2007年05月10日

カンヌ映画祭(1) FESITVAL DE CANNES 2007

Cannes07.jpg今年もまたカンヌ映画祭の季節になりました。5月16日の開会式を前に、招待者や出品作品がだんだんと発表されてきています。



まず、今回のコンペティション部門の審査委員長はイギリス人監督のスティーヴン・フリアーズ(写真中)。日本では現在、彼の「クイーン」が上映中です。ダイアナ元皇太子妃が事故死した後のエリザベス女王の苦悩を描いたこの作品は高い評価を受け、エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンはアカデミー賞主演女優賞をはじめ、数々の賞を受賞しました。この映画によって日本での彼の知名度も上がったでしょうが、彼の監督歴は1985年からスタートしており、今やベテランの域に達しています。コインランドリーを経営するゲイのパキスタン人青年を描いたデビュー作「マイ・ビューティフル・ランドレット」や、実在した劇作家ジョー・オートンを扱った「プリック・アップ」(1987)など彼は初期から面白い作品を作っていました。ダニエル・デイ・ルイスやゲイリー・オールドマンなどのイギリスの個性的な俳優を、彼の作品を通して知ったものです。また彼はラクロの『危険な関係』の映画化(1988)も手がけました(原作に忠実な作りでしたが、キャスティングに少々問題があったような・・)。


stephen-frears.jpg今年のコンペティションの候補作品は22作品で、常連の名前も多く見られます。有名どころでは、まずコーエン兄弟、クエンティン・タランティーノ、ガス・ヴァン・サントらのアメリカ勢。久々デヴィッド・フィンチャー監督(「セブン」「パニック・ルーム」の監督)も登場。実在の連続殺人犯を取り上げた作品 Zodiac (主演ジェイク・ギレンホール)が出品されます。またこちらも久々のタランティーノ作品 Death Proof は、同じ題材(SFホラー)をロバート・ロドリゲスと2タイプの作品に仕立てた映画 Grindhouse のうちの、自分のヴァージョンのようです。ロドリゲスが前にカンヌに出品した「シン・シティ」でも「ゲスト監督」(ってどんな監督やねん)をしていたタランティーノ、仲良しなのね〜。最近は俳優業も忙しいタランティーノさん、最新作は三池崇史監督の「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(すごいタイトルだ)で、こちらは秋に公開予定だそうです。


アメリカ作品と同じく、地元フランスの作品も5本(共同出品も含め)選ばれています。イラン出身のマルジャン・サトラピ、ラファエル・ナジャリ、クリストフ・オノレといった新人・若手の監督と、カトリーヌ・ブレイヤ、ジュリアン・シュナーベルら個性派の名前が見られ、注目が集まりそうです。


韓国からはキム・ギドクらの3作品がノミネートされ、「韓流」はいまだ強し。日本からは河瀬直美の「殯(もがり)の森」が候補になりました。その他エミール・クストリッツァやアレクサンドル・ソクーロフ、カルロス・レイガダス、データベースでもご紹介したウォン・カーウァイらも名を連ね、今年も興味深いメンツが揃いました。外国人俳優を初めて起用したカーウァイ監督、ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、ティム・ロス、ナタリー・ポートマン、エド・ハリス、、レイチェル・ワイズといった豪華キャストですが、あの木村拓哉もヘキエキしたという、彼独自の撮影スタイルはどう受け入れられたのでしょうか、出演者のインタビューが聞いてみたいですね。


コンペ外の作品に関しては、まずスティーヴン・ソダーバーグの「オーシャンズ13」のプレミア上映が挙げられるでしょう。ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツらの出演者がレッド・カーペットに現れる予定です。またアート志向の高い作品を集めた「ある視点」部門では、ジュリエット・ビノシュの紹介のもと、ホウ・シャオシェンの A la recherche du ballon rouge(「赤い風船を探して」仮タイトル)が上映されます。個人的に気になるのは、ファンであるジャン=ピエール・リモザン監督の Young Yakusa。Tokyo Eyesのほか、北野武のドキュメンタリー映画も手がけていて、日本との関わりも深い彼の新作は、やはり東京を舞台にしたドキュメンタリー作品のようです。


diane.jpg今年の開会式の司会はダイアン・クルーガー(写真下)。審査員などについてはまた次回お知らせいたしましょう。今から開幕が待ち遠しくてたまりません。


カンヌ映画祭公式サイト


*この記事は4月27日にmain blogに掲載されたものです。これからカンヌ映画祭閉幕まで特集を連載する予定です。



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posted by cyberbloom at 21:32 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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