2007年12月11日

有名美術館の分館ラッシュ(2) 日本人建築家の活躍

先回紹介したフランスの有名国立美術館の分館プロジェクトに日本人が関わっている。ポンピドゥーセンターの設計コンペを射止めたのは、坂茂(ばんしげる)氏、ルーブル美術館の方は、妹島和世氏と西沢立衛氏の共同事務所 SANAA だ。彼らは世界中からラブコールを受ける売れっ子建築家だ。

SHIGERU BAN 紙の建築行動する―震災の神戸からルワンダ難民キャンプまで

坂茂氏はコンペで名だたる建築家を抑えてウィナーになった。建築は、中国の伝統的な竹の帽子にヒントを得て、6角形の大屋根は木材を編んだような構造。その下にピクチャーウインドウを持つ、3つのギャラリーチューブが上下に並んでいる。パイプの骨格が外にむき出しになっているパリの本館の革新的な発想を受け継ぐのだという。

坂氏は紙管を使う建築家として知られている。最近、フランスの川に紙製の橋を架けて話題になっていた(→APF動画ニュース)。紙は一見、脆弱な素材に見えるが、恒久建築の構造材としても十分な強度を持つ。また紙はローコストで、入手しやすいという利点がある。その利点は緊急時に生かされる。坂氏は紙の建築を携えて支援活動に出かける行動する建築家でもある。阪神大震災やルワンダ難民キャンプの現場で仮設住宅を作り、同震災で消失した地元(神戸市鷹取)の教会の代わりに紙製の教会も建てている(建設にはボランティアが携わった)。

阪神淡路大震災のとき、自分の設計した建築でないにせよ、建築でたくさんの人がなくなったことは事実で、建築家として責任を感じ、何かできないかと純粋な気持ちがあったと坂氏は言う。難民や地震でも、最初のうちは医療や食料が問題になるが、その後必ず住宅の問題が起こる。住宅問題であるにも関わらず、全く建築家が携わっていない。それを改善しようという建築家がいないことを坂氏は指摘する。

建築家と言えば、コストに糸目をつけない高価な建築物ばかりを作っている、エスタブリッシュのための、エスタブリッシュな人々というイメージがある。金持ちのための建築か、予算を惜しまない自治体のハコモノ(公共的な建築物ではあるが)って感じで、ローコストで美しい建築という発想はあまりなかった気がする。坂氏は、被災地や難民キャンプの建物こそが美しくなくてはならないのだと主張する。被災者の惨めな気持ちを晴らすような建築、あるいは、被災者の人々を蔑むような気持ちが起こらないような建築が必要になる。このような倫理的な視点には共感させられる。

一方、SANAA によるルーブルの分館は、反射性のある外装を使った壁面がゆるやかなカーブを描き、そこに周囲の森が外壁に映り、建物が自然の中に溶け込むデザインになっている。パリの石造りの本館が歴史的な時間の蓄積を主張する重厚な建築物(ガラスのピラミッドで多少中和されているとはいえ)であるのとは対照的だ。

妹島和世+西沢立衛/SANAA―WORKS1995‐2003 妹島和世+西沢立衛/SANAA 金沢21世紀美術館

SANAAは国内外に注目される作品を提供している。Dior表参道金沢21世紀美術館トレド美術館ガラスパビリオンなどが、世界的に高い評価を受けている。最近では「NYミュージアム」が、歴史的に有名な建築物の多いマンハッタンの新しいランドマークとして完成が待たれている。「NYで現在、これほど未来への確信をインスパイアするような建築プロジェクトは他にはない」とNYタイムズから賞賛された。こちらは白い箱型の階層を重ね合わせ、自然光を取り入れる作りになっている。



cyberbloom

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posted by cyberbloom at 18:46| パリ ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術館&美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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