2008年03月06日

『ナイン・ストーリーズ』 サリンジャー

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)文学などというものに引きずり込まれるきっかけとなったのが、この短編集の冒頭に収められた「バナナフィッシュにうってつけの日」という短篇です。最初は集英社文庫の『九つの物語』で、次に新潮文庫の『ナイン・ストーリーズ』で読みました。高校生の頃に原書を手に入れて私訳を試みたこともあります。でも、yellとyawnを間違えて「大声で怒鳴らないで」というところを「あくびが出ちゃうわ」と訳すような、とんでもない訳文でした。同短編集の「笑い男」や「小舟のほとりで」も大好きでしたし、初期短篇の「ブルー・メロディー」や「ある少女の思い出」にも涙しました。『ライ麦畑でつかまえて』の主人公は、最後には精神を病んで入院してしまいます。まともな感性をもった人間ほど、この世界では生きにくいのだということを、サリンジャーは怒りと慈しみをもって伝えようとしました。バナナ穴やバナナ熱の恐ろしさ、バナナフィッシュがくわえたバナナが6本であることの謎、断りもなく人の足元を見ることの是非については、今でも考え込んでしまいます。


ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)
サリンジャー 野崎 孝
新潮社 (1986/01)
売り上げランキング: 6344
おすすめ度の平均: 4.5
5 緻密な策略家
5 切り取られた「永遠の思春期」
5 9つの物語



bird dog

rankingbanner_03.gif
↑ライターたちの励みになりますので、ぜひ1票=クリックお願いします!

FBN22.png
posted by cyberbloom at 23:25 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | 書評−その他の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

攻殻機動隊とサリンジャー 〜笑い男事件に関して〜
Excerpt:  ブログを始めてほぼ一週間が経ったが、過去の記事を読み返してみると、ブログタイトルに反して読書好きのためのマニアックなブログにな...
Weblog: 読書好きの読書好きによる読書嫌いの為のページ
Tracked: 2008-12-25 18:30