2007年05月31日

カンヌ映画祭(8) FESTIVAL DE CANNES 2007 その他の注目作品

tommy_lee_jones.jpgハイライトやウェブの記事などを見て興味を覚えた、受賞作以外の作品の話をいくつか。

コンペ作で個人的に観たいなと思ったのは、コーエン兄弟、ガス・ヴァン・サントの2作のほか、クリストフ・オノレの Les chansons d'amour 、ラファエル・ナジャリの Tehilim などでした。

「10年ぶりの傑作」とまで言われたコーエン兄弟の作品は、西部を舞台にした犯罪映画で、トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム(髪型が見もの)などが出演(写真上)。「バートン・フィンク」や「ファーゴ」のあの静かな興奮がまた甦るのではないかと期待しています。

Les chansons d'amour は、タイトル通り登場人物たちがしばしば自分の気持ちを歌で表現する恋愛映画で、映画の一部を見た感じでは、ジャック・ドゥミやフランソワ・トリュフォーなどの作品を想起させます。ルイ・ガレル、リュディヴィーヌ・サニエ、キアラ・マストロヤンニといった配役も魅力的で、日本でも当たりそうな予感です。

Tehilimjpg.jpgTehilim はエルサレムを舞台に、突然姿を消した父親を探す少年たちを描いたもの(写真中)。子供たちの表情が悲しい。
他にも、シュールなスチール写真にインパクトを感じるウルリッヒ・ザイドルの Import Export 、緊張感の漂う映像に美男俳優チャン・チェンが映えるキム・ギドクの Soom (Breath)(写真下)なども気になりました。


コンペ外でも話題作が色々出品されました。マイケル・ムーア監督がアメリカにおける医療の実態を告発した Sicko は観客から盛大な拍手を受けていましたが、キューバでの無許可撮影を理由に本国での公開が危ぶまれているようです。

ほかにはブラッド・ピット製作、アンジェリーナ・ジョリー主演で誘拐されたジャーナリストの妻を描いた A mighty heart(マイケル・ウィンターボトム監督)、ロックバンドU2のライヴを立体的に楽しめる U2 3D(キャサリン・オーウェンズ/マーク・ペリントン監督、カンヌではU2本人たちがレッド・カーペットでパフォーマンスも披露)などは、日本でも話題を呼びそうです。

souffle.jpg個人的には、オリヴィエ・アサイヤスの Boading Gate が観たいです。監督曰くフランスと香港を舞台にした「B級映画」で、このところの活躍が目覚ましい女優アーシア・アルジェントのために作られた作品だそう。でも、この監督の作品は日本ではなかなか公開されないので、字幕付きで観られるのは難しいかもしれません。

日本では何と言っても松本人志監督の「大日本人」が最大の注目になっていましたが、この作品を取り上げた記事をフランスのサイトからはなかなか見つけられず、プレスの評価がどうなっているのかは謎のままです。


第60回ということで、今回はさまざまなイベントが催されましたが、なかでも35人の監督たちのオムニバス映画 Chacun son cinéma は大きく注目されました。ここにはもう一人話題を集めた日本人監督、北野武が参加。彼のちょんまげ姿(躊躇していたところ、ヴィム・ヴェンダースやウォルター・サレスにそそのかされたのだそう)が世界に配信されました。1人あたり3分(短い・・)で、「映画」をテーマに作品が作られたそうで、オムニバス映画は時として1つ1つの作品に物足りなさを覚えてしまうことが多いのですが、これだけの数の名監督を集め、それぞれの映画への思いを表現させる、という狙い自体はとても興味深いですね。35作品の中から、デヴィッド・リンチ作品が、開会式に上映され、相変わらずのぶっとびぶりに会場は不思議な空気に包まれましたが、凝縮されたエネルギーを感じました。


さて、お祭りも終了し、あとは公開を待つのみです。今回ご紹介した映画のいくつが、日本で公開されるのでしょうか。1本でも多く観られることを期待しています。


exquise@extra ordinary #2


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posted by cyberbloom at 07:39 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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