2007年03月23日

週刊フランス情報 19‐25 MARS 国内編−タミフル

全然、フランスとは関係ないのだが、メディアリテラシーが問われる日本のニュースを2つ。

■タミフルに関する厚労省の見解はまさに歯切れが悪い。奥歯にモノがはさまっているようだ。問題は奥歯にはさまっているのは何かってことである。タミフルと飛び降りの因果関係に対する「否定的見解を白紙に戻す」って、薬害の可能性も出て来たってことだろうか。厚労省は国民の健康よりも、はやり関係者の利害を考えているのだろうか。
■日本のマスコミが垂れ流している情報しか知らず、それを真に受けるとすれば恐ろしいことになりかねない。以下の「鳥インフルエンザのパニックで国防長官ラムズフェルドはウハウハ」はCNNのサイトに掲載された2005年10月の記事である。

Rumsfeld's growing stake in Tamiflu
Defense Secretary, ex-chairman of flu treatment rights holder, sees portfolio value growing.
October 31, 2005: 10:55 AM EST
By Nelson D. Schwartz, Fortune senior writer
NEW YORK (Fortune) - The prospect of a bird flu outbreak may be panicking people around the globe, but it's proving to be very good news for Defense Secretary Donald Rumsfeld and other politically connected investors in Gilead Sciences, the California biotech company that owns the rights to Tamiflu, the influenza remedy that's now the most-sought after drug in the world.

イラク戦争を仕掛ける以前からイラクの復興事業を発注していたというチェイニー副大統領のハリバートン社を思い出さずにいられない。ラムズフェルド氏は1997年からブッシュ政権入閣の2001年まで、タミフルの特許を持つギリアド社の会長を務めていた。その後も同社の株(総額は5億円から25億円のあいだ)を所有し続けているが、タミフル争奪戦の中で株価が急騰し、含み益が拡大しているというニュースの内容。どういう経緯か知らないが、日本は大量のタミフルを備蓄し、世界の消費量の80%を消費しているという報告もある。まず80%という数字に驚かされる。その証拠に、重大な事故にも関わらず、外国ではあまり騒がれていない。フランスのニュースを検索するともっぱら日本のニュースとして報道されていて、「疑念があるにもかかわらず日本はタミフルをストックし続けるつもりだ」という驚くべき見出しが並んでいる。厚労省はこういう情報もきちんと公開したらいい。
■うちには小さい子供がいるのでこの手の話題には以前から敏感で、インフルエンザの際のタミフルや解熱剤の使用の危険性は、ある市民系の小児医療雑誌などを読んで知っていた。去年のいつだったか、日経新聞が1面のコラムでタミフルとラムズフェルドのズブズブの関係を話題にしていた。ネオコンの旗色が悪くなってきたから書きやすくなったのかもしれない。そのうち絶対に表面化すると思っていたら案の定…。
■タミフルが注目されたのは鳥インフルエンザ・パニックによるのだが、子供の親たちがタミフルを処方してもらいたがるのはインフルエンザ脳症の心配があると思っているからだ。これについても、インフルエンザ脳症はインフルエンザが原因ではなく、解熱剤脳症とも言われている(下のリンクを参照)。
■ついでに言えば、インフルエンザワクチンの効果も実は疑問視されている。インフルエンザに限らず、最近はワクチンの効果よりも副作用のリスクの方が大きいという事態になっているようだ。昔と違って、衛生状態と栄養状態が格段に向上していることが背景にある。「まちがいだらけの予防接種」の著者には直接話を聞いた。著者のお子さんはワクチンの副作用の被害者で、今も事あるごとに厚労省に情報開示をもとめて戦っていらっしゃる。個人的には「基本的にインフルエンザは風邪の一種で、子供が元気な場合(もちろん子供の体力的な条件による)、解熱剤や薬を使う必要はない」と言う、とある小児科医の意見を個人的に尊重している。その方が子供の自然な免疫力を高めるためにもいいのだろう。数年前、インフルエンザワクチンの不足(買い占めた機関も多かった)が話題になったが、リスク社会において不安は儲かるのだ。儲かる側、あるいはそれと結びつく側の情報は疑ってかかった方がいい。最終的には親の判断になるのだろうが、情報のソースは多いに越したことはない。

ラムズフェルド国務長官のタミフル利権疑惑!?
ラムズフェルド氏とタミフルを巡る巨額の利権説
インフルエンザよりずっと恐いタミフル・解熱剤 解熱剤脳症からタミフル脳症へ−タミフル脳症はなぜ起きる


■NHKの世論調査の間抜けな結論
NHKが実施した「今の公立の小・中学校のあり方」に関する世論調査によると、「根本から見直す必要がある」が26%、「ある程度見直す必要がある」が54%で、あわせて80%が公立学校を見直すべきだと考えていることがわかった。その理由を聞いたところ、「国の教育政策や制度に問題があるから」が24%、「約束事や決まりを守れない子どもが多いから」が23%、「いじめや不登校などの問題に学校が対応できていないから」が19%。一方、子どもを公立の小中学校に通わせている保護者に「学校に満足しているか」を聞いたところ、「とても満足している」が16%「まあ満足している」が65%で、あわせて82%が「満足している」と答えています。その理由としては、74%が「ほとんどの先生は適切な授業や指導を行っていて信頼できる」と答えており、「子どもを公立学校に通わせている保護者とそうでない人との間で公立学校に対する受け止め方に大きな差があることがわかった」。
(NHKニュース、3月21日)

「受け止め方に大きな差があることがわかりました」。実際にテレビのニュースで見たのだが、「オイオイ、それだけで分析は終わりかよ」って感じ。「そうでない人」というのはメディア報道の印象で答えている人でしょう。この大きなズレはどうみても教育法改正のプロパガンダの著しい成果と理解すべきだろう。「メディア戦略がまんまと成功しました」と皮肉くらい言えばいい。教育法改正の直前、イジメ報道が毎日のように流れ、もう日本の教育はどうしようもないという雰囲気になっていたが、実際に子供を公立の学校にやっている親はそれなりに教師を信頼し、学校に満足してるんじゃん。それなら今の体制のまま現場を信用して人材と予算を補充すればいいこと。国家の一大事と言わんばかりに教育法を改正する必要なんかあったのだろうか。


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posted by cyberbloom at 12:47| パリ 晴れ| Comment(0) | TrackBack(2) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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