミナーが3日に終了した。来春のフランス大統領選挙に向けた支持率調査で党内で独走しているサルコジ内相(与党党首)はセミナーの最終日に7000人の若手党員を前に、「あなた方は(大学改革などを求めてバリケードを築くなどした)68年学生蜂起で左派が残した負の遺産の犠牲者で、今なお負債を払わされている」と威勢よく左派を攻撃した。

このセミナーで物議を醸した事件がある。それはフランスの大物ラッパー(rapper 英、rapeur 仏)、ドク・ジネコ Doc Gynéco (写真)がセミナーに参加して、サルコジの支持を表明したことだった。サルコジといえば、去年の秋の暴動の際に、移民系の若者をごろつき racailles 呼ばわりして、彼らの激しい反発を買った。

移民系の若者の最大の敵と目されていたサルコジと、移民系の若者の代表であるはずのラッパーが肩を並べてTVに映り、公然とサルコジを支持したものだから、怒りと絶望がラップ界を渦巻いた。長いあいだジネコと親しかったひとりの大物、ストミイ・ビュグシ Stomy Bugsy(1994年にジネコらと Minister Amer というグループを結成している)が、左派系の「リベラシオン紙」に、「裏切られた気持ちだ、仲間を分断し、移民をスケープゴートにするようなやつは支持できない」と訴えた。さらにこう続けた。

ブルーノ(ドク・ジネコの本名)がサルコジに接近しているという噂を耳にした。1月の半ば、NRJ・ミュージック・アワードの授賞式の際に、「噂は本当なのか」と問いただしたが、「それは噂にすぎない」と断言した。オレと目と目を合わせながら、ウソをついたわけだ。オレは悲しい。いまでも理解できないでいる。オレはあいつの兄の関係にあり、あいつのデビューの手助けをしてやったのもオレだ。オレの目の前ではあんなことを宣言できなっただろう。しかし、右側に寄るにしても、あいつはジュペやヴィルパンを非難してたんだ。誰を支持してもかまわないが、サルコジだけはダメだ。サルコジは移民を貧困に陥れ、家族を分断し、(国外に退去させるために)子供をつけねらう張本人だ。ブルーノはいつも挑発的なやり方をする。しかし、理解できない。金が絡む罠があったにちがいない。あいつは悪魔に魂を売ったんだ−Il a vendu son âme au diable!

あるライターはこう書いている。

ラップが長いあいだ、失業と差別のゲットーであるシテ(移民系の人々が住む郊外の団地)の中に閉じ込められた人々の、ときには暴力的な警告の叫びであったとしても、それは次第に、贅沢と資本主義のショーウィンドーに変わってしまった。大きな車と大きな胸の女たちが、いつもアメリカのラップのビデオクリップに出てくるではないか。アメリカでもラップは成功と不平等のシンボルではなかったのか。フランスのラッパーがこのようなイメージを踏襲することで、「バンリューの解放」という理想をすでに裏切っていたのではないか。

一方、ジネコは「サルコジ氏は、自分にとって友人だ。そして私に考えることを手助けしてくれた人だ。去年の秋の暴動の際にサルコジと出会い、話し合い、互いに認め合った」。また「投票権を持つ人々に私が誰それに投票するように指示できるわけではない。しかし、極右や反同性愛主義者やすべてに反対する人々がいるならば、彼らの声(支持)が必要だ」とも答えている。

極右よりは中道右派の方がましってことなのか。サルコジが食えない戦略家だとしても、なぜジネコはサルコジを支持するのだろうか。イメージ的にもプラスになるとは思えないが。いずれにせよ、政治的な音楽であるラップと、具体的な政治の動きとの関わりは興味深いテーマだ。
(続く)

Doc Gynéco: Sarkozy, mon "petit maître à penser" (AFP、9月2日)
Rapeur de droite ! (LE JOURNAL MEDIA、9月6日)
■Le rappeur réagit, vigoureusement, au soutien apporté par son «petit frère» à Nicolas Sarkozy.
(LIBERATION.FR 、9月5日)

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2006年09月08日

マリ・クレールパリ特集&今週のフランスTV

marieclaire02.jpgマリ・クレール10月号でパリ特集、最新ガイド+モード全88P!
「パリ特集−PARIS AMOUR、パリ、愛してる」
4大都市の旅ガイド「マリ・クレール−4都物語」の第2弾は、パリ特集。マリ・クレールのパリ特集は定番というか、年中行事ですが、東京ほどでないにしろ、パリの移り変わりの早い街になりました。それゆえ、最新情報と最適化への心得は必要不可欠なのでしょう。

■久々、今週のフランスTV
★9月9日「最新モードに絶品グルメ満載−極上のパリへようこそ」
テレビ東京16:00-17:15
最近テレビでもよく見かける、森英恵のお孫さんのファッションモデル、森泉がパリを案内。

★9月10日(日)「COOL JAPANスペシャル−JAPAN EXPO 2006 パリっ子の好きなニッポン」
NHK-BS2 19:30-21:00
パリで開催された「JAPAN EXPO」の模様をお届け
▽アニメソングを歌いコスプレに興じるパリっ子たち
▽生け花、剣道、金魚すくいなどの日本文化を扱ったブース

本ブログでも紹介した「JAPAN EXPO 2006」。日本のサブカルチャーを集める「ジャパンエキスポ」がパリ郊外で7年前からほぼ年に1度のペースで開催され、今年は7月7日から3日間の日程で行われた。NHK(BS2)で、その模様を紹介。フランスは世界で最も早く日本のアニメが紹介された国のひとつであり、日本に次ぐマンガ市場。エキスポ関係者によると、コスプレ人口も増加中で、パリ近郊だけで約2500人を数える。

★9月10日(日)「とっておき世界遺産100〜人は塔に夢を託す」
NHK総合11:15〜11:30
サン・ジミニャーノ/クトゥブ・ミナール/ベルギーとフランスの鐘楼群
★9月17日(日)「とっておき世界遺産−遺産の輝きを守る〜補修・修復を支える人々」
NHK総合11:15〜11:30
パルテノン神殿/シャルトル大聖堂/ドブロブニク旧市街

7月の中旬くらいにNHKで「世界遺産100」のフランスものが連続して放送されていて、面白かったと何人かの方々から情報をいただきました。再放送は見逃さないぞと思っていましたが、今週再放送をやっていたようですね。今度はうちのテレビが故障してしまって、また見れませんでした。来週は「とっておき世界遺産100」が放送され、フランスが絡む話題が扱われます。10日の放送では、フランスとベルギーにまたがるフランドル地方の「市民による自治都市」に建てられた数多くの鐘楼の話題が。17日の放送では、ステンドグラスの宝庫と呼ばれるフランスのシャルトル大聖堂が登場。「シャルトルの青」と言われるくらい、この教会の青を基調にしたステンドグラスは、海の底にいるように美しいのですが、番組では、代々ステンドグラスの修復に携わってきたステンドグラス職人にスポットが当てられます。

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2006年08月14日

全国合同フランス祭 Festival Tricolore

shinhukan01.JPG8月20日(日)、
京都「新風館」(写真)にて、
学生たちによる「フランスフェスティバル」開催!


「オシャレ」なだけのイメージを打ち壊し、若者の視点から見たもっと馴染みやすいフランスのイメージを一般の人々に知ってもらいたい、もっと「生きた」フランスを伝えたいと、このたび関西の大学でフランス語を学んでいる学生が中心になって団体を作りました。名前は L’équipe Tricolore 、このフェスティバル・トリコロールの運営委員会です。

この団体の目的は2つ、

1)フランスフェスティバルを開催し、一般の方々にももっとフランスに興味を抱いて頂くようにすること。
2)フェスティバルを通して、これまでつながりが強くなかった大学同士、大学と日仏協会・一般企業など、フランスに関わるあらゆる組織間の交流をもっと盛んにすること。

そして記念すべき第1回目のフェスティバル!月並みな情報だけでなく、もっと多角的に「フランス」という国をとらえ、一般の方々に新しいフランスのイメージを発見してもらうことをコンセプトに、皆で知恵を絞って考えたイベントです。フランスに興味のある方、ぜひ参加してください。お待ちしています!

Lequipelogo01.JPG8月20日(日) 11時−19時 
フェスティバル・トリコロール(京都烏丸御池商業施設「新風」)
☆イベント内容:
フランス地方菓子を中心としたカフェ
さまざまな地区のパリジャンをモデルにしたファッションショー
景品出るかも?!−フランス・クイズラリー
私たちが作りました、映画上映会
…etc.

お問い合わせは運営委員会HP: http://glyph-on.jp/mt01/lequipetricolore


★今日のエントリーは今週末、京都で行われる「フランス・フェスティバル」の案内です。フェスティバルを主催するL’équipe Tricolore は大学の枠を超え、フランスでつながる学生さんたち集まりです。

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2006年08月12日

「戦争の克服」(2)

戦争の克服今年の初め、神戸市立博物館で、「ナポレオンとヴェルサイユ展」が開催されていた。ナポレオンはパリのノートルダム大聖堂で戴冠式を行ったが、皇帝戴冠(1804年12月2日)から200周年を記念してのイベントだった。ナポレオンが活躍した時代は、歴史が大きく転換した時代であり、面白い逸話も満載だ。

学生に対して毎年行っている「あなたの知っているフランス人を挙げてください」というアンケートで、ナポレオンはいつも歴史上の人物の中で断トツの1位。そして、ベートーベンの交響曲じゃないが、ナポレオンの頭には常に「英雄」という言葉が冠される。

関係ないけど、政治家や経営者って何であんなに戦国武将が好きなんだろう。やれ信長だ、信玄だ、家康だ。歴史的なコンテクスト(文脈)を無視した、一方的な想い入れを事ある毎に語っている。それもヘマをしたときや、悪事を働いたときに限って、自分を戦国武将になぞらえ、自分勝手な歴史ロマンで美化している。

ナポレオンに関してもそういうノリが結構多い。この展覧会に合わせて、「ナポレオンに選ばれた男たち−勝者の決断に学ぶ」(藤本ひとみ著、新潮社)という著作が発売されていたが、「勝者の決断に学ぶ」ってところが、政治家っぽい。ナポレオンの決断を、それも今の時代において一般化できるはずがない。

ナポレオンは血なまぐさい時代を生きたが、何よりも近代戦争の確立に大きく貢献した。それ以前の戦争を担っていたのは主として傭兵だった。彼らは勇敢で、個性的だが、それゆえに扱いにくい存在だった。それこそ日本の戦国武将を思い出してみるとわかりやすい。敵からの取引に気軽に応じ、簡単に寝返るし、国家に忠誠を誓うよりも、自分の命や個人的な利害を優先した。しかし、新しい戦争が求めていたのは勇敢で個性的な戦士ではなく、上官の命令に従順に従い、命令を遂行する集団的な能力だった。ナポレオンは徴兵制を敷き、フランス全土から兵士を集めた。国民皆兵の始まりだ。当然、彼らは普通の人々だった。みんなが勇敢なわけではない。しかし、近代戦争においては臆病な人間の方が扱いやすい。臆病な人間ほど命令に対して忠実だからだ。

ナポレオンは自軍を敵軍に可能な限り接近させる戦法を取った。前線の兵士たちは敵軍と自軍の板ばさみになる。背後には自軍の兵士が「引き返したら殺すぞ」と銃を構えている。彼らが怖いのは敵よりも上官なのだ。彼らは敵に死に物狂いで突撃するしかない。彼らに臆病さを克服させる必要はない。戦うことを、殺すことを余儀なくさせればよい。

殺されたくなければ殺せ。

「戦争の克服」の紹介文に「誰かを殺したくないし、殺されたくない。多くの人が思っている」と書いてある。近代戦争は、この素朴で、本能的な欲求を踏みにじり、「殺されたくなければ殺せ」という状況に追い込むのである。この時点で戦争は質(=個性)から量に変化した。そういう普通の人々のがむしゃらな力を、均質な量として前線に投入する。ゆえに以後戦死者が爆発的に増えることになる。

ハイテク兵器の時代とはいえ、地上戦ではこういう原理は未だに生きているのだろう。イラクに送られているのもまたアメリカの普通の若者なのだ。奨学金がもらえるので、兵士に登録する貧しい学生も多い。マイケル・ムーアの「華氏911」にもそういうシーンがあった。奨学金がもらえてラッキー、くらいにしか思ってなかったのに、いきなりイラクに行けって、ウソだろ?聞いてねーよ。軍関係者が高校の食堂で貧しそうな学生(特に黒人)に「大学に行かせてあげますよ」とリクルートしているシーンもあった。これも格差社会アメリカの一面だ。自衛隊は無事イラクから帰って来れたが、この前、NHKでやっていたイラク帰還兵のドキュメンタリーは想像を絶するものだった。ある若いアメリカ兵が、仲間たちが見えない敵におびえて、次々と精神に支障をきたしていく様子を語っていた。

もちろん「NHK的中立」というやつで、この現実を日本の問題としてフィードバックさせることは全くなかった。NHKの代わりにフィードバックしてみよう。大量のアメリカの国債を買って、膨らむ戦費を下支えして、沖縄の基地には思いやりの予算をつけて、自衛隊は何だが米軍に組み込まれつつあって、かつイラクが泥沼化して、イラクでやっていることがだんだんとバレてきて、新しい人材を投入したり、リクルートしづらくなっている現状。そこから推測するに、今度やるときは、日本は形だけでなくちゃんと人を出せ、あるいはもっと人を出せる体制を作れ、ということになるんだろうか。安倍さんの「美しい国へ」を立ち読みさせていただいたが、アメリカと行動を共にしたい、というお祖父さんゆずりの強い意志をもっていらっしゃるようだし。

戦争の克服
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阿部 浩己 森巣 博 鵜飼 哲
集英社 (2006/06)

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2006年08月10日

「戦争の克服」(1)

戦争の克服鵜飼哲。注目すべき「フランス語系人」のひとりだ。ジャック・デリダの高弟、あるいはジャン・ジュネや移民文学の研究者として知られている。しかし、最近は「フランス文学」や「フランス現代思想」などを肩書きに使う人はめっきり減ってしまった。流行らないのだろうか。もっとも鵜飼さんの思索と活動の範囲は「フランス」という枠組みに収まらない。この本では哲学者と紹介されている。

鵜飼さんは、戦争を「この世界で生きていくために考えなければならない最も本質的なテーマ」と位置づけ、一橋大学で「平和と文化」というリレー講義をコーディネートしている。この講義は、語学教員が中心になって各国の「平和と文化」を論じ、さらに憲法や歴史の講義をからめることで、戦争をどう考えるかという判断力に不可欠な教養を与えようという試みだ。

戦争という巨大なテーマを巡っては、自分の専門領域に閉じこもって個別に思索を深めるだけでなく、保守、リベラルを問わず、知識を持つもの同士の交流の必要性がある。それがリレー講義という形で実現されたようだ。

さて、この対談本。一橋大学のリレー講義のエッセンスが収められていることを期待したいのだが、インタビューアは自称「対談の名手」いう森巣博。オーストラリアに住むギャンブラー兼作家なんだそうだ。同じような形式の対談本「克服シリーズ」がいくつか出ていて、「ナショナリズムの克服」では姜尚中さんと対談。

戦争をどう理解したらいいのか?
戦争に対する新しい解釈が得られれば、戦争を克服できないまでも、そういったバカバカしい「正義の体系」に、せめて穴を穿つことくらいは可能となるんじゃなかろうか。

森巣さんがチューサン(中産=中学3年レベル)階級の代表として、戦争に関する素朴な質問をぶつけ、それをわかりやすく説明してもらうという形式で対談が進行する。そして途中から国際法学者の阿部浩己さんが加わる。「テロのとの戦い」という大義名分で、アフガン戦争、イラク戦争とアメリカがやりたい放題やっているなかで、一体国際法はどうなっているのか。これも私のような素人も素朴に抱く疑問である。

広島に原爆が投下されたのが6日、昨日9日は長崎の日である。そしてもうすぐ終戦記念日。「今戦争のことを考えなくていつ考えるんだ」という時期にお薦めの一冊である。(続く)

戦争の克服
戦争の克服
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阿部 浩己 森巣 博 鵜飼 哲
集英社 (2006/06)

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2006年07月29日

宮崎アニメ特集(1)−「ゲド戦記」と2世の台頭

「ゲド戦記」が今日封切られる。「ゲド戦記」は宮崎駿ではなく、息子さんの宮崎吾朗の作品だが、アニメ界のサラブレッドの実力が試される。

以前にもまして2世の活躍が目立つ今日この頃。2世の台頭は格差社会の象徴的な現象と言われる。2世は勝ち組の親の遺産やノウハウや信用をそのまま継承できる。下流出身は親から受け継ぐものが何もない。今やお金がないとまともな教育も受けられない。成り上がることが難しくなったということだ。今の若者は2世に憧れるのだという。昔は2世というと、伝統に縛られ、親の言いなりになるしかない不幸な人ってイメージがあったが、今は違う。情報過多の世に生まれ、やりたいことが見つからない若者にとって、最初からやることが決まってる人間はうらやましいのだ。フリーターに共同取材を試みた金子勝と大澤真幸が「見たくない思想的現実を見る」でこんなことを書いていた。この感覚は、私たちが一般的に抱く「スタート地点がすでに違う2世はインチキだ」というのとちょっと違う。

野心剥き出しの成り上がり者に対して、2世のやることはいつもスマートだ(多少ヘマをしても親がもみ消してくれる)。成り上がり者の代表格、堀江社長がこけたあと、GyaOとのシナジー効果を狙ってライブドアとすかさず提携したUSENのイケメン宇野社長。岡本綾を助手席に乗せてた朝帰りした中村獅童はおいといて、NHKの子供番組でもポップな展開を試みる狂言師、野村万斎。政治の世界は世襲が当たり前。余裕綽々、すでに首相気取りの安倍さんだが、ボンボンとしての風格も漂っている。お父さんは宮沢喜一、竹下登と首相の座を争って結局、首相になれなかった安倍晋太郎。そしてお祖父さんは「昭和の妖怪」と呼ばれた岸信介。

政治家の格差社会に対する頓珍漢な発言が目立つが、親の潤沢な基盤を受け継いでいる人たちには格差社会の残酷なリアリティなんて永遠にわかないんだろう。勝ち組の日常には何の影響もないんだから。とはいえ、優れた作品は正当に評価すべきということには異論はない。宮崎駿が息子に自分の仕事を継がせたのにはナルシシズムを感じる。自分に子供ができて、そういう世襲感覚というのが少しわかった気がする。

話がそれてしまったが、実は私、「ハウルの動く城」もまだ見てない。その前の「千と千尋の神隠し」から片付けなければならない。そうしないと先に進まない。7月はパリで「ジャパンエキスポ」があったり、パリ郊外に住む日本大好き少女が日本を目指して家出したり、フランスとの関わりでアニメが盛り上がった。おそらくフランスでも「ゲド戦記」の封切は待望されているのだろう。これも調べてみよう。

「ゲド戦記」が話題になっているときに、なぜ「千と千尋の神隠し」なのか?もうひとつ理由がある。「千と千尋」に関して授業で取り上げたこともあり、資料がそれなりに揃っているという個人的な理由からだ。それをここで吐き出してしまおうというわけ。フランス人が宮崎アニメをどうみているのか、どこに興味を持ってるのか、検証しておく機会があってもいいだろう。「POSITIF」というフランスの映画雑誌がある。そこに掲載された宮崎駿のインタビューを紹介しながら、「Miyazaki en(in) France」を紐解いてみたい。(続く)

■「ゲド戦記」公式サイト

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2006年07月21日

横尾忠則 パリ絵画個展と22面体ジャケット

横尾忠則ポスタア芸術パリのカルティエ現代美術財団で横尾忠則の個展が5月末まで開催されていた。グラフィック作品の個展は過去にあったが、ヨーロッパで絵画の個展を開くのは初めて。すでにヨーロッパで評価の高そうな感じがするが、批評とかを見ると、パリの人々は横尾忠則の独特の色使い(特に赤)に衝撃を受けていた。確かに、テーマといい、図柄といい、色調といい、これでもかというくらい、ヨーロッパの人たちに受けそうな気がする。フランス人の解説によると、「昇る太陽と北斎の波を背景に、芸者や金髪のピンナップガールやバロック絵画の小さな天使たちが交錯する、ポップなイメージのクリエーター」。日本では80年代にさんざんもてはやされていたが、横尾の作品群に初めて接したヨーロッパの人々にはきっと新鮮に映ったことだろう。気の利いた友人から横尾のイラストのポストカードをよくもらったが、昔の作品を改めて見るとやはり面白い。

ロータスの伝説(紙ジャケット仕様) (22面体ジャケット仕様)ところで、最近、横尾忠則がジャケットのデザインを手がけたサンタナの「ロータスの伝説」のCDが紙ジャケット仕様で復刻した。サンタナ絶頂期(1974年)の日本でのライブ盤(3枚組み)で、何とジャケットが22面体で構成されている。この22面体ジャケットはギネス級に大きく展開できるが、畳めばもちろんCDジャケットの大きさに戻る。美術評論家(いつのまにか多摩美の先生)の椹木野衣によれば、そこに風呂敷や折り紙に通じる和の精神が見出されるという。美術館で作品と距離をおいて鑑賞するのとは違う、22面体という法外で精巧な複製物を自分の手で触れながら楽しむというポップな体験が用意されているのだ。サンタナの音楽も、横尾忠則のグローバルなスタイルとも重なり合う。サンタナも息の長いアーチストだしね。

ちょっと高いマニア価格ですが、限定版なのでお早めに。

YOKOO DADANORI OFFICIAL SITE

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French Bloom Net 最新記事 「ミッシェル・ポルナレフ」(07/21)
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2006年07月14日

W杯特集(9)−ジダン、頭突きの真相

ジダン THE HISTORY 栄光の足跡【1972-2002】フランスのテレビ局 CANAL+(カナル・プリュス)にジダンが出演し、「頭突き(coup de tête ou coup de boule)」の真相を語った。インタビューがサイトで公開されていたので、早速見てみた。18分あまりのインタビューだが、リラックスした雰囲気で進行し、12分あたりから、核心部分に入る。

あの行為は、イタリアのデフェンダーが吐いた"des mots très durs"(とてもひどい言葉)が原因で、それはジダンの個人的な部分、母親と姉妹に関することだったという。そして、"Ce geste n'est pas pardonnable… "(あの行為は許されない)と認めた上で、いつもやった方が罰せされてしまうが、ひどい挑発があったから反応せざるを得なかったと弁明。具体的には、"Il y a une provocation, une provocation très grave, c’est tout." (挑発が、とても深刻な挑発があった。それがすべてだ)…"Il faut sanctionner le vrais coupable, le coupable, c'est celui qui provoque."(本当に悪い者が罰せられなければならない。悪いのは、挑発した者だ)とマテラッツィを非難していた。毅然とした弁明の合間に、あのシーンを見ていた多くの子供たちや多くのファンには申し訳ないと何度も繰り返すのを忘れていなかった。

FIFAは両選手から直接事情を聴くことに決めたようだ。処分を決める上では人種差別的な言葉があったかどうかが焦点になる。マテラッツィに人種差別的な言葉があったと認定された場合、マテラッツィに処分が出るのは間違いない。欧州各国ではアフリカ系選手らへの偏見や差別が根強く残っている。FIFAは今季から人種差別行為に対しては、勝ち点のはく奪を含めた厳罰姿勢を示し、今大会でも差別反対の啓発活動に力を入れていた。準々決勝の試合前には、8チームの主将が差別撲滅の声明文を朗読し、ジダンも観衆の前で、"Dites non au racisme."(人種差別にNOと言ってください)とフランス語で呼びかけていた。

今回のW杯の幕切れは、何だか納得のいかないものだったが、ジダンは今回の出来事で様々な問題を世界に投げかけることになった。ここ数日、日本のテレビ(それもワイドショー)でもこの問題が頻繁に取り上げられ、ジダンの父親は地中海をはさんだアルジェリアからマルセイユに渡ってきた移民で、ジダン自身はbeur(ブール)と呼ばれる移民2世だったという、彼の生い立ちや、去年の秋にフランス全土に吹き荒れた移民の若者の暴動を通して、深刻な移民問題を抱えたフランスのポストコロニアルな現状が、事細かに解説されていた。フランスの反人種差別団体「SOSラシスム」まで紹介していた番組もあった。こんなことでもなければ、一般の日本の人々はフランス社会の影の部分に興味を持つこともなかっただろう。

ジダンは、とりわけ98年のW杯以来、フランスを代表する人物として名を知られた。今年の学生に対して行ったフランス系有名人アンケートでもダントツの1位で、ここ数年不動の1位をキープしている。これほどの知名度の高いフランス人はこの先もなかなか現れないだろう。

そして、地中海に面した彼の出身地、マルセイユ Marseille の名もテレビで連呼され、今やパリ以上に注目されることになった。マルセイユには、Olympique de Marseille というクラブチームがある。去年、フィリップ・トルシエが監督に就任し、鹿島アントラーズの中田浩二が移籍したことで注目されたチームだ。今は二人ともいませんけどね。ジダンはマルセイユでプレイしたことはないが、昔からこのチームに憧れ、一度トライアウト(入団テスト)を試み、失敗した経験がある。

マルセイユといえば、人気映画シリーズ「TAXi」の舞台でもある。主人公のタクシードライバー、ダニエルを演じる俳優、サミー・ナセリも、ジダンと同じブール世代のスター。これは移民の存在を無視できなくなったフランスの現実を反映していると同時に、「TAXi」シリーズをプロデュースし、脚本も書いているリュック・ベッソンは、この新しいイメージを戦略的に活用して、この映画を世界的な成功に導いた。「TAXi」を見ていて、バックに流れる音楽が気になった人も多いだろう。1作目のサントラを担当したのは、フランスのヒップホップ界の代表格、IAM。彼らもマルセイユを拠点に活躍している。彼らはラップによって語られるストーリーの中で自分たちを「火星Mars(eille)からの来訪者」だと言ってたが、フランス人でありながら、異星人(=外国人)でもあるというアイデンティティーの主張なのだ。

このような「マルセイユ的」文化の台頭は、白人の高級文化国家というフランスのイメージを大きく変えてしまった。98年のW杯でフランスが優勝したとき、シラク大統領は多(=他)民族で構成されたナショナルチームを通して、多民族国家としてのフランスをアピールした。一方で、移民が多いフランスの南部は、移民排斥を唱える極右政党「国民戦線」の支持者が多いことでも知られている。先回の大統領選挙のときにも「国民戦線」の党首のルペンは「あなたの車が不良外国人に焼かれてもいいのか」と訴え、シラク大統領に次ぐ票数を獲得した。ルペンはジダンを中心にした多民族構成チームを「あんなのは本当のフランスのチームじゃない」と公然と批判した張本人でもある。選挙キャンペーンのさなか、ジダンがテレビに出演して、ルペンに投票しないように呼びかけていたのは印象的だった。スポーツ選手が具体的な政治的発言をすることは、日本では考えられないことだ。移民を失業や犯罪に結びつける語りは相変わらず存在し、去年秋にフランス全土で起こった暴動がそれをさらに強化してしまった。

今回の事件はジダンの望むことではなかっただろうが、ジダンは新しい象徴として、フランスの新しい側面を私たちに見せ、考えさせてくれたのであった。

□CANAL+のジダンのインタビューはコチラ

「ね式ブログ」さんにも詳しい解説が。

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2006年07月10日

W杯特集(8)−今大会はよくも悪くもジダンに絶句した…

cup.jpgみなさんもご存じのとおり、2006年ドイツW杯はイタリアが24年ぶりの優勝をなしとげました・・・。じつはわたくし superlight は「アッズーリ(イタリア代表の愛称)」の大ファンであり個人的には喜ばしいことだったのですが、もちろんその一方でフランス代表も応援していて、両者によるワールドカップ決勝にふさわしい好ゲームを期待していていました。

けれども決勝が終わったいま語るべきことばをほとんどなくしています…。その理由というのが、みなさんご存じのジダンの「頭突き事件」…。結局のところあれはなんだったんだという疑問が頭から離れず、きょうは仕事が終わってからずっと、海外のサイトなどを閲覧して情報を集めていました…。マテラッツィがジダンをテロリスト呼ばわりしたことが原因か、などと噂されていますが、肝心のジダンのことばを聞かないことには真相がはっきりしないし、それにはまだ当分時間がかかることでしょう。

そして、今朝の事件を受けて、今回のエントリーではなにをどう書けばいいのか、迷っていたのですが、とりあえず、決勝戦終了後のフランスメディアの反応を紹介してみたいと思います…。

しかし、よくも悪くもジダンの大会だった。なんだかんだいってMVPも獲得してるわけで…。

zidane.finale.jpg「決勝で敗れ、ジダンは退場したがプレスはレ・ブルーを迎え入れる」

2006年7月10日

Paris(AP)−衝撃が走った。フランスのプレスは日曜夜のレ・ブルーの「打ち砕かれた夢」を翌日月曜日の話題とした。PK戦でイタリアに敗れたワールドカップ決勝のことだ。地方紙も全国紙もかくしてジダンのレッドカードについて言及しているのだが、けれどもトリコロールたち(フランス代表)の美しい夢を歓迎している。

月曜朝、フランス人MFの一枚の写真が、イタリア代表DFマルコ・マテラッツィの胸に頭突きをしたのちに退場処分を食らったときの一枚の写真が、フランスプレスの「一面」に多数掲載された。

『パリジャン』紙が代表チームに「ありがとう」という一方で、「それでもよくやった」との言葉を残したのは『ユマニテ』紙。「これでおしまい」と痛みの言葉を残したのが日刊紙の『メトロ』紙。あえて注意をひきつけようとしたのが「ジ・エンド(:Zi End)」とやった『20 Minutes』紙。「残酷な」という見出しにしたのが『リベラシオン』紙で、その一方で、『トリビュン』紙はレ・ブルーは「敗北した」けども、今大会でフランスは「名誉を挽回した」と記している。

『レキップ』紙によると、「今朝もっとも困難だったのは、レ・ブルーがなぜ負けたのかを理解しようとすることではなく」、むしろ「いかにして、迂闊にもジダンが今回の頭突きをしてしまったのかを世界中の何百何千万の子どもたちに伝えるかだ」としている。

『ラ・ヴォワ・ドゥ・ノール』紙は「一枚のレッドカードが指揮者(:ジダン)を引退に追いやった」と言明し、くだんのMFの『狼藉』は退場に値することを思い起こさせようとした。「フランスサッカー史に残るもっとも美しい選手のキャリアの最後のイメージはかならずしも美しいわけではないけども、だからといって人々の記憶に残るだろうのがまさにこの記憶というわけではない」と、この地方日刊紙は判断している。

『レスト・レピュブリカン』紙によると、フランスは「見ていた夢が悪夢となった」としている。そして「レ・ブルーはPK戦で打ち負かされ、私たちの希望を粉々にした。さらにたちが悪くもっと信じられないのが、ジダンが自分の花道を台無しにしてしまったことだ」と遺憾の意を表明している。「敗北以上に、私たちはこういう板絵を目撃するという冷酷な失望を味わい、神経がぴりぴりしている」

けれども、ジダンの振る舞いがワールドカップにおけるレ・ブルーの驚くべき道のりを覆い隠すことにはならないはずだ、とフランスのプレスは評価している。「重要なことはこれから立ち直ってゆくであろうこの失敗にあるのではない」と『レスト・レピュブリカン』紙はこのように書き、「むしろ、最高の瞬間にふとふたたび舞い戻ったチームのすばらしい跳躍こそが重要である」としている。

『レ・デルニエ・ヌーヴェル・ダルザス』紙によると、「準優勝国フランスチームは失態を演じたわけではない[...]。PK戦の敗者、レ・ブルーは、ひとつの厳しい試練のあとで、くつろいだ好意的な雰囲気のなかで、シャンゼリゼを凱旋してしかるべき権利があるだろう」

「数週間前には望んでもいなかったこの決勝」が終われば、「素直にレ・ブルーにありがとうを、そしてジネディーヌ・ジダンにはありがとうとさようならをいわなければならない。彼らはフランスサッカーを世界の屋根に到達させたことになるであろうあるひとつの世代の象徴である」と『ラ・モンターニュ』紙はもちあげている。「昨夜の失敗とジダンの不幸な退場はワールドカップ時のレ・ブルーのすばらしい冒険を消し去ることはできない」と、『ル・レピュブリカン・ロラン』紙は評価する。「これほどまでに私たちに夢を見させてくれたレ・ブルーに感謝する。堂々と胸を張ることができるんだ」

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2006年07月03日

W杯特集(7)−マッチレポート:フランスVSブラジル戦

7月1日(土)決勝トーナメント・準々決勝(21時〜フランクフルト)
フランス1−0ブラジル 得点者 T.アンリ(57分)

■総括
zidane.henry.jpg絶好調とはいえないけれどもその圧倒的なチーム力で勝ち上がってきたブラジルと、序盤戦で苦しみながらも試合を重ねるごとに調子をあげてきたフランスとの激突。最近では、98年大会決勝(フランスが3−0で勝利)、86年大会準々決勝(1−1からのPK戦でフランスが勝利)で両者は対戦しており、いずれもフランスが勝利。ただし今大会の下馬評ではブラジル有利とみられていました。けれども実際試合がはじまってみると、序盤から試合はフランスペースに。ジダンを基点とした攻撃で数多くのチャンスを生みだしたフランスがゲームの主導権を握りました。

一方でブラジルは、執拗なフランスの攻撃を最終ラインで弾きかえすものの、持ち前の華麗なパス回しが影を潜めチャンスらしいチャンスを作れないままゲームが展開していきました。そして、この試合唯一のそして決勝点となったゴールを決めたのはフランス。後半12分に左サイドからのジダンのフリーキックにファーサイドで反応したアンリがボレーシュートを叩きこんで先制。その後、選手交代などで息を吹き返したブラジルが攻勢にでるものの、フランス守備陣がアンリの得点をしぶとく守りきって勝利。

■試合分析 勝因/敗因?
@ジダンを中心とした攻撃が奏功
とにかくジダンがすごかった…。抜群のパスさばきが注目されがちですが、この試合ではそのボールキープ力によって、ゲームの流れを引き寄せたのではないでしょうか。ジダンが攻撃の基点となることはブラジルもわかっていたので、彼にボールが渡るとすぐに何人かの選手でプレスをかけにいったのですが、これがことごとく失敗。ジダンは試合を通じてずっと落ち着いたボールさばきで相手のプレスをかわし、結果、彼のマークに人数を割きすぎたブラジルの中盤が手薄になり、フランスがどんどんブラジル陣に押しこむというゲーム展開になったものと思われます。フランスはジダンを経由して前線にボールを供給する攻撃プランで試合にのぞみ、ブラジルは彼をつぶすことでフランスに試合のペースを握らせないようにする、といったようにあらゆる意味でそもそもジダンを中心に展開するはずだったゲームで、彼は最高のパフォーマンスを披露しレ・ブルーに大きな一勝をもたらしました。

Aパレイラ監督の采配ミス
王者ブラジルは受け身にまわったのがその敗因でしょうか…。具体的にはまず選手起用にミスがあったのではないかと思います。この日、ブラジルはそれまでレギュラーとして試合に出場していたFWアドリアーノをベンチに残しMFロナウジーニョを前線に配置。ロナウドとツートップを組ませました。フランス戦に際して、これまでほぼ不動であった先発メンバーをパレイラ監督はいじってきたのですね。それにはおそらく、ロナウジーニョの機敏さを活かして、タイトなゾーンディフェンスを敷くフランス守備陣を敵陣深いところで混乱させようという狙いがあったのだと思います。けれども、結果としてこの作戦は功を奏しませんでした。自由に動き回ろうとするロナウジーニョをフランスディフェンス陣はゾーンでタイトにマーク。また、その相棒のロナウドはもともと足元でボールを受けてしかけるのが得意で、ポストプレーヤータイプではありません。結果として、ブラジルの中盤は前線に基点を見いだすことができず、いつもにくらべてパス回しが明らかに鈍重になり、そして決定機をつくることがほとんどできませんでした(シュート数7本。うち枠内シュート1本)。

そして、さらに選手交代が後手にまわったのも敗因のひとつではないでしょうか。かりに、ブラジルがゲームをコントロールしている展開で失点を喫してしまい、その後、選手交代に出たというのならわかります。けれども実際は前半からフランスに押しこまれているのに、失点するまでメンバーをいじらず、失点後にメンバー交代のカードを切るというのはパレイラ監督は司令官として策がなさすぎたといわれてもしかたないかもしれません。あるいは、史上最強との呼び声があった選手たちの力を信用していたためメンバー交代で流れを変えようとしなかった、すなわちセレソンの力を過信しすぎていたのかもしれません。

■個人的印象
何度もいいますが、とにかくジダンがすごかった…。というか、98年優勝時以上にフランスは「ジダンのチーム」となってしまい、彼の調子次第でフランスの準決勝と(勝ち上がれば)決勝の結果は左右されることになるでしょう。ジダン頼みのレ・ブルーのW杯後が心配ですが、とにかくいましばらくは彼の最後の勇姿に見とれていたいものです…。


□このエントリーはFRENCH BLOOM NETに掲載された記事の短縮版です。完全版はこちら

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posted by cyberbloom at 21:39 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事+トレンド特集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする