2007年04月12日

箸とバゲット(Gaspard et Lisa au Japon)

lisaaujapon01.jpgリサ一家とガスパールが日本にやってきました。

ほのぼのと可愛らしい出来事に和みつつ、逆に軽いカルチャーショックを受けるという忙しい読書でした。

ぜんぜんわからない日本語の文字、靴を脱ぐ事、地べたで寝る事(ふとん)、お弁当…。かなり無意識な日常の習慣や物なので、リサとガスパールのフィルターを通してみて、それが当たり前のことではなかったんだ、と気づかされたり。

(リサの)ママが「触っちゃダメよ 」と言ったのに、リサとガスパールは、ウォシュレットの操作ボタンをいたずらしてしまったり、箸をうまく使えなかったり(でも、楽しそう)、大きすぎるスリッパをはいて歩きにくかったり、と、「彼らは6歳の子どもだったんだよな」と再認識しつつ、フランス語に苦戦しながらも可愛らしいエピソードに頬が緩んでしまいました。ウォシュレットは自分も使った事がないので先を越されました(笑)

お弁当を食べるシーンで、「箸」にあたるフランス語が、「baguette(s)」。後で辞書をひいたら、棒(英語のstick)や杖の意がある言葉ってことはすぐにわかるんですが、「baguette」って、パンのことじゃないの?という先入観で読んでしまったために、弁当でパン?でも絵にはパンなんて描かれてないし…。と混乱してしまいました。「棒状で日本でフランスパンとして売られているもの」がバゲット、と辞書に書いてありました。

そして、リサたちを案内してくれる日本人「M.Fukushima」。最初、「M.」は名前かと思ったけれど、「Monsieur」の事だと気づくのに時間がかかった(遅すぎ!)。直訳して、「フクシマさん」。

彼はお寺を観光中に、大きすぎるスリッパをはいて歩きにくく、パパとママのように速く歩けないリサとガスパールが、迷子にならにように待っててくれます。境内の小道を移動中、その大きすぎるスリッパのせいで、ガズパールが足を取られ、リサとガスパール二人で彼を巻き込みながら転んでしまい、彼は怪我をしてしまいます。

お寺の観光の翌日、フクシマさんは足にギプスをはめてみんなの前に表れるのですが、彼はその怪我がリサとガスパールのせいだとパパとママには言わず、二人には目配せしながら「大丈夫だよ」と気遣います。

さらに、二人はフクシマさんのギプスに絵を描いてあげるのですが、彼は「とってもすてきな絵だから、ギプスを取るのがさびしいな」と言います。

(訳は正確ではないと思いますが、だいたいこんな意味だろうと思います。)

気配り上手でとってもやさしい人です。

なんていい人だ!と思いながら、ギプスをはめてみんなの前に表れたシーンで、はたと、こんな状態で仕事に出てくるのって万国共通なのか、日本人だけなのか、すこし首を傾げてしまいました。

ついでに、フクシマさんの風貌は、眼鏡をかけてカメラを携えているのですが、日本人のイメージとしての「眼鏡」と「カメラ」は万国共通なんだろうか…?

フクシマさんのギプスに、リサがサイン(?)を残していますが、なんと、カタカナで「リサ」。エピソードの中に、プレゼントで名前(日本語)入りのスカーフをもらうところがあり、リサはきっとそこで覚えたのでしょうが、子どもの柔軟性や、もしかしたら、フクシマさんが読めるようにという気遣いだったのかも、なんて想像をしてみるのでした。

以前、「ポネット」のワンシーンでもあったのですが、フランスではギプスに落書きをするのはお約束なのでしょうか???

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FBN22.png リサとガスパール-La jalousie de Gaspard

lisagaspard01.jpgリサがお誕生日にローラーブレードをもらったことが悔しくて、ガスパールはこっそりリサのローラーブレードを隠してしまいます。そしてガスパールの誕生日(リサ誕生日の一週間後(la semaine juste après)。彼はプレゼントに同じローラーブレードをもらって、一人で思う存分遊ぶのですが、やっぱり一人じゃつまんなくて、リサにローラーブレードをこっそり返します。そして二人で一緒に遊びました、というお話。(かなりざっくりですし、正確でないかも)

「ガスパールのやきもち」と普通に訳していたら、日本語版タイトルは、「リサとガスパールのローラーブレード」でした。知らなかったのですが、電動式なんですね。
子どもって自分の気持ちや欲求にこんなにストレートだったっけ?と、半ば観察しながら読みました。

最初にリサとガスパールを見たとき、これは犬?うさぎ?とか、口が描かれていないようだけど、どうやって会話してんの?とか考えましたが、楽しくないので、やめました(笑)
こってり厚塗りな感じの絵も、最初はとっつきにくかったのですが、見ているうちに絵の中の背景や小道具、構図、陰影、色彩のバランスなど、実は隅々まで芸が細かいことに気づき、今は大好きです。
そして、このお話の中では「サクレ・クール寺院」が出てきます。他のお話でも、パリの町並みや名所が出てきます。

リサは好奇心旺盛で活発な女の子、ガスパールはおっちょこちょいでちょっぴりナイーブな男の子。彼らは人間の年齢で言うと6歳くらい。読み書きができて、いたずらのできる年齢だからということです。

6歳の頃なんて遥か彼方なので、思い出せることなんてほとんどないですが、自分より大きな物がたくさんあったように思います。
本棚も、ドアノブも、ひまわりも、お母さんも、目一杯見上げていたような気がします。大人になると成長どころか、年齢と体重しか増えません(泣)

絵本って、言葉がわからなくても引き込まれる魅力と、あることないこと考えたりする楽しみがあると思います。
そして対象年齢が子どもなので、子どもの時の感覚ってどうだったっけ?と軽い記憶喪失状態を味わいつつ、原文でストーリーをイメージしながら読むのはけっこうエネルギー使いますね。 

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■ちょっと解説:作者のアン・グットマン&ゲオルグ・ハレンスレーベン夫妻の、アン・グットマンさんはフランス・パリ生まれのフランス人。ゲオルグさんとはパリで知り合って結婚したそうです。夫妻はフランス在住。お話はアンさん、絵はゲオルグさんという分担です。




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posted by cyberbloom at 22:37 | パリ | Comment(2) | TrackBack(0) | マンガ+アニメ+BD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Posted by 黒猫亭主人 at 2007年04月13日 22:15
黒猫亭主人さん、情報ありがとうございました。さすがですね。修正させていただきました。
Posted by cyberbloom at 2007年04月14日 00:48
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