2007年05月14日

週刊フランス情報 7 - 14 MAI

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2007年 06月号 [雑誌]★カトリックの賛美歌は5月をマリアの月と歌っているが、実際、5月はローマ教会によってキリストの母の月とされている。しかし、フランス人は5月を別の理由で賞賛する。なぜなら5月は最も休みの多い月だからだ。
★それは「メーデー」の5月1日から始まる。その日はほとんどのフランス人が休むが、もし雇用主がその日に働かせるとすれば、2倍の給料を払わなければならない!次の休日の5月8日は「1945年の戦勝記念日」。1日と8日は常に同じ曜日になるわけで、もしそれが火曜になったら、月曜も休みになって連休になる。木曜になった場合も同様に、金曜が休みになり、日曜まで4連休になる。
★メーデーと戦勝記念日は日が固定されているが、5月にはさらに日が動く2つの休日がある。それは「主の昇天の祭日 Ascension 」「五旬節 Pentecôte 」。前者は常に木曜日で、後者は前者の10日後の日曜日と定められている。また「五旬節」翌日の月曜日も休み。
★もし、5月1日が木曜日で、「主の昇天の祭日」が15日になった場合、月曜日1回、木曜日3回、金曜日3回、土曜日5回、日曜日4回が休みになる。31日のうち15日しか働かなくてもよい計算になる。日本では5月にゴールデンウィーク=黄金週間があるが、フランスは5月を「黄金月間」と呼ぶにふさわしい。
★サルコジ大統領は「もっと働いて、もっと稼ごう」を選挙キャンペーンのスローガンにし、週35時間労働を見直すことを主張していた。フランスの休日の多さも(+5週間のバカンス)、フランスのゆとりの象徴のようなものだが、あの勢いなら労働時間を見直すどころか、休日返上ということも言い出すかもしれない。

★「世界ニュース」のセレクトショップ、「クーリエ・ジャポン」の今月号はデザインが良い(写真、上)。特集は「まさか日本人が読むとは思わなかったNIPPON」。フランス系の萌えネタも充実。05年にパリに開校した、マンガと日本の芸術を学ぶ美術デザイン学校、ユーラジアム(Eurasiam)。漫画家やイラストレーター、編集者、さらには日仏の文化の橋渡しをする人間を養成する。それと、いまどきのパリジェンヌはゴスロリ・ファッションでラーメンをすすり、ハラジュクを夢見て日本語を勉強しているらしい。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2007年 06月号 [雑誌]


当選後のサルコジ氏 豪華ヨット、相撲…
☆サルコジ次期仏大統領、あまりに華美とメディア一斉批判
地中海の保養地マルタで休養を楽しむサルコジ次期フランス大統領一家に対し、仏メディアは9日、「あまりに華美だ」と一斉に批判した。サルコジ氏は10日に帰国の予定だったが、側近は同氏が1日繰り上げて9日に帰国すると表明した。サルコジ一家をパリからマルタに運んだ自家用ジェット機とマルタの豪華ヨット(全長60メートル、推定賃料週20万ユーロ=約3240万円)は、サルコジ氏と親しい投資会社社長でメディア事業も手がけるボローレ氏の所有。サルコジ氏の一部財界人との親しい関係が改めて明らかになった形だ。選挙戦で社会党のロワイヤル候補は「サルコジ氏は特定企業やメディアとの関係が強すぎる」と批判していた。9日付仏各紙は「サルコジ氏の旅はギャンブルで当てた成り金の趣味。だが、大統領当選はギャンブルではない」「当選演説ではつつましかったのに豪華ヨットはイメージを変えた」「サルコジ氏は『金と華美が成功のシンボル』という米国流の最初の大統領だ」などと痛烈に批判した。これに対しサルコジ氏は同日、マルタで記者団に「ボローレ氏とは20年来の知り合いでヨットに招待された。何が問題か。私は逃げも隠れも謝りもしない」と答えた。
(5月9日、毎日新聞)

仏次期大統領、豪華ヨット旅行への批判に反論
フランスの次期大統領に決まったニコラ・サルコジ前内相は9日、自身が当選後に地中海のマルタ島で豪華ヨットでの航海を楽しんだことに関する野党などの批判に反論した。サルコジ氏は6日の選挙で勝利した後、メディア事業を手がける富豪所有の豪華ヨットで休暇を過ごし、野党社会党と新聞に連載する漫画家らの批判の的となっていた。来週の大統領就任を前に9日夜にフランスに帰国したサルコジ氏は、今回の休暇について、悪びれる様子は見せず、納税者の金を使ったわけではないと反論した。同氏は先に、マルタ島で記者団に対し「私は隠れるつもりも、うそをつくつもりもない。そして謝るつもりもない」と述べていた。
(5月10日、ロイター)

相撲の「仏大統領杯」廃止か=親日家のシラク氏退陣で
フランスのシラク大統領の音頭で設けられた大相撲の「フランス共和国大統領杯」が、シラク氏の大統領退任に伴い廃止される見通しだとAFP通信が8日、報じた。大統領杯は2000年名古屋場所から毎回、千秋楽に優勝力士へ贈呈されてきた。しかし、在日仏大使館の担当者はAFP通信に対し、次の夏場所千秋楽の「5月27日には、贈呈されない見込みだ」と語った。担当者によれば、日本相撲協会との間で今後この問題について協議する予定だが、フランス側が何らかの形でトロフィー贈呈を続ける可能性もあるという。シラク大統領は親日家で、熱心な大相撲ファンとして知られていた。一方、サルコジ次期大統領は04年に「ちょんまげを結い、とてつもなく太った男たちの戦いのどこに魅力があるのか。知的なスポーツとはとても言えない」と相撲を酷評したといわれる。
(5月8日、時事通信)

★一方、「何でサルコジやねん」と「反サルコジ」派の暴動でフランス全土で車両730台が放火され、600人以上が逮捕されている。パリのバスチーユ広場でも、若者ら約500人が集まり、警察当局と衝突、逮捕者が出た。商店の窓なども壊された。ただ、2005年の「初回雇用契約(CPE)」撤回を求めた大規模デモとは異なり、主要学生組合が「民主主義的に選出された大統領に反対するのは非生産的で反共和主義だ」として参加していない。けっこう物分りがいい。
★サルコジ大統領はシラク前大統領とは同じ派ながら口も利かないほど仲が悪いようで、日本の相撲界に思いがけない影響が出ている。例の発言は親日家で相撲ファンのシラク氏にあてつけたものだが、フランスではありえなかったネオリベ&新米路線ということで日本とはポジション的には重なりあう。

ロワイヤルはなぜ破れたか(仏大統領選挙報告・飛幡祐規さん)
★社民党の保坂さんのブログ「どこどこ日記」から。フランス大統領選がコンパクトに総括されているので、ぜひ一読を。
★しかし、ひっかかる部分も多々ある。例えば、サルコジが「消費社会に毒された若い現役の給与生活者や商店主、自由業などにアピール」したというが、逆に言えば、「消費主義に毒された」と皮肉っているうちは、左派は彼らにアピールしないってことだ。資本主義体制の国で生活し、文化と商品が分かちがたく結びついている状況で、消費主義から逃れることは容易ではない。そういう皮肉を聞かされ、罪悪感を抱くよりは、「もっと働いて、もっと稼ごう」という耳障りの良い、開き直った言葉に飛びついてしまうだろう。
★「モダンを装った秩序・権威復権と大資本擁護のサルコジのデマゴギー」という一節もある。つまりサルコジに投票した人間はサルコジに騙されている(=偽りのイデオロギー)という左派に典型的なディスクールだ。しかし、それは有権者の主体性と欲望を否定してしまうことになる。狡猾なデマゴーグに簡単に騙されてしまうアホな大衆(言いたくなる気持ちもわかるが)、それを正しく啓蒙し、あるべき姿に導く左派エリート。これは左派知識人のポーズでもあるのだが、これがいちばんアピールしないのだろう。
★記事にもあるように、社会党=ロワイヤルはメディア戦略を考えた時点で、まんまとサルコジの土俵に乗ってしまった。派手なメディア選挙(確かに最後のTV討論は見物だった)はどこの先進国でも主流になっているが、メディア戦略に乗らないオルタナディブ、あるいは全く別の形のメディア戦略はあったのか。左派に足りないのは、そこらへんへの想像力なのだろう。新しいビジョンとそれを説明する新しい物語。同時に、大衆−エリート(知識人)とは違うモデルへのコミュニケーション転換が必要なのだろう。そういう意味で、外山恒一の「戦術」(都知事選で3万票を獲得)は興味深いし、かなり鋭いところを突いている(笑)。
★憲法改正のための国民投票法が「こっそり」成立してしまったが、ここは投票率85%の国ではない。フランス以前の問題が多々ある。


松井Vアシスト、自ら誕生日祝福
5月12日9時43分配信 日刊スポーツ
フランスリーグ:ルマン1-0トゥールーズ(10日、トゥールーズ)
ルマンMF松井大輔が、半年ぶりのアシストで自ら26歳の誕生日を祝福した。10日のトゥールーズ戦(アウエー)で、2試合連続先発出場。後半37分に左クロスを胸トラップから折り返し、FWグラフィッチのオーバーヘッドの決勝弾をアシスト。1-0の勝利に貢献した。


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posted by cyberbloom at 23:25 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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