2007年09月19日

ケ・ブランリー美術館(2)

branly01.JPGケ・ブランリー美術館の外観を決定付けているのは、建築家ジャン・ヌーヴェルのデザインだけではない。もうひとつ忘れてならないのは、植物学者パトリック・ブランによる垂直庭園だ。彼は1953年パリ生まれで、熱帯の下生え植物の専門家である。ケ・ブランリー美術館はとてもエコな美術館でもあり、建物の壁面を様々な植物がびっしりと覆っている。

植物を育てるのは実は土ではない。水とミネラル塩なのだ。温帯や熱帯の山々では岩や切り立った崖、木の幹に植物が繁殖している。薄い腐植土の膜があれば、十分な栄養を取れるのだ。私たちは植物は水平に植えるものだと思っているが、植物にとって水平面は必ずしも必要なものではない。

この観察からパトリック・ブランは垂直庭園のシステムを作ることを思いついた。垂直栽培という方法は前からあるが、植物を土に植えるために鉢や吊り下げた容器を使う。それゆえにかなりの重量がかかってしまう。パトリック・ブランの技術は土なしで済ませること、そして前代未聞の高さでの垂直庭園を可能にした。またシステムは驚くほど簡素で低コスト。年2回の刈り込みで何十年も持つらしい。

植物は共生能力に応じて選ばれ、風量、温度、光度に関して、それぞれの植物に適した高さに配置されている。厚さ3ミリのフェルト生地が建物の外壁に表面張力と毛管現象で貼り付つき、岩の表面の腐植土の膜の役割をしている。植物は窒素化合物とカリウム入りの水がしみこんだフェルト生地に根を張るのだ。

植物の壁は都市の緑の空間を増やす革新的なアプローチである。それは都市の概念を変える。都市はもはや鉱物の空間ではなく、植物の空間なのである。都市に失われた緑を再導入し、都市に住むことと植物を楽しむことを巧みに混ぜ合わせる。

branly02.JPG

「垂直庭園」という言葉はロマンティックに響く。実際、この発想は多くのパリの業界人たちを魅了している。ブティックやホテルなどでこのシステムが採用されている。ケ・ブランリー美術館以外で、パトリック・ブランの植物の壁を見れる建物は次の通り。

En France,

- Boutique "Marithé et Francois Girbaud", Paris 75006, 7 rue du Cherche Midi, réalisé en 2002.
(マルテ・エ・フランソワ・ジルボーのブティックの内装)
- Hotel "Pershing Hall", Paris 75008, 49 rue Pierre Charron, réalisé en 2001.
(ホテル・パーシング・ホールの中庭の壁面)
- Fondation Cartier, Paris 75014, 261 boulevard Raspail.
(カルチエ財団のエントランス)
- Square Vinet, Bordeaux 33000, réalisé en 2005.

Ailleurs(フランス以外)

- Centre commercial "Siam Paragon", Bangkok, Thaïlande, réalisé en 2005.
- Aquarium de Gênes, Italie.

ケ・ブランリー美術館訪問(動画:建築家と植物学者が登場)
パトリック・ブランのインタビュー


cyberbloom

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posted by cyberbloom at 22:54 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | フランスの美術館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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