2013年08月29日

『とうとうロボが来た! 』Q.B.B.

最近は『孤独のグルメ』の遅まきブレイクで一躍知名度アップな久住昌之氏が、弟卓也氏と組んだ兄弟マンガユニット、Q.B.Bの出世作。少し昔の小学生、犬が飼いたくてたまらない新吉君の日常生活が爆笑4コマ形式で描かれています。
 
とうとうロボが来た! (幻冬舎文庫)このマンガは、小学生であったころに五感で感じた、言葉にできない「あの」感じを生き生きと呼び覚ましてくれます。いつまでも終わらない風だった、長くて暑い夏の日、プールの帰りの寄り道のけだるい時間のながれ。あの頃の記憶が、手持ちぶたさな時の手遊びや仕草、噛みすぎて味のなくなったガムだとか、さりげない描写を通じてまさに皮膚感覚で蘇ります。(例えば、体育座りの姿勢で内股をぱたんぱたんさせたりしませんでした?そんなツボをこのマンガはびしびしついてくるんです。)単なる懐かしさ以上の、不思議な感覚を味わえます。『孤独のグルメ』でもおなじみ、兄久住氏のセンスの良い「細かさ」のなせるわざなんですが、弟久住氏のゆるーいタッチの絵も多いに貢献しています。
 
また、オトナが手がける以上仕方のない事ですが、コドモの世界=イノセンスでポジティブで素晴らしい、という見方がきれいにナイところもあっぱれ。オトナには謎なコドモじみた論理も、あほらしさも、いい悪いなくそのまま伝えています。オトナが「なんでそんなしょうもないことで泣いたりするの」とあきれ顔をする場面でも、コドモにはコドモの理屈があるんですよね。わかってもらえない焦燥感も、これまた身体レベルであますところなく書き込まれているのがウレシイ。もちろん男子小学生ライフにはお約束の下ネタも満載。イノセンス幻想や甘いノスタルジアを求める人にはちょっと向いていないかも。ただ読了後の幸せな感じはお約束します。
 
はまったら、同じユニットの他の作品もどうぞ。「人生で一番ダサイ季節」を描ききった姉妹編4コママンガ『中学生日記』もおすすめです。

※もともと青林堂から出版されていましたが、幻冬舎からも文庫として出ています。

□初出は2007年8月3日(「夏のなげやりブックガイド」より)

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posted by cyberbloom at 20:34 | パリ 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評−その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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