2007年12月27日

モントリオールのベーグル

「北米のパリ」と呼ばれる、カナダのフランス語圏ケベック州の都市、モントリオール。ここでの代表的な食べ物のひとつに、ドーナツ状のパン「ベーグル」がある。フランスとは直接関わりがないけれど、ケベックで「パリ風のクロワッサン」と肩を並べているのが「モントリオールのベーグル」。市内には、年中無休、24時間営業の、家族でやっている店が多くある。中でも人気の店は、”St.-Viateur” と”Fairmount” 。どちらも1957年の創業。写真はSt.-Viateurにて今年8月下旬の午後11時すぎ。煌々と電気が灯り、作業はフル回転で、お客が途切れなかった。

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「ベーグル」は、もともとは中央ヨーロッパ、おそらくはポーランドが発祥の地といわれ、東欧系ユダヤの人々に受け継がれてきた。北米大陸には、1880年代に移民によって伝わり、大きく分けて2つに進化した。十分膨れて張りのある硬い表面で、ぷっくり可愛いニューヨーク・ベーグルと、不揃いな、ごつごつした素朴な外形だけど、もっちり感のあるモントリオール・ベーグル。

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ニューヨーク・ベーグルのほうは、麦芽と塩を使った生地で、茹でた後、オーブンで焼く。モントリオール・ベーグルは、麦芽と卵の生地で、塩は使わない。成形し、蜂蜜を入れた湯の中で茹でてから、薪の窯で焼いている。ニューヨーク・ベーグルは、レーズン、ブルーベリー、クランベリー、玉ねぎ、カボチャなど混ぜ込む材料のヴァリエーションで種類は多く、味とともに色の違いが楽しい。日本のベーグルのほとんどは、ニューヨークタイプのようだ。モントリオール・ベーグルの9割がたを占めているのは、プレーンな中身に、炒っていない艶やかな白ゴマかケシの実を表面にびっしりとまぶしたもの。焼きたての、その香ばしさが、たまらない。焼き上がりのベーグルから剥がれたゴマとケシの実でいっぱいの台は、私には幸せな眺め。店頭売りは12個、1ダースが単位。

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モントリオール郊外に住む友人宅では、大量に買って冷凍保存している。半分だけ食べたい時のために、また子供たちがナイフを使わなくていいように、2枚におろしてから冷凍している。別の友人は、そのまま冷凍したものを、食べる時に電子レンジで1分間解凍後に2枚におろしている。2枚おろしは食パン用トースターで焼ける。ゴマとケシの実の香ばしさが戻る。クリームチーズを塗るのが定番だけど、ベリー類のジャム、ピーナツバター、チョコレートペースト、メープルシロップ、何でもOK。スーパーで売ってるクリームチーズにスモークサーモン、レッドピーマン、ブルーベリーなどを、それぞれ混ぜたカラフルなスプレッドはサンドイッチ用や甘いのが苦手な人に。真っ白の山羊のチーズかモッツァレラチーズと、トマトとバジルをオリーブオイル・バルサミコで和えたもののイタリアンのトッピングは、色も香りも食欲をそそる。(食べてる途中の写真で失礼!)

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ケベックシティに住んでいた時は、車で3時間のモントリオールからベーグルを仕入れている”Epicerie J.A.Moisan” が私のお気に入りだった。1871年J.A.Moisan によって北米最初の食料雑貨店が見いだされ、同じ場所で当時の面影を残しながらリニューアルされて続く店。アンティックの食器棚や引き出しにパッケージを並べたクラシックな店内に、飾らない外見のモントリオール・ベーグルが、しっくりきていた。


Sophie

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posted by cyberbloom at 00:00 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | バーチャル・バカンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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