2008年05月29日

モン・サン=ミシェルとランス潮汐発電所

ひょんなことから、全く別々に手に入れた知識が結びつくことがある。これは高校時代、地理の知識を得たことによって2つの知識がひとつになった例である。

MontSaintMichel01.jpg世界遺産でもあるモン・サン=ミシェル(Mont Saint-Michel)は、ブルターニュとの境に程近いノルマンディー地方にある。海の上に浮かぶ修道院として私たちに記憶され、海上要塞のようなその姿は見るものを驚愕させる。しかし、時には大陸と陸続きになった姿も見せる。…とこれはテレビか何かからの知識で、「すごいなー行ってみたいなー」程度のものだ。そしてまったく別に地理で習ったのが、ブルターニュ地方のランス川河口にあるランス潮汐発電所(L'usine marémotrice de la Rance)。

ここであれっ?と思った。絶海の孤島になったり、大陸と地続きになったりと、様々な表情を見せるモン・サン=ミシェル。そして、その近くで行われている潮汐発電。この2つに共通するのは何なのか。それは………「干満の差が激しい」ということである。ここで2つの知識が見事に頭の中で結びついた!

モン・サン=ミシェルのあるサン・マロ湾はヨーロッパでも潮の干満の差が最も激しい所として知られる。かつては満ち潮の時には海に浮かび、引き潮の時には自然に現れる陸橋で陸と繋がっており、文字通り「海上のピラミッド」の様相を呈しているが、1877年に対岸との間に地続きの道路が作られ、潮の干満に関係なく島へと渡れるようになった。しかし現在も、島の入口には潮の干満時刻を示した表示があり、満潮時には浜に降りないようにと記されている。最も大きい潮が押し寄せるのは、満月と新月の28-36時間後といわれており、引き潮により沖合18kmまで引いた潮が、猛烈な速度で押し寄せる。中世、巡礼者は、広大な干潟を歩いてモン・サン=ミシェルを目指したが、潮の干潮のタイミングを読み誤れば、あっという間に干潟は波に飲み込まれてしまった。そのため人々は、巡礼の前に遺書まで書いていたという。

Rance01.jpgランス潮汐発電所は、世界初の潮汐発電所として1996年シャルル・ド・ゴール政権時に完成した。この地域は潮の満ち引きの差が15メートル以上、平均でも8メートルあり、発電に適している。潮汐発電とは、地球の自転や月の好転に伴う潮汐力による海水の移動エネルギーを電力に変えるもので、発電時に二酸化炭素の排出がないという点で環境にやさしい発電方法である。
 
確かに、この2つの事柄が結びついてどうにかなるわけではないし、ただ結びつくべくして結びついている。しかし、自分の中で、別々の知識が1つになってすっきりと物事のつじつまが合うとき、私は無性に「知的興奮」を覚えるのである。知識を得たときに、常に他の分野との関わりにまで気を配り、自分の持っている知識と照らし合わせることで新しい発見がある。それがたまたま今回はフランス北西部のブルターニュで起ったのである。

何か自分にプラスになるというのでもない。ただの自己満足かもしれない。でも、いつかまたこのような経験をするために、私はこれからも学び続ける。




tac

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posted by cyberbloom at 19:27 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | バーチャル・バカンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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