2007年05月02日

STOP RADIOACTIVITY!

Radioactivity01.jpgまず先日行われた日米首脳会談の数少ない成果のひとつがコレだ。

「米エネルギー省のスパージョン次官補は27日、毎日新聞などと電話会見し、日米首脳会談の共同声明に盛り込まれた原子力エネルギー共同行動計画を通じ、日本がリードする高速増殖炉技術などでの協力拡大の意向を示した。また、中国やインドなど海外市場への原子炉や関連技術の供給で、日米の連携強化に期待を表明した」
(4月28日、毎日新聞)

Yahoo!のトップページで見つけた「月刊チャージャー」で、現在の原発の問題をわかりやく解説している。全文に目を通すことをお薦めしたいが、重要な部分をいくつか抜き出してみる。

「原子炉のメンテナンス、掃除はどうやるか知ってますか? 発電所の原子炉は1年に1回程度運転を停止して定期点検や補修をします。停止直後の炉内は放射能汚染がすごいから、重装備でも被曝する。だから、電力会社や発電機メーカーの人間が最初に入るんじゃなくて、日雇いのようなシステムで肉体労働者が中に入って、雑巾で放射能を拭き取ることから始まるんです。労働者の「ノルマ」は被曝量。つまり、被曝量が一定レベルに達すると解雇される。原発問題は、安全や電力需要という以前に、人間の尊厳に関わる問題なんですよ」

「岸信介(安倍首相の祖父)は、原子力開発が自動的に核武装する力を保持することになると自伝の中で明記してます。佐藤栄作も外務省の内部文書で、原子力利用を推進して核武装へのポテンシャルを高めることや、エネルギー利用の真意が国民に悟られないように細心の注意を払うべきだということを主張しています」

「六ヶ所村の再処理施設は、事故が起きなくても1日で日本中の原発が1年間で出すのとほぼ同量の放射能(いわゆる死の灰など)を排出するといわれています。半分は空気中、半分は海に捨てられるんですね。私は定年まで1年を残して大学の職を辞して、今住んでいる三浦半島から長崎へ引っ越すことを決めたんですが、六ヶ所村から少しでも離れたいというのも理由のひとつなんです」

「もし、六カ所村で事故が起きたら? 六ヶ所村の工場のモデルでもあるフランスのラ・アーグ再処理工場で、一度大事故一歩手前の事故がありました。冷却水を送るためのモーターの電源が落ちて、バックアップもできない状態になってしまった。工場の従業員たちは大急ぎで自宅に逃げ帰ったそうです。せめて、家族と一緒に死にたいってね。その時は奇跡的に電源車が間に合って大惨事にはならずに済みましたけど、もし大事故になっていたらヨーロッパのほぼ全域が壊滅していただろうというシミュレーションもあります」

★「月間チャージャー:原発問題研究者に聞いてみました−北朝鮮の核開発も脅威だが、日本の原子力発電も大丈夫なのか?

日本と同じ原発推進国のフランスでは上記のようなとんでもない事故が起こっている。フランスは中央集権的な国なので、ラ・アーグ(La Hague:ノルマンディー地方、映画で有名なシェルブール Cherbourg の近く)に関しては政府が調べた資料はほとんど公開されない。1980年代、ラ・アーグ周辺地域が周囲の町に比べて、放射能の汚染による子供のガンや白血病の出現率が10倍も高いという新聞記事が出たことがある。しかし、国としては徹底的な調査というものを決してやらない。それをやると再処理工場を止めることになってしまうから。それゆえいつまでも環境や人体への影響が全く不明なまま放置されている。

日本とフランスは核をめぐって付き合いが深く、95年以来、フランスから相互の契約によって高レベル廃棄物ガラス固化体が、青森県の六ヶ所村にある再処理施設に続々搬入されている。

「月刊チャージャー」でも触れられていたが、最近「地球温暖化には原子力しかない」というディスクールがまことしやかに流通しているのが気にかかる。三菱重工(アメリカで原発を受注)や東芝などの原子力関連企業が脚光を浴びている。

一方でマスコミとは違うルートで「六ヶ所村」に関する情報が目につくようになった。


■音楽家・坂本龍一が運営する stop-rokkasho.org
http://stop-rokkasho.org/

■「ストップロッカショ.jp」:stop-rokkasho.org に賛同し、六ヶ所再処理工場をとめるため「ストップロッカショムーブメント」を全国的に盛り上げる情報・交流・発信センター
http://stop-rokkasho.jp/


■「六ヶ所村ラプソディー」:「核のゴミ」とともに暮らす六ヶ所村の人々のまわりに暮らす六ヶ所村の人々のドキュメンタリー映画。日本全国で自主上映が行われている。
http://www.rokkasho-rhapsody.com/

*ストーリー*
rokka01.jpg☆2004年、六ヶ所村に原発で使った燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場が完成した。
☆この工場の風下には豊かな農業地帯が広がっている。菊川さんは12年前からチューリップ祭りを開催し、再処理計画に反対し、くらしに根ざした運動を実践している。
☆隣接した村々で農業を営む人々、特に有機や無農薬で安心、安全な作物を作ってきた農家もまたこの計画を止めたいと活動している。
☆一方、六ヶ所村の漁村、泊では職を失った漁師の雇用問題が深刻だ。村はすでに再処理を受け入れ、経済的にも雇用の面でも必要だという考えが行き渡っている。
☆2005年、イギリスの再処理工場で事故が起きた。取材で見えてきたのは事故の影響よりも、44年間日常的に放出されてきた放射性物質の行方だった。
☆圧倒的な力と経済力に、普通の人々はどうやって立ち向かっていけばいいのだろうか。その取り組みを、人々の営みをそしてそれぞれの選択を見つめてゆく。

鎌仲ひとみ監督のコメント


Radioactivity / Kraftwerk (Live Video from Youtube) ←Click!

STOP RADIOACTIVITY(=放射能)!と歌う クラフトワーク Kraftwerk のメッセージソング(?)。曲自体もカッコいい(個人的には流麗でグルーヴィーなウイリアム・オービットのリミックスがお気に入り→トップのジャケ)。クラフトワークはYMOにも影響を与えたドイツの元祖テクノポップグループ。坂本龍一のサイトにクラフトワークから曲が提供されたそうだ(サイトでダウンロード可)。曲の中では放射能汚染にまつわる4つの都市、チェルノブイリ、セラフィールド、ハリスバーグ、ヒロシマが歌われている。

チェルノブイリ(Tschernobyl):ウクライナの北部に位置するゴーストタウンで、1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故により、放射性物質に汚染され廃墟と化した。日本で降った雨にも放射能が確認されたという当時のニュースをよく覚えている。詳細はコチラ

*セラフィールド(Cellafield):イギリスはイングランド、カンブリア州のアイリッシュ海沿いにある村。イギリス核燃料公社 (BNFL) 所有の工場の名でもある。30年前はウィンズケールと呼ばれていたが、放射能汚染であまりに悪名が高くなったので、セラフィールドに改称された。1957年のウィンズケール時代には「ウィンズケール・ファイアー」として知られる軍事用プルトニウム生産炉の火災事故が起こっているが、2年前の2005年にソープ Thorpと名を変えた再処理工場で、使用済み核燃料の溶解液が配管から漏えいする大事故が起こった。日本ではほとんど知られていない。83立方メートルの放射性廃液は施設内に溜まったままで、外部に対する安全性は問題になっていないが、全く手をつけられない状態で、会社は潰れるだろうと言われている。またセラフィールドの地に降りたカモメは放射能を拡散させる恐れがあるので、射撃の名手によって撃ち落とされ、核廃棄物として冷凍庫に保管されているという話もある。しかし、これらは決してヨーロッパでは隠された話ではない。セラフィールドは自らが引き起こしている海洋汚染(海への汚染物質の排出)に対してノルウェーやアイルランドに訴えられている。ノルウェーの首相がテレビ放送を使って、イギリスの放射能放出に抗議するためにベルゲン市民に市街に出るように呼びかけるという信じられない出来事(2002年3月)も起こっている。その日、ベルゲン市では北海をとりまく10カ国の環境大臣会議が行われており、市民は首相の呼びかけに応じてその会場に押しかけた。六ヶ所村で起こりうることも、推して知るべし。(セラフィールドに関しては下のリンクにある「放射能がクラゲとやってくる」を参照。読みやすい小冊子です)。

ハリスバーグ(Harrisburg):米国ペンシルバニア州の首都。1979年3月28日にそこに位置するスリーマイル・アイランド原子力発電所の2号炉(TMI-2)で大きな事故が起こった。この原発事故は通常「スリーマイル・アイランド」という言葉によって語られるので、ハリスバーグという名前には馴染みがないかもしれない。

ヒロシマ:広島は長崎とともに第二次世界大戦末期にアメリカ軍によって原爆を投下された。原爆投下を経験した唯一の被爆国である日本は広島・長崎を通して世界に平和と核廃絶を訴えてきたが、近年、自民党政治家による核保有発言が飛び出している。またつい先日、長崎市長選挙の真っ最中に現職候補の射殺事件が起こった。


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5 海に放射能を捨てないで!六カ所村の再処理施設を稼働させないで!


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posted by cyberbloom at 12:39 | パリ | Comment(0) | TrackBack(2) | エコロジー+スローフード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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