2008年04月04日

プチ・ニコラ

学校ではクラスで記念写真を撮る機会が少なくない。
入学式、学校行事、卒業式…。
そんな風景を思い起こすことはあっても、写真撮影そのものの思い出とか記憶はあまりない。
写真撮影は、あまりにもあっさり通り過ぎていく。

Nicolas たちの学校で記念写真のエピソード。写真一枚撮るのに、まぁ、大変。
Nicolas の目線で進むので、Nicolas がどんなキャラなのか解りにくいけど、たぶん、普通の子。
というか、他の面々(les copains)が「濃い」のである。

Geoffroy: 欲しい物は何でも買ってくれる超お金持ちのパパがいる。
Agnan: クラスのトップ。先生のお気に入りだけど皆からはあまり好かれていないようだ。
Eudes: とても強い。(人に)げんこつしたくて仕方がない。
Alceste: ぽっちゃりしていて、いつも何か食べている。
Rufus: (本文では)バッグを被って「お化けだぞ〜」と叫んでいる。
la Maîtresse: 担任の先生。優しくてみんな大好き。でも怒ると怖い。

たった一枚の写真を撮るのに、みんなが好き勝手に何かするので、なかなか写真が撮れません。Geoffroy はおもちゃの火星人ヘルメットを被ってきて、どうしてもこの格好じゃなきゃ嫌だとダダをこね、Eudes は Agnan の鼻っ柱に一発お見舞いしたくて仕方がない。Alceste はタルティーヌをシャツに落っことし、そのジャムでシャツを汚す…。

最前列は地面に座り、二列目はそのまま立つ。三列目は椅子を並べてひな壇をつくり、その上に乗る。背の高い子だけだといっているのに、皆最後列の椅子(chaise)に乗りたがったり、カメラマンにカメラについて蘊蓄を垂れたり、列は乱すわ、ケンカは始めるわ、温厚なカメラマンも我慢の限界!?

こんな面々で、今時の感覚で言うところの「学級崩壊!?」かと思いきや、先生も負けていない。ことあるごとに叱り、動詞の活用だの、書き取りだの罰を与えるけれど、最後は「おとなしくできたら罰はナシにしてあげる!」と巧みにアメとムチを使い分ける。「先生を悲しませたくない」と頑張るくらいに皆の信頼も厚い。

さて、「Un souvenir qu'on va chérir」な記念写真の出来映えは…?

児童向けとはいえ、なかなか読み進まず、たった数ページ読むのに時間がかかりすぎました。
ドタバタで「悪ガキ」ばっかりだけど、どこか微笑ましいです。子どもって、やっぱりやんちゃだよなぁ…。


□本のタイトルが「Le petit Nicolas」(プチ・ニコラ)。和訳のものに「プチ・ニコラ」(偕成社)「わんぱくニコラ」(文春文庫:絶版)があります。その中のエピソードの一つが、この「Un souvenir qu'on va cherir」というお話です。

□Sempé-Goscinny は作者で、サンペが絵担当、ゴシニがお話担当。

□公式サイト http://www.petitnicolas.com/
フランス語とドイツ語が選べます。トップページでニコラが走っているのがかわいい。


プチ・ニコラ〈1〉集まれ、わんぱく! (偕成社文庫)
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5 フランスのエスプリと子供の本質
4 ニコラとの再会




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posted by cyberbloom at 16:22 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | 書評−フランス小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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