2008年06月01日

週刊フランス情報 26 MAI - 1 JUIN

Un mariage annulé pour mensonge sur la virginité
(処女とウソをつき結婚無効)
Le tribunal de grande instance de Lille a annulé en avril un mariage car l'épouse avait menti sur sa virginité. Une décision qui a suscité de vives réactions.
■最近、フランスで話題になっているのが、「結婚してみたら処女じゃなかった」と結婚の無効を求め、裁判所は民法に基づいて夫の正当性を認めたという話。結婚の無効を求めたのはリールに住むイスラム教徒の男性。民法の erreur sur des qualites essentielles de la personneという条項、つまり「思っていた人と違っていた」という理由で、結婚の無効を求めることができる。
■2004年の統計で、フランス全体で1632件の請求があり、実際に無効になったのは833件。よくあるのが、キリスト教徒なのに離婚歴があったとか、性的不能だったとかいうケース。しかし、判断に主観が入り込む余地が大いにありえる。リールでも毎年100件くらい請求があるが、こういう理由の取り消しはなかったという。しかし、一旦認められてしまうと、イスラム教徒のあいだで同じ理由による請求がさらに増えるのでは危惧されている。女性の権利を守る人権団体などは判決に反発している。
■そういえば、少し前に、フランスで処女膜再生手術が非常に多いというニュースがあった。圧倒的にイスラム教徒の女性が多いのだそうだ。インタビューに答えていた医者はこんなバカバカしいことはやりたくないが、強い要望があるのでと言っていたが、彼女たちにしてみれば切羽詰っていて、離婚の危機にさらされる問題なのだ。

Bercy, lieu de pouvoir (フランス財務省を紹介)
Le ministère de l'Economie, c'est là que sont décidées les grandes orientations du pays. C'est aussi une mini-ville. Visite dans le saint des saints.
スパニッシュ・アパートメント■パリ12区のベルシーにあるフランスの財務省。その堅固な容貌から要塞(rempart)とか城砦(chateau fort)とか呼ばれている。フランス経済の中心であり、投資部門もあるようだ。メニューが違う5つのレストラン、託児所、郵便局、スポーツジムがそろい、ひとつの村のようになっている。毎日500人が訪れるコンビニもある(ちなみに、コンビニはフランス語で小さなスーパー superette と言うようだ)。「水がいちばん売れる、公務員は水をたくさん飲むから。あとはお菓子ね。彼らは食いしん坊だから」と店のおばちゃんが言っている。
■建物の廊下が長いことでも有名で、官僚システムのイデオロギーがそのまま建築物になったような印象を受ける。財務省は映画「スパニッシュ・アパートメント」にも登場している。主人公のグザビエが父親のコネでプライベートな面接を受けに行くシーンがある。オフィスにたどり着くまでの官僚的な手続きを垣間見ることができる。
Auberge Espagnole(Xavier visite Bercy) from youtube

大塚製薬、飲料アルマの49%株取得
cristaline01.jpg■大塚製薬は28日、仏ミネラルウオーター大手アルマ(ALMA)の株式49%を取得すると発表した。取引総額は7億5,000万ユーロ。アルマは欧州の34カ所に工場を構え、国内市場でトップシェアを誇る「クリスタリン」など多数のブランドを抱える。2007年12月期の売上高はおよそ7億8,000万ユーロだった。大塚製薬は今回の取引により、欧州に消費者関連事業の足掛かりを築く。同社は子会社の大塚ベバレジを通じてスポーツ飲料「ポカリスエット」などを展開するほか、米国で製造するミネラルウオーター「クリスタルガイザー」を日本で輸入・販売している。
(5月29日、NNA)
★フランスのスーパーではお馴染みのクリスタリン(VolvicやEvianに比べて安い)が日本のコンビにも登場するかもしれない。

ブランジェリーナ、南仏のシャトーを3年間レンタル
■カンヌ国際映画祭終了後も「しばらくはフランスに滞在する」と話していたアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが、南フランスのシャトーを3年間借りる契約を結んだことが明らかになった。南フランスの地元紙、ニース・マタンの24日付の記事によれば、ブランジェリーナが借りるのはエクス・アン・プロヴァンスに近いブリニョル市から数キロに位置するシャトー・ミラヴァルという17世紀に建てられた城で、敷地は400ヘクタール。森やブドウ畑、オリーブ畑に湖もあり、パパラッチをシャットアウトして静かに暮せる環境が整っている。
■ベッドルームは35室、屋内外にそれぞれプールがあり、ジムやサウナなども完備したこの城の持ち主はアメリカ人で、「シャトー・ミラヴァル」は彼の作っているワインの名前でもある。近隣にはジョニー・デップ&ヴァネッサ・パラディ、デヴィッド&ヴィクトリア・ベッカム夫妻の住まいもある。フランス滞在の意向が報じられてから、いろいろな地域が候補に挙げられていたが、熟考の末にブランジェリーナは最高の物件と巡り会ったようだ。
(5月29日、cinemacafe.net)

カンヌ映画祭パルムドール受賞「クラス」の生徒たち、パリの中学校に凱旋
■25日に閉幕した第61回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「クラス」(ローラン・カンテ監督)に出演した生徒たちが、授賞式から一夜明けた26日、映画の舞台となったパリ20区にあるフランソワーズ・ドルト中学校に凱旋登校した。前の晩にロバート・デ・ニーロやショーン・ペン、カトリーヌ・ドヌーブといった大スターたちと同じ舞台に立った彼らを出迎えたのは、待機組の生徒や教師たちと、大勢の取材陣。TVクルーや風船を持って押し寄せたファンで、一時交通が遮断される騒ぎとなった。
■フランスの「教育優先地区(ZEP)」制度を実際の教師と生徒たちという当事者の目で捉えた同作は、移民労働者や人種問題、教育格差など現代フランスを揺るがす様々な問題を浮き彫りにして高く評価された。同校のジャン=クロード・デフォー校長は、「生徒たちを授賞式まで残すようにという連絡があった段階で、何らかの賞を受賞するとは思っていましたが、まさかパルムドールとは……」と驚きを隠せない様子。突然の名声に生徒たちが浮かれすぎてはと心配する声もあるが、期末試験を2週間後に控えた1人の生徒のコメントを聞く限りは大丈夫そうだ。「調子に乗っちゃいけないよね。僕は俳優かもしれないけど、スターじゃない」
(5月28日、eiga.com)

和歌山電鉄の名物ネコ駅長「たま」、フランス映画に出演
■忙しい様を「ネコの手も借りたい」と表現するが、文字通り本当に駅長職にネコの手を借りたのが和歌山電鐵だ。和歌山県を走る貴志川線の貴志駅では、9歳のメスの三毛猫「たま」が駅帽をかぶった姿で乗降客を出迎える。
■この「たま駅長」がフランス映画に出演することに決定し、話題を呼んでいる。フランスのドキュメンタリー映画監督ミリアム・トネロット(Myriam Tonelotto)さんによる世界各国のネコの生き方をとりあげた映画『人間の鏡としての猫』に、日本代表としてたまが出演するのだ。
(5月26日、AFP)

ヤエル・ナイム初来日!
Yael Naim■薄型ノートブックPC、MacBook AirのCMで一躍ブレイクした、イスラエル系フレンチ女性シンガー・ソングライター、ヤエル・ナイムが2007年発表のセカンド・アルバムを引っさげ、6/4(水)ラフォーレ・ミュージアム原宿「Laforet Sound Museum」にて、一日限りの初来日公演を行う。友人でもあるスペシャル・アクトのアシャにも注目!
(Tower Record)
★ワールドミュージックの発信地パリからまた新たな才能が。フランス語ではなく、英語やヘブライ語で歌っている。
MacBook Air-CM
Yael Naim-Profile
New Soul / Yael Naem

夏に向けてボサノヴァ!
■ボサノヴァ50周年を記念して、フィリップス、A&Mの両レーベルとユニバーサル・ブラジルが抱える、豊富なボサノヴァ音源から厳選された人気のコンピレーション・アルバム『ザ・ボサノヴァ』、『We Love Bossa Nova』の2シリーズより、最新作が発売(ジャケット↓)。また、ジョアン・ジルベルト「三月の水」やアントニオ・カルロス・ジョビン「波」など、ボサノヴァ名盤50タイトルが限定盤¥1,500で。

ウィ・ラヴ・ボサ・ノヴァ~ボサ・ノヴァ50THアニヴァーサリー ザ・ボサノヴァ~ボサノヴァ50thアニヴァーサリー

【動画】ウッドストック・フェスティバル、博物館になって復活
■セックス、ドラッグ、ロック、そして政治――。1969年のウッドストック・フェスティバル(Woodstock Festival)が表現した反体制文化を振り返る博物館が、同開催地近くにオープンした。
(5月30日、AFP)

「死刑になりたい人間」に犯罪抑止効果はあるのか?
死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う■「死刑になりたかった」と、容疑者が犯行動機を供述する事件が続いている。なぜ、「死刑願望」とも言える供述が相次ぐのか? これらの事件が意味するものは? 著書「死刑」(朝日出版社)を出版した映画監督で作家の森達也さんらと考えた。オウム真理教の信者側からの視点で事件や世間をあぶり出したドキュメンタリー映画「A」など、第三の視点からの作品でたびたび議論を起こしている森さんは、黒のパーカ姿で現れた。ひょうひょうとした雰囲気に淡々とした口調。ストイックなほどにテーマを徹底的に掘り下げる仕事ぶりからは意外なほど、脱力した印象だ。
■「僕は、(供述を)額面通りに受け取らない方がいいんじゃないか、という気がしています。まったくウソではないでしょうし、そういう要素もあると思いますが、人の心は揺れますから。死刑制度があるから、死刑になりたいが故に罪を犯した、というふうに短絡的に考えない方がいいと思うんです」
 相次ぐ事件は、死刑制度に関する議論の発火剤となった。その一つが、死刑制度維持の理由として挙げられる、犯罪の抑止効果だ。
 「心情分析をしても、犯人の本当の気持ちは分かるはずはないですから、抑止効果があるかどうかは、統計で見ていくしかない。ヨーロッパは死刑を廃止した後、犯罪はほとんど増えていません。減っている国もあるくらいです。最近、米ニュージャージー州で死刑を廃止しましたけど、その理由の一つも抑止効果がない、ということでした。データから見て、抑止効果はありません」
 森さんは著書の中で、死刑制度の密室性の問題を一貫して指摘している。死刑の実情が知らされていないことが、こうした犯罪を誘発している可能性はあるだろうか?
 「仮に、死刑を望んで罪を犯す人が本当にいるとすれば、その可能性はあるでしょうね。日本は自殺が多い国ですから、そういう意味では、自殺と他殺はそんなに距離は無いと思うんです。もしかしたら死刑を求めて人を殺す人がこれから増えてくるかもしれない。そうであれば、やっぱり死刑制度というものを、もうちょっと考えるべきだと思いますよね」
 死刑になりたい人が、そのために罪を犯して、望み通りに死刑になることに違和感を覚える人は少なくないだろう。この矛盾は、どう受け止めたらいいのだろうか?
 「ねじれてしまいますね。生きていてほしくないけど、死刑はその人の望みをかなえてしまうことになる。刑罰って何だ、罪と罰とは何か、ということを考えた方がいい。日本の刑法は、刑を受けて、改悛(かいしゅん)して、改めて社会に復帰する、ということを前提にした教育刑です。それに対して、死刑は応報刑なんです。応報という考えからすると、本人の嫌がることをするのが刑罰。死を望む人に対しては、生かすことの方が、たぶん罰になるわけです」
(5月28日、毎日新聞)




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posted by cyberbloom at 18:40 | パリ 🌁 | Comment(2) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しい情報をありがとうございます。

ボサノヴァのCD、1500円ですか?
リンク先は2500円になっています。

(必要があればこのコメント削除してくださいね。)
Posted by キリ at 2008年06月02日 18:15
キリさん、コメントありがとうございます。これはタワーレコードの情報なんですが、タワレコで買ったときのみの値段なんでしょうかね。

http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfLayoutA.jsp?DISP_NO=002101005000

おっしゃる通り、アマゾンで調べると1500円盤は出てこないですね。それと、1500円は「ボサノバ名盤50タイトル」の方です。ちょっと情報として不備がありました。すいませんでした。またいろいろツッコミをお待ちしております。
Posted by cyberbloom at 2008年06月03日 07:23
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