2008年02月21日

カナダ・ケベック州の早春 メープルシロップの里を訪ねて(2)

メープルシロップには、まず、サトウカエデの幹にドリルで穴を開け、5センチ長さの差込口のある直径1センチの透明な青色のチューブを差込む。チューブは、落葉樹の森を縦横に縫い、太陽の光を透かしている。樹液は重力によって連結した太いチューブに流れ、運搬用樽に収穫される。また、砂糖小屋に直結しているチューブもある。この方法には傾斜が必要なため、砂糖小屋は森の低い場所に建っている。採取されるのは1本の木の糖分の10分の1で、寿命を縮めたり、成長を妨げる量ではなく、幹の穴の数も制限している。シーズンが終われば、穴は、ゆっくりと自然の力で塞がる。

quebec04.jpg

平均的に、1シーズンに1本から35〜50リットルの樹液が採取され、1〜1.5リットルのメープルシロップが出来上がる。この砂糖小屋の1日の収穫量は、少ない日で600リットル、通常は1200リットルで、4000リットルまで対応できる。集められた樹液は、まず浸透膜によってシロップと純水が50%対50%に分けられる。かすかに黄色味を帯びたシロップは、口に含むとうすい砂糖水のよう。ステンレス水槽の中で青く澄む水は、瓶詰めにして酒類を割る水として出荷される。

そして砂糖水は104℃で時間をかけて煮詰められ、最終的に、水分の95%が除かれ、糖度は66%以上になる。煮詰めることで独特の風味と色が加わり、琥珀色の液がドラム缶に溜まっていく。辺りはカラメルの様な香ばしさに包まれる。テイスティングと称して木のヘラをかざし、熱いシロップを受けて口に運ぶ。大人も子供も、その場所から離れられない。


外のテーブルでは昼食の準備。持参したサラダ、マリネ、何種類ものチーズ、ハム、フランス風のパン、ワインが並べられた。出発前に生地を仕込んだ、そば粉のクレープを交代で焼く。17世紀フランスからケベックに渡来した移民のふるさとブルターニュ風。半量が焼きあがったころ、メープルシロップの出来立てが中央に置かれた。熱々を贅沢にかけたクレープは、ケベックの味。

quebec03.jpg作業場の端では、このメープルシロップを、さらに別の電気鍋で111〜117℃に上昇するまで、かき混ぜないで煮詰めている。そして、きれいな雪を固めて敷いた台(仏語:Palette)に窪みをつけて、この濃いメープルシロップを落とす。鼈甲飴のようなトフィー(仏語:Bonbon au caramel dur)である。ガイドブックで見たのは、観光客が横に並び、アイスキャンデーの棒状のもので巻き取っている写真だった。ここでは、ご飯しゃもじ大のサイズ。わんこそばのように次々に落としてもらい、豪快に巻き取って口に運ぶ。皆の幸せな笑い声が森に響く。

そして、その濃い液を急速に冷やしながら撹拌すると、クリーム状のメープルバターの出来上がり。メープルシロップは糖分、カリウム、ナトリウム、カルシウム、ビタミンB1・B2を含み、脂肪を含まない。「バター」という言葉は、アップルバター(ジャムより濃いもの)と同じく、単に濃縮されたものを指す言葉でもあるようだ。最近はメープルスプレッドとも表示されている。

お腹が満たされると、アイヌの楽器ムックリに似た口琴、縦笛、ミニのシンバル、蛙の形の打楽器が取り出され、即興の合奏。楽器を手にしない人は踊る。友人達は、腰にサッシュを巻いていたり、帽子を被っていたり、どこか民族衣装っぽい格好に見える。長い冬を抜けて、春を迎える祭事を心から楽しんでいる、ケベックのフランス系の人達。彼らケベコワの合言葉 ”Joie de vivre”(生きる喜び…人生を楽しく!)は、ここにも健在である。



Sophie

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posted by cyberbloom at 07:52 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | フランスの外のフランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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