2007年08月13日

ファッションの王様 ポール・ポアレ再び

poiret02.jpg20世紀の初めに彗星のように現れ、第一次世界大戦まで一世を風靡したファッションデザイナー、ポール・ポアレに今、再び熱い視線が注がれています。女達をコルセットから解き放った立役者、オリエンタリズムの代名詞。これまでファッションの歴史を飾る「大物」としてのみ語られてきたポアレを多面的に捉え直そう。この5月からニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されている展覧会はそんな風潮の顕著な例と言えます(スポンサーはバレンシアガ。ポアレへの業界内の関心の高さが伺えます。)
 

スポットがあたっているのは、現代のファッションデザイナーのひな形とでも呼べそうな、ポアレその人の多面性です。野心家であったポアレは「淑女のための仕立て屋」に甘んじず、生活全てについて素晴らしいデザインを提供することを理念に掲げた企業家でもありました。娘の名を冠した香水からインテリアデザイン、学校経営まで、手がけたビジネスは多岐にわたります。
 

またPRマンとしても手腕を発揮します。史上初のファッションショーを仕掛けたのみならず、トレンドセッターとして様々なイベントを企画、ミューズである妻のドニースに最新作を着せ送り込んだのです。最も有名なのが、千夜一夜物語の向こうをはって開催した「千夜二夜の宴」で、スルタンの寵妃に扮したドニースを初めポアレのデザインの特徴であるオリエンタル調の豪奢な服に身を包んだ人々で、会場は溢れかえりました。(ドニースは、単なるアイコン以上の存在、ポアレを解き明かすキーパーソンとして高く評価されています。)
 

芸術家と呼ばれることを望んだ最初のデザイナー。それもポアレでした。同時代のきら星のごとき芸術家と交わりパトロンとなることに飽き足らず、美の追求のために自らも世の常識に挑戦しました。足を見せること、は彼が手がけた挑戦の最たるものです。色鮮やかなストッキングに包まれた足がスリットからちらちら見えるドレスをデザインしたポアレは、モデルにこのドレスを着せ社交場であるロンシャン競馬場へ出向きます。身の危険を感じるほど観客の怒声罵声を浴び、モデルと我が身を守るために杖を振り回し這々の体で退散したそうです。


poiret01.jpgレ・アールの生地商人の子として1789年に生まれ、洋傘商の奉公人から身を立て若くして時代の寵児となったポアレ。その後半生は、過酷なものでした。第一次世界大戦後、軍服作りにかまけてファッションの現場を離れていた彼を待っていたのは「時代遅れ」の烙印でした。戦中に女性のライフスタイルは劇的な変化を遂げ、活動的な美しさ、実用の美が求められるようになっていたのです。ビジネス上の失敗もあり店を閉めたポアレは忘れ去られ、困窮のうちにドイツ占領下のパリで世を去ります。生活のためバーテンダーとなり、布巾で自分の服を拵えていたと伝えられています。


徒弟時代の唯一の楽しみは、作業場に打ち捨てられた絹の端切れで妹にもらった木の人形のドレスを拵えることだった、とポアレは語っています。夢の衣装をまとった人形を相手にきらびやかな世界を夢想した孤独な少年は、ついに夢幻を現実のものとしました。自らあだ名したように、ポアレは、恐れを知らぬ「ファッションの王様」としてあの時代に君臨したのです。


最新号のヴォーグUS版は、彼のデザインにインスピレーションを受けた現代のデザイナーの作品をトップモデル、ナターリアに着せて「ポアレの時代」を蘇らせようと試みています。服自体はポアレのオリジナルではありませんが、展覧会でみる美術品としてのドレスからは想像し難い、ベル・エポックの活きた雰囲気が濃厚に感じ取れる好企画です。

http://www.style.com/vogue/feature/050107

また、同誌のウェブサイトでは、ポアレの特集を組んでいます。当時の写真、イラストもふんだんに盛り込まれポアレの全体像を知るには最適です。20世紀初頭のフランス、ヨーロッパ文化に関心のある方は、ぜひチェックしてみてください。

http://www.style.com/trends/stylenotes/043007

ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されているポワレの展覧会の図録も近々発売されるようです。

Paul Poiret (Metropolitan Museum of Art Publications)



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posted by cyberbloom at 14:36 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | ファッション+モード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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