2007年09月04日

週刊フランス情報 27 AOUT - 2 SEPTEMBRE

米大統領、戦前日本とアルカイダ同列視
ブッシュ米大統領が22日に中西部ミズーリ州カンザスシティーで行った演説は、自らのイラク政策を正当化するため、日本の戦後民主主義の成功体験を絶賛、フル活用する内容だったが、半面で戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。米軍撤退論が勢いを増す中でブッシュ氏の苦境を示すものでもある。 冒頭は9・11手ロかと思わせて、実は日本の真珠湾攻撃の話をする、という仕掛けだ。戦前の日本をアルカイダと同列に置き、米国の勝利があって初めて日本が民主化した、という構成をとっている。大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。
(8月24日、ASAHI.COM)

★Youtubeにこういう動画もアップされている。
Bush's and America's mis-understanding of history 

★以前、NYの同時多発テロ(9・11)の直後に出たル・モンド紙(2001年9月13日付)の記事を紹介したことがある。その記事ではツインタワーに航空機で突っ込んだテロリストに対して「パールハーバー・テロリスト」とか「カミカゼ攻撃」という表現が使われていた。また記事にはパールハーバー奇襲(アリゾナ沈没の写真)と山本五十六の写真が大きく掲載されていた。9・11当日のフランスのテレビも同じように演出されていた。炎上し、崩壊するツインタワーや、オサマ・ビン・ラディンの映像の合間に、奇妙なことに、日本の特攻隊がアメリカの戦艦に突っ込んでいく映像が流されていた。
★NYを突然襲った驚きと恐怖を表象するのに、あたかも日本と同時多発テロが関係あるかのように、太平洋戦争時の日本のイメージが徹底的に流用されていたのだった。つまり、特攻隊もアルカイダも、西洋的な理性によっては理解できない、東洋人の野蛮で、狂気じみた行為として結びけられ、思い出されているのだ。「こういう緊急に作られた特別番組こそが欧米人の無意識の欲望を誘い出すのかもしれない」とそのとき書いたが、ブッシュ大統領はそれをあからさまに言っている。それらは決して過去の記憶ではなく、今も確実に信じられ、流通可能なイメージだということを、改めて思い知らされる。
★日本人は敗戦という決定的な断絶によって、戦前、戦後と分けて考えてしまう。またイラクに対してはアメリカと同調し、自衛隊を派遣したことで、アメリカと同じ視線でイラクを見がちだ。このブッシュ大統領の発言は、否応なしにアメリカに対する幻想から私たちを引き戻してくれる。おそらくこれは歓迎すべき体験なのだろう。アメリカにとって、太平洋戦争と、湾岸戦争やアフガン・イラク戦争は連続性のある軍事行動だとすれば、私たちはイラクを私たちと同じ目線で見ることも可能なのだ。

ホームレスをネズミ薬散布で「駆除」、仏で非難の声
パリ郊外のセーヌ川沿いにあるアルジャントゥイユ市で、中心街からホームレスを追い出そうと、ネズミ駆除に使う化学薬品を市が路上にまいていたことが明らかになった。市は当初、市職員に散布させようとしたが拒否され、業者に依頼したという。「非人間的な方法による弱い者いじめだ。容認できない」と、非難の声が上がっている。 仏テレビTF1によると、同市は市中心部の商業地域の路上からホームレスを退去させる計画を立て、散布する薬品を7月に購入した。刺激性の悪臭を放つもので、箱には吸入禁止と記されていた。人が吸った場合、吐き気を催すという。 当初は、道路管理課の職員に散布を要求。しかし、職員から「ネズミ用で人間には使えない」と拒否されたため、一部を建物管理業者に依頼して散布させたという。 同市幹部はAFP通信に「悲しい方法だが許されると思った」と弁明。計画を主導したとみられるモトロン市長は路上生活者嫌いで知られ、3年前には街中で物ごいを禁止する行政命令を出し、物議を醸している。
(8月25日、ASAHI.COM)
★これがサルコジ政権が助長する今のフランスの姿なのか。市の職員が拒否したことがせめてもの救いだが、民間会社にそういうモラルがないのもおかしい。官から民への動きは合理性の問題であって、最低のモラルを切り捨てていいという話ではない。

小火器所有、米が突出、10人あたり銃9丁
マイケル・ムーア ツインパック 「華氏 911」×「ボーリング・フォー・コロバイン」 (初回限定生産)ジュネーブ高等国際問題研究所は拳銃や自動小銃、携行型対空ロケット砲など小型武器の現状をまとめ多07年年次報告書を発表した。世界中で出回っている拳銃など小火器の数は推計8億7500万丁で、うち7割以上の6億5000万丁が民間が所有していた。民間で小火器所有数がもっとも多いのは米国で2億7000万丁。人口10人あたり9丁の計算で突出している。民間の小火器所有が多い国としてはドイツやフランス、イタリア、スペインなど先進国、人口の多い中国とインドが並ぶ。報告書はまた、米国やブラジルでのデータを基に、大都市ほど小火器による殺人事件の発生率が高くなると指摘。大規模で無秩序な都市化の進行は、小火器を使った犯罪増加に結びついていると警告している。
(9月2日、毎日新聞)
★GYAOで無料配信していたマイケル・ムーアのドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」をタイミング良く見た。アメリカと同じように銃の携帯率が高く、銃弾も普通に買えるにもかかわらず、銃犯罪がほとんどないカナダとの比較が興味深かった。川をはさんで対岸に位置するアメリカとカナダの町の治安状況が全く違う。カナダの人は玄関のドアに鍵もかけないのだ。アメリカ人は銃を持つ口実として、「自分や家族を守るため」とか言っているが具体的な敵のイメージがはっきりしない。それはときに黒人男性として、ときにテロリストとして表象されるが、結局はマスコミがテレビを通して日常的に煽り立てる恐怖心の過剰反応にすぎないことをマイケル・ムーアはあぶりだしていく。つまりは恐怖による国家管理なのだ。それをインディアンの虐殺からアメリカの歴史が始まったとか、キリスト教は常に魔女狩り的な行為を内にはらんできたとか、様々に解釈することが可能だろうが、アメリカが世界各地で戦争を仕掛けてきた理由も何となくわかってくる。アメリカの軍事行動と銃社会は連続性のあることなのだ(コロンバイン高校の銃乱射事件とコソボに対する最大の空爆が同じ日に起こったという皮肉も指摘されている)。さらにアメリカ人が恐れるものといえば、共産主義であり、アメリカが格差社会を維持する(=皆保険制度を採らない)のは共産主義に対する恐怖心だということが、新作「シッコ」から読み取れるかもしれない。

■週刊スポーツ情報(by superlight):横断的フットボール国際大会情報
*9月7日(金):サッカーA代表国際親善試合
*9月7日(金):ラグビーW杯開幕
*9月8日(土):北京五輪アジア最終予選
(→続きを読む)

もっとサッカーの記事を読む

□今回代表に招集された松井の先週のゴールシーンを改めて動画で。ウェストフランス紙が「この世のものではないゴール」と絶賛。
http://jp.youtube.com/watch?v=MDHS0ihLj28



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posted by cyberbloom at 11:11 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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