2007年02月22日

グローバル・ブランド RED(2)-世界エイズデーとU2の来日

redipod.jpgエントリーが大幅に遅れてしまったが、12月1日は世界エイズデーで、それに向けてエイズ予防啓発を呼びかける様々なRED CAMPAIGNが行われていた。日本でもチャリティーコンサート「RED RIBBON LIVE 2006」が行われたり、アニエス・ベーがアートコンドームを無料配布したり。当然、U2のボノが提唱したチャリティー・ブランド、REDにも注目が集まるわけだが、REDは写真家、アニー・リーボビッツによる「RED広告キャンペーン」を展開。キャンペーンにはクリスティー・ターリントン、ペネロペ・クルス、スピルバーグらが終結した。

最近のREDのアイテムと言えば、Gapが写真集「INDIVIDUALS」を発売。この写真集は30年間にわたってGap の広告キャンペーン用に撮影された、マドンナや坂本龍一氏など著名人の250点に及ぶポートレートを編集したもの。カバーの色は6種。ハードカバー(16000円、デニムの袋入り)とソフトカバー(4900円)があり、広告に使われた15曲のCD付き。写真集売り上げの100%がアフリカでHIV/エイズに感染した女性と子供を支援するため、世界基金(The Global Fund)に寄付される。また写真集を立体的に構成した写真展もGap原宿店で開催されている(25日まで)。

先日、ボノはU2のコンサートで来日し、安倍首相と面会。ボノはアルマーニのサングラス(RED PRODUCT)をプレゼントし、安倍首相はその場でかけてみせた。どう見ても似合ってなかったが、ボノは「クール」とか言ってほめたらしい。世界第2位のODA出費額を出す日本の首相を批判するわけがない。やはり最近のREDの注目商品は、IPOD NANO RED SPECIAL EDITION。4GBモデル23800円、1台あたり10USドルが世界基金に寄付される。

そのボノが、23日、音楽界への貢献と人道活動が評価され、英国の名誉ナイト爵位を授与されることになった。ブレア首相も同日声明を出し、ボノの活動を称賛。U2もホームページ上に、ボノは爵位の授与を「大変光栄に思っている」とする声明を掲載した。ボノは年明けにダブリンで英大使から爵位を受けるが、英連邦以外の市民のため「サー」を名乗れないらしい。ボノは2003年にフランスのシラク大統領からレジオン・ドヌール勲章も授与されている。

ボノの戦略をどう見るか。ダボス会議に出席し、各国の首相と会談し、ナイトの爵位や勲章をもらう、慈善事業に熱心なロックアーティスト。所詮はエスタブリッシュメントの側に入った金持ちロックアーチストの慈善事業じゃねーかという見方もできる。この前、アンチグローバリゼーションの動きとして「ANTI-PUB=反広告運動」を紹介したが、ボノは積極的にグローバル企業と結びつき、広告というシステムを最大限に活用している。

価値の転倒という観点からは、ANTI-PUBの方が圧倒的に本来のロックの匂いがする。ボノは慈善活動に熱心なビル・ゲイツみたいな他の金持ちと同じように、あくまで金持ちの高みから貧困を見下ろしている。しかし、いつそういう底辺に落ちるかわからない格差社会(アフリカの貧困は世界規模の格差がもたらしている)の住人としての連帯意識というのも可能ではないだろうか。結局はどちらのやり方が説得力があり、共感を勝ち得るかということに尽きるのだが。

ところで、今回のU2の来日ライブと言えば、「日本人はボノに熱狂しても貧困撲滅には無反応」(「ロサンゼルス・タイムズ」)という記事もあった。「一般的に日本人の政治意識は低く、個人のレベルで積極的に行動する政治文化もない」んだそうだ。ステージの巨大スクリーンに「世界人権宣言」の日本語訳のテロップにも観客は反応することはなかった。学校でそういうことを教わらないし、マスコミも取り上げることもない。意図的に非政治化された土壌からそういう文化が育つわけがない。ボノは日本の国旗、日の丸を振り回してステージに登場したらしい。他の国だと盛り上がるのが、日本ではあっけなく不発に終わった。日本の観客はボノにとって世界で最も歯がゆい人たちなんだろうなあ。

■関連エントリー「グローバルブランド、RED(1)

REDの公式サイト


cyberbloom(2006/12/24)

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posted by cyberbloom at 22:33 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | グローバリゼーションを考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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