G8とMEM、宣言すれ違い■地球温暖化問題をめぐり、主要国(G8)首脳と、これに中国、インドなど新興8カ国が加わった主要経済国会合(MEM)という2つの首脳宣言が出来上がった。福田康夫首相は9日の議長総括会見で成果を自負したが、温暖化問題の前進を目指したこの2つの「洞爺湖宣言」には、G8の論理と新興国の主張が混在している。
■両宣言の一番大きな違いは、温室効果ガス削減の長期目標に関し、MEMには数値目標がないことだ。8日に採択したG8宣言は「2050年までに少なくとも50%削減」と明記し、新興国との長期目標の「共有」を呼び掛けた。しかし、MEMが宣言で支持したのは「長期目標を含むビジョンの共有」にとどまり、2050年という目標設定もなかった。
■福田首相が提唱する、産業分野ごとに二酸化炭素(CO2)削減量を積み上げる「セクター別アプローチ」は、G8宣言で削減の「有用な手法となり得る」と一定の評価を得た。 だが、MEM宣言では「役割を検討」とされただけ。削減義務の受け入れにつながることを警戒する中印両国の存在をうかがわせた。
■ただ、20−30年ころまでの中期目標をめぐっては、G8が「自らの指導的役割を認識し、野心的な中期の国別総量目標を実施する」ことを明記。先進国の先行削減を求めてきた中印両国に異論があるはずはなく、MEMにも「先進国間で中期の国別総量目標を実施する」ことが盛り込まれた。一方で、新興国の中期目標は「国ごとの適切な緩和の行動を遂行する」と、削減の義務付けにつながる表現は使われなかった。
■G8宣言は冒頭で「すべての主要経済国による約束、または行動の強化」を掲げた。一方で、MEM宣言は冒頭「共通だが差異ある責任と能力」との文言で、主要国と新興国の差別化も強調した。あらためて浮き彫りになった双方の溝は洞爺湖では埋められず、今後の国連気候変動枠組み条約締約国会議での交渉に委ねられることになった。
(7月10日、中日新聞)
洞爺湖サミット、食糧高騰問題は視界不良、自身の改革には乗り出さず■食糧高騰問題について福田康夫首相は9日、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の議長総括で「あらゆる対策をとるとのコミットメントを新たにした」と支援に万全を期す姿勢を強調した。しかし、途上国側が強く求めているのは、投機規制など先進国側が二の足を踏んでいる対策であり、主要8カ国(G8)主導の支援策が緊急の危機を脱するメッセージとして機能するのは困難な状況だ。
■G8にブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの5カ国を加えた9日午前の拡大会合で、新興国首脳は食糧問題の対応の重要性を訴えた。この中で新興国側がとくに強調したのが「投機」「原油価格上昇」「食料を原料に使うバイオ燃料」の3つの高騰要因で、皮肉なことに「あらゆる対策」を約束する先進国が対応に二の足を踏むものばかりだった。 G8は8日に発表した食糧問題に関する特別声明で当面の緊急支援に加え、中長期対策として輸出規制撤廃や生産倍増などを次々と打ち出していた。
■もちろん、アフリカ側にも「種子や肥料、物流整備などの支援はありがたい」とG8の対応を評価する声はある。だが、詳細に支援策の中身を検討すると、輸出規制を行っている国は途上国が多いことでも分かるように、危機の原因を途上国側に帰し、対応を促すものが多い。
■一方、現在の異常な価格高騰の最大要因とされる投機資金の規制には、特別声明でも踏み込んでいない。投機資金は食物相場の高騰の直接原因とされるだけでなく、「投機資金で異常価格となった原油」(政府筋)のために肥料価格や輸送コストが上昇し、食糧価格に跳ね返る間接的高騰要因にもなっている。G8は6月のG8財務相会合で、原油や食糧など一次産品の高騰に関し実需・金融両面からの分析を国際通貨基金(IMF)に要請したが、緊急の事態に分析で応じているようでは、価格抑制へのインパクトは弱い。
■G8は首脳宣言で「世界のインフレ圧力を高める原油・食糧の価格上昇に強い懸念」を表明はした。しかし、その原因が先進国の金融市場で動く投機資金であることに強い表現で言及することはなく、需要抑制に向けた自国内の対応にも着手していない。
■懸念を表明しながらG8自身の改革には及び腰なことが途上国側の不満を招いている。 たとえば、サミットの拡大会合に招かれたインドネシア政府関係者は「食糧は先進国が輸入し途上国が輸出する貿易構造になっている」と述べ、資金力のある先進国側の多消費や自給率不足を食糧価格高騰の原因として強調した。
■途上国支援を実施する世界食糧計画(WFP)の2008年当初予算は31億ドル。食糧価格の高騰などで現在の必要額は50億ドルに跳ね上がった。小麦仕入れ価格は昨年に比べ2倍近く、同じ資金では飢餓に苦しむ人たちに去年の半分しか食料を供給できない。価格高騰で食糧難民も生まれている。負の連鎖は深刻だ。
■G8議長の福田首相は9日の記者会見で、支援で原油と食糧価格が沈静化するのかとの質問に対し、「そうなるかどうか、そうなってほしいと思う」と淡々と答えた。
(7月9日、産経新聞)
洞爺湖サミット、外国人記者の3つのオドロキ■洞爺湖サミットについて、日本では早くから報道されてきたので大体のことはわかっているつもりだが、外国メディアではどのように報道されているのか、インターネットの英米の新聞で G8 Hokkaido Toyako Summit でサーチをかけて記事を調べてみた。そこで出てきたのは、彼らが共通して感じている3つのオドロキであった。
■まず第1はこのサミットの費用である。ワシントン・ポスト紙は「約2億8300万ドル(=300億円)」、BBCは「約2億8000万ドル(=1億4000万ポンド)」と報じている。2007 年ドイツで開催されたサミットの費用1億8600万ドルを大きく抜いて、これまでのどのサミットよりも高額になったとか。この莫大(ばくだい)な費用について、日本の政府や報道機関が何か言及したのを私はまだ一度も聞いていない。
■次は警備である。北海道からもっとも遠い沖縄を含む日本中の警察官が集められて、洞爺湖の会議場近辺に2万1000人、東京に2万人と、完ぺきな警備が施されたことに驚いている。海にはミサイル防衛のためにイージス艦を配置し、会場のホテル上空には偵察機が舞い、バイオケミカル攻撃に備えて特別機動隊も出動している。各首脳が通過する道路には、カメラと探知機が木の中に隠されて設置され、24時間ヘリコプターが上空を飛んでいる。警官が見回っているのは当然。
■第3は、いわゆるNGOなど、非政府団体や独立系のジャーナリストにはビザ発行の際にものすごく詳細な日程表などを提出させて入国が困難な点。空港で入国する際にも厳重な身体検査を受け、どこに行くにも常に検問を受け、まったく自由がない。これが民主主義の国か、と驚いたとか。つまり、要人警護・テロ対策として取られた数々の警備が、逆に訪問者の自由を束縛し、彼らを疑いの目で見ているような印象を与えた、ということである。
■そもそも何のためにサミットを開催するのか。日本の国際的地位を高め、国際社会での発言権を強くするのが目的であろう。そのために福田首相に、強いリーダーシップを、とあらゆるメディアが叫んでいる。サミットは最後の議長声明だけではない。その始まりから終わりまで、各国首脳からNGOの活動家にいたるまで、開催国としてふさわしいもてなしをし、さすがりっぱな民主国家で世界の指導者たる資格がある、と見なされなくてはならない。その観点から、今回のサミットは、世界からどのような評価を受けるだろうか?
(7月8日、オーマイニュース)
何故、サミットに反対する人たちがいるのか(yahoo知恵袋より、ベストアンサー)
■会議をする国について
・ 世界の問題を8ヵ国だけで決めるのはおかしい(G8は国際法上の手続きを経た会合ではない)
・ 会議内容はほとんど極秘で各国首脳、閣僚、官僚、大企業などごく一部のお金持ちや権力者にしか知らされないのはおかしい(⇒世界には200カ国近く国があるのに、8カ国だけ集まるのは民主主義じゃないよね)
■貧困問題編
・ 経済のグローバル化反対
・ ネオリベラリズム(新自由主義)反対(⇒石油や食糧などの資源を大企業が独占するのはダメだよね。途上国は先進国の食糧生産するためにあるわけじゃないでしょ)
■環境問題編
・ CO2排出権の売買はおかしい
・ 原子力発電の積極的推進反対(⇒どこらへんがエコなのかとw)
■戦争編
・ G8は「テロとの戦争」を名目として軍事力を拡大し、無用な殺戮や、人権侵害を行っている。これ以上先進国の安全保障を優先し、核兵器所有、軍隊・軍事基地の拡大・拡張等を推し進めることは許さない。(⇒戦争は最大の環境破壊・人権侵害でしょ。イラク戦争に至った理由もウソだらけでしたよね、アメリカさん♪「テロとの戦い」といいつつ、目障りな市民運動家を弾圧してるだけでしょ)
■表現・言論・集会の自由編
・ G8サミットに関する市民団体・NGO関係者のビザ発給・入国の拒否をするのはおかしい
・ 不当な逮捕・家宅捜索反対(⇒反対運動の準備をしてたり、来日しようとした日本人・外国人の方が捕まったり、入国拒否されたらしーです)
■まとめ
・洞爺湖サミットで決めることは、世界の戦争・紛争の増加、貧困拡大、環境破壊を推し進めるためのもの。お金持ちの国の、お金持ちの人の利権が拡大するだけで、民主主義では決してない。それはG8以外の国だけでなく、日本(G8諸国)のわたしたちの生活にも直結する問題だ。だから反対するという感じかな。いろんな反対団体の主張を見てまとめました。説明不十分な点が多すぎて「?」がいっぱいあると思いますが、「ネオリベラリズム」辺りをキーワードに書籍を探して読んでみて下さい。
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ネオリベラリズム-新自由主義(wikipedia)
洞爺湖サミット 海外メディア“辛口”の批判■世界の首脳22カ国が参加し過去最大となった主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)。気候変動など重要課題が討議された3日間だったが、海外メディア、地元の洞爺湖町はどう思ったか(…続きはタイトルをクリック)。
(7月10日、産経新聞)
G8洞爺湖サミット・オルタナティブ、期待は失望へ■「途上国の参加なしに温室効果ガスの削減はできないとする先進国の主張は言い訳にすぎない」。G8とともに主要経済国会合(MEM)が終わり、2008年G8サミットNGOフォーラムは、副代表と環境ユニットリーダー共同の総括声明文で批判した。全文を紹介する。途上国との合意形成の障害となったのは、日本、アメリカ、カナダの3か国である(…続きはタイトルをクリック)
(7月10日、JANJAN)
洞爺湖サミットの温暖化問題、アフリカの関心薄く、日本の取り込み戦略失敗?■アフリカ7カ国の首脳が加わった7日の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)拡大会合で、日本政府は当初、地球温暖化問題を中心に議論しようとしていた。主要8カ国(G8)でアフリカ支援の重要性を再確認する見返りに、日本の温暖化対策へのアフリカ諸国の支持を取り付け、温暖化対策に消極的な米国などへの圧力とする狙いだった。しかし、アフリカ側の関心は食糧・原油の価格高騰に集中。アフリカの支持を背に温暖化問題を有利に運ぼうという日本の戦略は、肩すかしにあいそうだ(・・・続きはタイトルをクリック)。
(7月7日、毎日新聞)

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