2008年04月21日

週刊フランス情報 14 - 20 AVRIL バイオ燃料生産は「人道に対する罪」

バイオ燃料生産は「人道に対する罪」、国連報告官
economist0401.jpg■「バイオ燃料の大量生産は、世界の食糧価格を破壊する『人道に対する罪』である」。国連の「食糧を守る権利」に関する特別報告官ジャン・ジグレール氏が14日、ドイツのラジオ番組で発言した。独バイエルン放送のラジオ番組に出演したジグレール氏は、「今日のバイオ燃料生産は人道に対する罪だ」と述べた。耕地をバイオ燃料用の穀物生産に使用することで、食糧生産のための耕地が減少してしまうとの指摘は、多くの専門家らが警告している。
■また、番組内でジグレール氏は国際通貨基金 IMF に対し、農業の助成政策支援を見直し、債務削減を目的とした計画のみに限定した支援を止めるべきだと要請した。ジグレール氏は過去に欧州連合 EUについても、ダンピングによりアフリカの農業に打撃を与えていると非難している。「EUは欧州の余剰農作物のアフリカへの輸出を助成している。アフリカではそうした余剰作物が、EU圏内の生産価格の半分あるいは3分の1程度で取り引きされており、これがアフリカの農業を壊滅に追いやっている。さらに国際市場における農産物への投機を止めなければならない」
■フランスの中道左派系新聞「リベラシオン」のインタビューでも、ジグレール氏は世界は「非常に長い暴動の時代に向かいつつある」と述べ、そうした衝突や紛争は食糧不足と食糧価格の高騰に起因すると警告した。ドイツの消費者保護団体「フードウオッチ Foodwatch」の代表は独国営テレビ ZDF に出演し、工業先進国の貿易政策に「致命的」と鋭い批判を向けた。「われわれには異なるエネルギー政策が必要」だと激しく非難する。「飢えている他の人たちの犠牲の上に自分たちのタンク(車のガソリンタンク)を満たすことは間違ったことだ」。
(4月16日、AFP)
★激しく同意。「世界のパンかご」と言われてきた、アメリカの穀倉地帯が「世界のエネルギー源」に転換中だ。食料経済とエネルギー経済は別のものだったが、両者が統合されてしまった。石油価格の高騰につられて、アメリカの穀倉地帯ではエタノール工場が雨後のたけのこのように建設されている。そちらの方がもうかるからだ。最悪なことに、世界の穀物在庫が歴史的に低い水準にある中で、エタノール生産の急速な拡大が始まった。いったん、トウモロコシの価格がはねあがったら、すぐに他の穀物に飛び火する構造がある。まさにその連鎖が進行している。
★フランスのニュース(TF1)でもアフリカや中東の食料輸入国で小麦の高騰による暴動が起こっていることを連日伝えている。ハイチでは土にスパイスを混ぜたガレットを食べていると、またインドが米の輸出を禁止したというニュースも。

食料価格高騰に直面するフィリピン、政府が輸入米を直接販売
■フィリピン国家食糧庁は16日、マニラ首都圏で、ベトナムから輸入した政府米を1キロ当たり18.25ペソ(約44.67円)の安い価格で直接販売した。警備のため軍が動員された。政府は食料価格高騰による暴動を避けるため、コメを不正に備蓄している業者への取り締まりを強化する一方、米国にコメ支援を求めるなどの働きかけを行っている。
■国連世界食糧計画 WFPは、世界的な食料価格の高騰で、内乱が長引くミンダナオ島での配給量を削減せざるを得ない可能性があると指摘。配給を受ける約100万人のうち、10年に及ぶ内戦のため避難生活を余儀なくされている女性や子どもへの影響が最も懸念されるとしている。
■世界銀行は、食料価格が過去3年間で2倍に上昇したことで、発展途上国では1億人がさらなる貧困に苦しむことになると警告。先進国に対しこの問題への取り組みを訴えている。
(4月17日、AFP)
★日本で「減反」が始まったのが1971年。あえて作らない米は年間400万トンに及び、日本の消費量の約半分。アジアで米をめぐって取り付け騒ぎが起こっているのに、日本では税金を注いで米の生産を減らしている。奇妙な話だ。輸出するには生産性が低い(つまりコストがかかりすぎ)ので価格競争に弱い。極めて自給率が低い麦や大豆に転換しようにも、コメ至上主義政策で、それらは安楽死させられてしまっている。
★経済的に縮小していく日本に売らないという国も出ている(それにもかかわらず日本は品質に関して注文がうるさいと評判も悪い)。伸びる中国に売りたいというわけだ。穀物は金を出しても買えないという状況なのに、日本の農政は世界に逆行している。
★農水省は「農産物関税をすべてなくすと農業生産額が4割減り、375万人が失業し、その結果、水田がなくなり、日本が日本でなくなる」と言っている。そう言うならば、すでに日本は日本でなくなっている。田舎ほど公共事業でズタズタにされ(日本が日本でなくなっているのは愛国心とか郷土愛とか言っている張本人たちの仕業としか思えない)、農業従事者の高齢化も進み、65歳以上は20年で30%から60%にまで上昇している。「となりのトトロ」のような里山の風景は記憶からさえも消えかかっている。
★各国がEPA(経済連携協定)を結び、相互に市場を開いているのに、日本は農業保護の一言で身動きがとれない。族議員、省庁、業界団体、変わらない政官民の鉄の三角形。彼らが既得権益にしがみつくことで、日本は農業の長期的な展望を失う。鎖国化、ガラパゴス化しているのは道路や医療だけではない。それは長期的な食の確保を危うくするだけでなく、外交戦略の妨げにさえなる。
★小麦の値段が上がれば、いやでも日本人は米食に戻らざるをえなくなるだろう(これから先も米が確保できればの話だが)。自給率が崩れ、減反が進んだ原因は、日本の伝統食から離れ、食が欧米化していったことも大きいのだから。また飽食に慣れ、大量の食料廃棄に無感覚になっている日本人も食について考える機会になるかもしれない。
★農業政策の転換と言うと、農業を大規模化して、コストを下げるという議論になりがちだが、それには農薬の大量散布や遺伝子組み換え作物の問題がつきまとう。実際、穀物の値段があがると、農薬会社の株価が上がる(モンサントみたいな会社が日本にないと嘆く輩も多い)。そういう企業には全く都合の良い状況で、これをビジネスチャンスにする動きもあるだろうが、一方で、有機農業を実践している良心的な小規模農家と消費者を結ぶネットワークを作ったり、支援したりする方向も忘れてはいけない。むしろこちらの方が重要で、こういう分野でこそインターネットが活きるはずだ。私は小規模な生協に加入しているが、生産者との交流があったり、農業体験ができたり、農業をすごく身近に感じられる。こういうネットワークを束ねることが食のセーフティーネットになるはずだし、日本の食文化を守ることになる。
□日本の減反や農政の話は日本経済新聞朝刊(4月18日)参照。
□トップの写真のエコノミスト「日本が飢え死にする」特集も参照。いつも煽るような記事が多いですが。



★commented by cyberbloom

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posted by cyberbloom at 12:40 | パリ ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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