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by CHARLOTTE GAINSBOURG
RECOMMENDED CD
■二人 いつか 憧れの♪ パリに 行くのを 夢見てる♪ 宮崎あおいとアヒルの熱演による損保会社アフラックのコマーシャル・ソング。ノートルダムにシャンゼリゼ、サンジェルマンに凱旋門、モンマルトルにカルチェラタン、エッフェル塔にクリニャンクール。実はパリが曲のテーマ。多くの働く女性たちにとってパリは今も特別な場所なのだ。
■マレーヴァ・ギャランテール。タヒチ生まれ。彼女の名前は「流れ星」を意味するらしい。1998年、ミス・タヒチ。1999年、ミス・フランス。1m78の長身とエキゾチックな美貌で、14歳からモデルとして仕事を始め、テレビのバラエティー番組の司会者なども努める。2006年に発表された彼女のデビュー・アルバム「ukuyéyé」はイエイエのリバイヴァル。フランス・ギャル「娘たちにかまわないで」、ジャクリーヌ・タイエブ「朝の7時」などをカバー。
■スーパーモデルにして女優が、2002年、本アルバムで歌手デビュー。ヨーロッパで100万枚を売り上げるヒットとなった。このアルバムはプロデューサーのお膳立によるものではない。自分で詞を書き、曲を作り、ギターまで弾く。さらにはハスキーで落ち着いた魅惑的な声の持ち主ときている。「ポンヌフの恋人」のカラックス監督のクリップ付。
■思い出したようにCMで使われ、プチブームが来る。最近では「シェリーに口づけ」がホンダのゼストのCMに使われていた。今の学生は「ウォーターボーイズ」を思い出すらしい。このベスト盤は「愛の願い」「愛の休日」「愛のシンフォニー」「渚の思い出」「哀しみの終わるとき」など、ポルナレフの名曲をほぼ網羅。私も買い直そうかな。
■アコースティックなフレンチ・ロック。女性ボーカル、ギター&ベースの構成。フランス語は淡々と囁くように歌うのがいい。90年代の前半によく聴いていたブリティッシュ系のギターバンドの音。系統としては80年代のネオアコにまでさかのぼる。最近はいろいろ試行錯誤してます。
■フレンチボサノバの名盤。かなりジャズも入ってます。ベルギー発。名曲「南の海の魚」のフランス語がとても心地良い。夏が近づくと聴きたくなる。
■ダフト・パンクのベスト・アルバム。今年のサマーソニックで来日していましたね。日本絡みで話題の多いダフト。2nd、Discovery では日本の伝説的なアニメーター、松本零士とコラボレーション。クリップ集は映画化されカンヌで上映。ダフトの2人は松本零士の「宇宙海賊キャプテンハーロック」を見て育ち、「日本は第2の故郷だ」とまで断言する。
■日本でも人気が出てきたフランスのバンド。日本のCMにも曲が使用。ヒップホップとロックのミクスチャーだが、この3rdアルバムはロック色が全面に。初回限定盤は秘蔵ライブ映像付(マーケットプレイスでget!)。メンバーはライブで客にナウシカを歌わせるほどの日本アニメおたく。
■2000年にアルバム「パズル」で衝撃的なデビューを飾ったフランスの男性4人組バンド、タヒチ・エイティの2nd。前作のポップセンスを維持したまま、ストリングス&ホーンを導入。懐かしい感じのするメロディが抜群にいい。英語で歌っています。
■exquiseさんもイチオシ。フレンチ・エレクトロの代表格、AIR(エール)による「ヴァージン・スーサイズ」のサウンド・トラック。レトロさと未来っぽさが同居しているるのがエールの味わい。独特のトリップ感覚に浸れるが、私にはどうしてもピンク・フロイドにしか聞えない。
■コートをまとったポール・ウェラーとミック・タルボット。カッコ良すぎる。二人のファッション、イギリス人が意識したフレンチ・カジュアルなのかもしれないが、パンツはくるぶしの上5センチでカットされており実にイギリス的。録音も当然ロンドン。写真をパリに、アルバム・タイトルをフランス語にしてもイギリス人がパリなんかでロックのレコードを録音できるはずがない。80年代の名盤。ジャケ買いOK。
■DJ CAM−フランスで最高のDJ。オシャレ&クールなジャズ・ヒップホップ。soulshine というだけあって、ソウルフルな女性ボーカルをフィーチャー。洗練されつつ、遊び心もふんだんに盛り込まれた1枚。大推薦!
■Mad Blunted Jazzなんて、タイトルがすでにカッコいい。内容は「Underground Vibes」と同時期のライブ(1995年レンヌ)のカップリング。タイトルの示す通り、地下室の闇を置く深くまで振るわせるようなヴァイブラフォンの響き。DJ CAMはMJQの現代版か。クール&タイトなインスト・ヒップホップ。10年経っても全く色あせず。
■フレンチロリータにしてコギャル系。今はJ・デップの奥さんだが、このアルバムは元カレのL・クラヴィッツのプロデュース。クラヴィッツのポップセンスがキラキラ輝く。BE MY BABYのクリップを改めて見たが、ファッションが著しくイマ風。ギャル系の学生も見入っていた。
■シャルロット・ゲーンズブールの久しぶりの新アルバム。映画とのタイアップではないオリジナルアルバム。バックにフランスの2人組エールが、さらにプロデュースにレディオヘッドも手がけるナイジェル・ゴドリッチ。
■ブランシェなパリを演出するコスト兄弟がプロデュースしたホテル・コスト。このホテルのラウンジ&レストランをイメージしたコンピレーションCD。今や9集目を数えるラウンジ系の人気シリーズだが、これは記念すべき第1弾。ベスト盤もあり。
■フランスで最も有名なラッパーの1st。フレンチラップの金字塔的な作品。音もジャズっぽく、スタイルもクール。MCソラーは移民の置かれた現実の告発よりも、純粋に言葉による表現を志向している。ことわざやクリシェで遊び、シラブルと韻を自在にあやつる。
■セーヌ河のジャズ。青い頃のバルネ・ウィラン。初っぱなの"SWING 39"がいい。口につけるリードがこなれず、青臭く乾いたところ、パーカッションの勢いにまかせて、伸びる伸びるテナーの音粒…
■ペトルチーアーニは繊細な演奏をするフランス生まれのピアニスト。なかでもオープニングチューン"THE PRAYER"と2曲目"OUR TUNE"は、たまに無性に聴きたくなるんよね。
■泣く子も黙る、モダン・ジャズ・カルテット。パリを舞台にしたジャズの名盤のひとつ。ヴァイブラフォンの響きが何ともクール。「Django」と併せて聴きたい。
■フランスといえばダバダバダバ。ダバダバ・スキャットの名盤。Swingle SingersがMJQと華麗なバロック・ジャズをやっている。「G線上のアリア」など。バロックもジャズもフランス発じゃないが、2つが組み合わされるとそれっぽく聞こえるのが不思議。MJQがコンコルド広場で、こちらはヴァンドーム広場。
■「枯葉」「マイ・ウエイ」(=コム・ダビチュード)、「男と女」など、誰もが知っているシャンソンの名曲をボサノバ・アレンジで歌う。ジュリエット・グレコはダメでも、このアレンジだったら今の学生も聴けるみたい。イントロに本場のボサノバのサビを忍びこませている。
■フランスのプログレといえば外せないのがこれ。不思議な響きを放つマグマの歌は、彼らが考案したコバイア語によって歌われている。彼らはコバイア星からやってきたコバイア星人で、このバンドによってコバイア神話を語り継ぐ。これも70年代のサイケカルチャーの産物だが、ここまで変さを徹底できるのはフランスならではか。リーダーのドラマー、クリスチャン・ヴァンデールはコルトレーンの影響下にあると言っているが、プッチーニのオリエンタル・オペラ(「トゥーラン・ドット」とか)にも似ている。
■フランス語圏のベルギーのグループ。室内楽風の構成なのでチェンバー・ロックと呼ばれる。バスーン(ファゴット)のこもった低音や、地の底から響いてくるようなハーモニュームの音が特徴的。夏の肝試しにも使えそうな、呪術的でフリーキーな音作りだが、リーダー、ダニエル・ドゥニのドラムに導かれるアンサンブルも凄い。このLP盤を手に入れるのにどんなに苦労したことか。今やアマゾンで簡単に買える。
■ライ(アルジェリア起源のポピュラー音楽)で注目すべき傾向のひとつは、フランスにおけるライとr'n'b の融合。2004年に Kore & Skalp というコンビが多くのアーチストを集めて製作したRai'n'b Fever 。このコンピレーションは大セールスを記録し、フランス全体のチャートでも2位に。なかでも収録曲のひとつで 113, Magic System, Mohamed LamineによるGaou a Oranはその年の「フランスのクラブで最も頻繁にかけられた曲」となった。
■パトリシア・プティボンは、近年、ヨーロッパ各地の大劇場のオペラ公演に重要な役どころで出演し、高い評価を得ているフランス人ソプラノ歌手。このプティボン、たんに歌や演技がうまいオペラ歌手というのとはわけが違い、チャーミングなキャラを生かした、かなり規格外のパフォーマー。最大の魅力は、天上の聖性と地上の下世話さのあいだを一瞬にして往還する表現の自在さであろう。
■エレーヌ・グリモーはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いのピアニスト。エクサン・プロヴァンス生まれのフランス人であるが、ドイツ音楽を好み、ベートーヴェンやブラームスの協奏曲をプログラムに選ぶことが多い。グリモーは幼い頃から周囲と溶け込めず、自閉症に近い性格を持っていた。彼女を変えたのが狼との出会い。20歳からアメリカに移り住んで動物生態学を学び始めた彼女は、狼との交流を通して世界に向かって心を開き始める。と同時に、彼女の音楽家としての魂は目覚しく成長を遂げた。
RECOMMENDED BOOKS
■モノが氾濫するなかで育った日本の少女たちは世界の消費文化の中でも特異な存在である。彼女たちは階層的なアイテムだったヴィトンやエルメスを日常的に使いまわす。ブランド世代の母親たちが「上がり」として手に入れたブランドと、その過程で獲得した鑑識眼は彼女たちにとっては出発点に過ぎない。もはや憧れではなく、彼女たちはモノとしての機能性やデザイン、イメージに徹底的にこだわる。そういう新しいコンテクストにエルメスも捉えなおされる。
■ユベール・マンガレリ『おわりの雪』:フランスの「今」を感じる現代小説のひとつ。原文はフランス語文法を一通り終えた人ならじゅうぶん読める平易なことばで書かれている。オリジナルの文章を味わってみるのも楽しい。
■2002年,東京でミュージシャンとして活躍していた著者はパリに移住する.そして,このお洒落の代名詞ともいえるフランスの首都にて予期せぬ事態に次々と遭遇することになる.念願のプジョー・ヴォーグ(ペダルのついたスクーター)に乗ればガス欠となり,ガソリンスタンドを求め街を彷徨う.アパートでは何の予兆なく唐突に天井が落下する.当たり前といえば当たり前だが,花の都での生活は,バラ色ばかりというわけではない.著者の記述が数ある著名人/芸能人のパリ滞在記と異なるのは,そのユーモラスな筆致にある.
■祐天寺りえ『フランスだったら産めると思った』:日本の少子化が問題になっているが、フランスは積極的な政策で少子化に歯止めをかけている。本書はフランスに住むことになった日本人の女性の視点から、フランスの子育て事情について書いている。これからはどんな家族のあり方が望ましいのか、具体的にイメージできる本。
■これまでの「西洋音楽史」と銘打った本の多くは例外なく、各時代の専門家による分担執筆だった。これらは専門家に対して正しい専門的な知識を万遍なく提供するだろう。しかし、様々な関心やつながりからクラシックについて知りたいと思っている普通の人、例えば、「のだめカンタービレ」を読んでクラシックに興味を持った人が、それを理解できるだろうか。理解できる、できない以前の問題として、そういう「使えない」音楽史に意味があるのだろうか。ある種の正しさはあるかもしれないが、ナンセンスな専門知識ではないのか。そういう問いが著者をしてこの本を書かせたようだ。
■本書はコロンブスのアメリカ大陸発見から現在に至るフランスとアメリカの関係を綿密に検証している労作だが、とりわけ第2次世界大戦後の米仏関係を描いた箇所が興味深い。フランスの知識人たちのあいだで「フランス精神はアメリカに占領され、植民地化されつつある」という危機意識が生まれたのは、フランスが経済的に衰退し、外交の舞台でも脇役に追いやられ、自らのアイデンティティーの最後の砦を自国の文化に求めるしかなかったからである。そして、津波のように押し寄せたアメリカの大衆文化をフランスの知識人の理解を超えていた。ブルジョワ的な教養という枠組みしか知らなかった彼らは、それが俗悪なサーカスか、あるいは帝国主義的なプロパガンダにしか見えなかったのである。
■『中村屋のボース』:インド独立運動家にしてアジア主義者、ボースの波乱万丈の生涯。急進的な反英抵抗運動の過程で、日本に逃亡し、そのまま日本に帰化する。潜伏先の相馬家の人々に本場インドのカレーを伝授し、それがレトルト化までされている「中村屋のカリー」に結実する。
2007年08月18日

■先月「ゲド戦記」のDVDが発売された。
通常版(2枚組み)と
特別収録版(4枚組み)の2種類ある。
2006年の最大のヒットとなった「ゲド戦記」は、衝撃的な父親殺しで始まる。何も不自由しない境遇に生きながら、得体の知れない暴力と否定の衝動に駆られる王子アレン。何か宮崎吾朗の置かれた立場を暗示していて興味深い。一方で、そのような人物造形は、人の心の暗部は単純な動機や悪意によっては理解できないし、もはや単純な理想主義では観客を引っ張れないという同時代的な認識が根底にあるのだろう。クライマックスには、「生きることを怖れてはいけない!」という生命に対する畏敬の念に目覚める。
「
CUT」(2007年7月号)に、フランスで「ゲド戦記」の配給を手掛けたフランソワ・カミエル氏のインタビューが掲載されていた。

カミエル氏は、初監督で宮崎駿の息子というプレッシャーを撥ね退け、複雑な物語をうまく纏め上げたと評価。ルグィンの原作は世界中で有名だが、フランスでは余り知られていないようだ。もちろん出版はされているがそれほど読者は多くない。宮崎吾朗の作品を、やはり日本と同じようにフランスでも父親と比較して語る人たちは多かったが、吾朗の処女作として評価していたひとも多かった。ゲド戦記は日本では610万人、77億円という興行収入。一方で、フランスでは30万人の動員と一桁違うが、フランスの人口は日本の半分だし、アニメに親しむことがすべての世代に浸透しているわけではない。30万人という数字は「風の谷のナウシカ」と同じくらい。「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」には及ばないが、日本人の初監督作品としては素晴らしい記録なんだそうだ。「彼の独特のタッチが生かされるのであれば、題材は何でもありうると思う」、と次の作品にも期待を寄せている
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ジブリ美術館館長に直撃!『アズールとアスマール』のヒットの秘密とは?この夏、渋谷・シネマアンジェリカなどで上映中の長編アニメーション作品『アズールとアスマール』が、映画ファンの間で話題を呼び、大ヒットを記録している。同作を配給する三鷹の森ジブリ美術館の中島清文館長に作品の持つ魅力や、“三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー”について話を聞いた。『アズールとアスマール』は、2人の少年が不思議な世界を冒険しながら、成長を遂げるファンタジー。物語の面白さはもちろん、フランスアニメーション界をリードするミッシェル・オスロ監督が作り出す圧倒的な映像美も見どころだ。しかし本当の意味で、この作品が観る人の心をつかむ理由は別にあると中島館長は語る。「作品の裏に、異文化間の偏見がいかに作られるものなのか、また“常識を疑え”っていうメッセージが描かれています。
(8月10日、シネマトゥデイ)
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公式サイト−AZUR ET ASMAR■
幼き少年の夢と奇跡を描く『チャーリーとパパの飛行機』大好きだったパパからの最後のプレゼント、真っ白な飛行機に乗ってもう一度パパに会いたい!カンヌ、ヴェネチア、ベルリンと世界の映画祭をまたぎ、フランス映画界を牽引する監督、セドリック・カーンが子供のひたむきに夢を信じる姿を描く『チャーリーとパパの飛行機』。9月1日(土)に公開。
(8月10日、cinemacafe.net)
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Photo Galery■
蜷川渾身、全裸だけじゃない舞台「エレンディラ」見所
「脱がせます。捕まらないギリギリのところまでやります」…演出家、蜷川幸雄氏がこう息巻くのは、モデルで女優の美波(みなみ)がヒロインを務め、あす9日開幕の舞台「エレンディラ」(彩の国さいたま芸術劇場、9月2日まで)。受けて立つ美波は、フランス人の父、日本人の母を持つハーフ美女。「抵抗はありません。脱ぐことよりも、役のことを考えて、頭の中は“挑む”の文字でいっぱい」と、制作発表では謙虚だった。ノーベル賞作家、ガルシア・マルケス原作の同舞台は、5年前から蜷川氏が案を練った大作。少女エレンディラを砂漠で行列ができる街娼に仕立て上げる祖母、エレンディラと恋に落ちるウリセスを描く物語。
(8月8日、夕刊フジ)
★「脱がせる」に惹かれて、あるいは女優がフランス人のハーフいう理由で取り上げたわけはない。魔術的リアリズムと評されたガルシア・マルケス(コロンビア)の小説版がお薦め(「
百年の孤独」も忘れてはいけない)。「エレンディラ」は本人の脚色によって映画化されていて、それをぜひ見て欲しいのだが、DVDはおろか、VHSでも見つからず残念。蜷川解釈の演劇か、文庫本で楽しむしかないようだ。南米を旅した友人にいろいろ話を聞くのだが、人里離れた場所にいきなり出現するウルトラ・バロック様式の教会建築が凄いらしい。一度見てみたいものだ。ガルシア・マルケスって、今はバッグのブランドで知られているんだね。
★先週の週刊情報で紹介したピエール&ジル、彼らの経歴が動画で手っ取り早く紹介されています。
■今週の iPod
"In Limbo"
Radiohead
in Kid A (2000)

『海辺のカフカ』のカフカ少年は暗闇の中、一人きりでレディオヘッドを聴いていたけれど、私が彼らの音を最も体感するのは地下鉄の構内みたいな、人が大勢いるのに孤独を覚える場所にいるときだ。この浮遊しながら漂うギターの音色を聴くと、その周りの雑踏ともども冷たい海の底に沈められたような感覚に陥る(実際、"I'm lost at sea" と歌われている)。それにしても、トム・ヨークの声はどうしてこうも悲しく響くのか。どんなエフェクトをかけられても、彼の声は見捨てられた子供の叫びのように、いつも痛切だ。
(by
exquise)
村上春樹は、小説のなかの道具として音楽を使っている。小説家は雨や雪、風などといった自然をその登場人物の心情やその小説の先を暗示するものとして使うことがよくある。それと同じように村上春樹は音楽を使っている。
『海辺のカフカ』では、カフカ少年がRadioheadの「kid A」を聞きながら一人で運動するシーンがある。この「kid A」という問題作は音だけ聞いていても暗く、別世界にいるような心地さえする。歌詞は隠喩が多用されていて理解しづらいが、現実世界への絶望、孤独、疎外感といったような負の側面を歌っていることは間違いない。カフカ少年が周りの少年にとって劣悪だった環境から逃げ出して一人で生活していくという小説の世界にあてはまる。
また「kid A」という曲の歌詞の中に「Standing in the shadows at the end of my bed」という一節がある。これは少女のころの佐伯さんが僕の寝室に現れるシーンとよく似ている。この一節をもとに村上春樹はあのシーンを書いたのかもしれない。このような暗示的な音楽を使うことで読者に様々な読み方、考え方を提示している。
(by lemon)
lemon
PROFILE:福岡出身です。趣味は読書、ギター、音楽・映画鑑賞、写真、サッカー・野球観戦です。

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posted by cyberbloom at 15:16| パリ |
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