2007年05月12日

カンヌ映画祭(2) FESTIVAL DE CANNES 2007

去年のカンヌ国際映画祭は、『ダ・ヴィンチ・コード』の特別上映で開幕した。

去年のカンヌ映画祭の出品作品のほとんどは、ちょうど1年経った今頃に公開されるものが多く、毎年、exquise さんがカンヌ映画祭の記事を書いてくれるのだが、逆に今読んだ方がよくわかったり、ピンときたりする。一方で、カンヌ映画祭の出品作品は日本で公開されないこともあり、DVD化を待つことを余儀なくされることも。まずは exquise さんの去年(2006年)のエントリーを紹介してみよう。

* * *


第59回カンヌ映画祭が開幕し、17日に開会式が行われ、スカパーでも生中継でこの模様が放映されました。

今年のカンヌ映画祭の話題は、まず華やかな審査委員陣でしょう。

ダ・ヴィンチ・コード デラックス・コレクターズ・エディション マリー・アントワネット (初回生産限定版) バベル


今回の審査委員長はウォン・カーウァイ監督(今回の映画祭のポスターは彼の代表作「花様年華」へのオマージュなのでしょう、とても素敵です)。その他の審査委員は、チャン・ツィイー、サミュエル・L・ジャクソン、ティム・ロスら俳優勢とパトリス・ルコントらの監督勢で構成され、レッド・カーペット上では、とりわけ3人の女優たち(ツィイー、モニカ・ベルッチ、ヘレナ・ボナム・カーター)の美しい姿が注目を集めていました。

男性として初めて開会式の司会を務めたヴァンサン・カッセルは、全身真っ白という出で立ちで現れ、MCぶりも堂々としたものでした。フランスというさまざまな民族が生きる国で開かれるこの映画祭は、文化の混淆の象徴であるということを冒頭に朗々と述べた後、審査員紹介のときになって、奥方のモニカ・ベルッチの名前を気恥ずかしそうに呼んでいたのも印象的でした。

このところのカンヌはオープニング作品に話題作や大作を持ってきていますが、今回はご存知「ダ・ヴィンチ・コード」。レッド・カーペットにはロン・ハワード監督をはじめ、トム・ハンクス、オドレイ・トトゥら主要な出演者が顔を揃え、笑顔をふりまいていましたが、実際の映画の評判はあまり芳しくないようです。原作を読んでいないとよく理解できていない部分も多いようで、本を読んでからこの映画にのぞんだほうがよさそうですね。堅実な作り手であるロン・ハワード監督作品には大ハズレがないと思っていたのですが、かなり期待はずれだったようで、カンヌは肩すかしの幕開けとなりました。

さて、今回のコンペティションの候補作は、審査員陣と比べると地味かもしれませんが、実力派や個性派の監督らの作品が揃っているように思います。カーウァイ監督が審査委員長とはいえ、アジア系の候補作はロウ・イエ監督の1作のみ。逆にフランス勢が元気で、ブリュノ・デュモン監督作品をはじめ、製作に関わった作品は20作品中実に11作品(前述のロウ・イエ作品も中国とフランスの共同製作です)。全体的に今回はヨーロッパ系の作品が多くノミネートされています。

前情報があまりない中、気になる作品はというと、まずはペドロ・アルモドバルの Volver 。死んだ母親が生前やり残したことにケリをつけるために幽霊になって帰ってくる話だそうで、ペネロペ・クルスが主演。また大好きなアキ・カウリスマキの Laitakaupungin valot は孤独な男が運命の女性と出会う話ということで、これも楽しみ。また以前「ヴァージン・スーサイズ」をご紹介したソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」は豪華な衣装やインテリアが気になりますが、アントワネットを演じるのがキルスティン・ダンスト(「スパイダーマン」のMJですね)なのはいかがなものか。それからアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの Babel は、モロッコ、チュニジア、メキシコ、日本で展開される3つの物語を扱ったもので、役所広司が出演しています。この監督特有の複雑な構成(代表作は「21グラム」など)は、カーウァイ監督の気に入るかも。その他、ケン・ローチ、リチャード・リンクレイター、ロウ・イエ、ナンニ・モレッティら、興味深い監督たちの作品が目白押しです。

今回はコンペ外の作品にも日本人の監督が見当たらず、寂しいなあと思っていたら、ひとつ見つけました。それは Paris, je t'aime というオムニバス映画で、パリ20区それぞれをテーマにした短編映画を別々の監督が作って長編映画にしたものだそうで、それを聞くだけでもそそられるじゃありませんか。日本からは諏訪敦彦監督が2区を担当しており、そのほかコーエン兄弟(1区)、オリヴィエ・アサイヤス(3区)、ガス・ヴァン・サント(4区)なども参加しています。日本での公開が待ち遠しいですね。

* * *


去年の前評判の中心は「ダヴィンチ・コード」。小説は売れに売れ、関連本や関連TV番組を生み出し、キリスト教の世界にも動揺をもたらしたが、あの喧騒は今となってはウソのよう。映画の評価はあまり芳しくなかったようだが、すでにDVDになっている。カリウスマキの Laitakaupungin valot -Lights in the Dusk は日本で秋に公開との噂もあり、ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」は1月にすでに公開され、7月にはDVDが発売される(初回限定版予約可)。有名監督競演のオムニバス映画、「パリ、愛してる Paris, je t’aime 」は3月に公開されたばかりだ。



rankingbanner_03.gif
↑クリックお願いします!
メイン・ブログ-FRENCH BLOOM NET を読む
posted by cyberbloom at 00:32 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック