2008年02月29日

養老天命反転地

yoro1.jpg家から日帰りで行ける範囲内には、面白い美術館や施設がいろいろあることを発見し、休みを利用して美術館に行く機会がこのごろ増えました。先日は、荒川修作がマドリン・ギンズと共同で設計した養老天命反転地(岐阜県養老郡養老町)へ行ってきました。


入り口ではヘルメットが貸し出され、「今日は風が強いので、足下にお気をつけ下さい」と注意書きがあるのに少々ビビりながら中へ入ってみると、カラフルな建物がまず現れます。「オフィス」とされているものの、内部は迷路のように区切られ、起伏が激しくデコボコした通路が広がっていて、いわゆる「オフィス」のイメージとはほど遠い作りになっています(写真上)。天井も同じような仕様になっているので、上下が逆さまになったかのような錯覚に陥ります。



yoro2.jpg「オフィス」を抜けると、またもや異様な光景が(写真中)。「極限で似るものの家」と名付けられたこの建物の内部は、人ひとりが入れるくらいの通路が交錯し、その通路を仕切る壁が、ところどころに置かれたソファーやガスレンジといった家具を分断しています。



さて圧巻はこちら(写真下)。楕円形にくりぬかれた土地に木々が植わり、日本地図だの屋根瓦だのが埋め込まれ、私たちはほとんどすべての部分を通ることができます。決まった順路も無いので、歩き方は自由。外側を、英語、中国語、フランス語、ドイツ語で表記された街路図が覆い、その外壁づたいに行けば、周囲の山並みも含めて壮大な風景を一望できます。



yoro3.jpgこの施設には平らな部分はほとんどといって無く、気をつけていないとよろめくし、転ぶし、不自然な姿勢を取らされるし、頭をぶつけることもあるし、全く「人にやさしくない」作りになっています。けれども、地を踏みしめて進んでいくうちに、普段使っていない筋肉の存在を感じたり、目や耳を使って周囲に注意を払ったりすることになり、生きている自分の肉体を実感することになります。


桜の花びら舞う心地よい天気のもとで、芸術作品を身をもって存分に体験することができた一日でした。自分の体力の無さも同時に痛感したけれど・・



exquise(2007年4月12日)

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posted by cyberbloom at 10:58 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館&美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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