2008年06月02日

カンヌ映画祭受賞結果

palmares0801.jpg第61回カンヌ映画祭の授賞式が最終日5月25日に行われました。すでに多くの報道機関で伝えられているように、主な賞は以下の結果となりました。


カメラ・ドール(新人監督賞):Hunger(スティーヴ・マックイーン)
さらに特別賞として:Everybody Dies But Me(ヴァレリア・ガイア・ゲルマニカ)

最優秀脚本賞:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(作品:Le Silence De Lorna)

最優秀監督賞:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(作品:Uc Maymun (Three Monkeys))

最優秀男優賞 : ベニチオ・デル・トロ(作品:Che (スティーヴン・ソダーバーグ監督))

最優秀女優賞:サンドラ・コルベローニ(作品:Linha De Passe(ウォルター・サレス&ダニエラ・トマス監督))

審査員賞: Il Divo(パオロ・ソレンティーノ監督)

第61回賞(特別賞):カトリーヌ・ドヌーヴ(作品:Un Conte De Noël(アルノー・デブレシャン監督))、クリント・イーストウッド監督(作品 : Changeling (The Exchange))

グラン・プリ:Gomorra (マッテオ・ガローネ監督)

パルム・ドール:Entre Les Murs (ローラン・カンテ監督)


palmares0802.jpg会場に下馬評の高かったダルデンヌ兄弟の姿を見つけたとき、「ついに史上初三度目のパルム・ドール受賞か!」と思っていたら、彼らは脚本賞。カトリーヌ・ドヌーヴがいたので「ようやくデプレシャン監督が受賞か!」と思えば、特別賞。そしてパルム・ドールはほとんど情報が手元になかったローラン・カンテ監督の Entre Les Murs(「壁の間で」)でした。授賞式前日に上映されたので、教育現場を扱ったものという程度しかわからなかったのですが、式場の舞台に次から次へと現れた若者たちと監督の興奮した姿から、作品のエネルギーが伝わってくるようでした。


後日観たハイライトによると、パリ20区にある ZEP(教育優先地区)政策の学校を舞台に、リベラルな国語教師と彼を挑発する生徒たちを描いた映画で、国語教師役は作品の原作者(実体験をもとにした小説だそう)、生徒役は素人の若者たちが演じている、というものでした。上映後の反応は「ブラヴォー」という声が飛び交い、メディアの評価も高かったものの、パルム・ドールという結果は予想外だったようで、21年ぶりのフランス映画受賞ということもあり、地元は相当盛り上がっているようです。


また今回はイタリア映画2作品が賞に選ばれました。方やこれまでのマフィアを超えた大きな犯罪組織に脅かされる街を描き、方や権力に固執した実在の政治家アンドレオッティの半生を描く、というどちらも硬派な作品です。ダルデンヌ兄弟の脚本賞(ベルギー国籍を取得するために偽装結婚、果ては殺人を企てるアルバニア人女性を描く)も含め、今回はヨーロッパの映画が健闘しました。そして前回に引き続き、社会的・政治的内容の強い映画が注目を集めたコンペティションでした。


palmares0803.jpgパルム・ドールと同じく会場が盛り上がりを見せたのは、男優賞のベニチオ・デル・トロと特別賞のカトリーヌ・ドヌーヴ(残念ながらクリント・イーストウッド監督は欠席)が舞台に上がったときで、やはりスターが登場すると空気が変わりました。貫禄たっぷりのドヌーヴ様のどっしりと落ち着き払った女王オーラと、4時間半にも及ぶ大作の中であこがれの革命家チェ・ゲバラを熱演したデル・トロの感極まった表情が対照的でした。


この他の賞では、黒沢清監督の『トウキョウソナタ』がある視点部門審査員賞を受賞しました。コンペには今回日本作品がなかっただけに嬉しいニュースですね。


惜しくも賞にもれた作品には、ダイジェストを観ただけでもなかなか個性的で面白そうな映画がたくさんありました。次回はそのなかのいくつかをご紹介します。



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posted by cyberbloom at 23:08 | パリ ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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