2007年02月01日

ロストジェネレーション(1) ユーモア系テロ?

jeudinoir01.jpg正月早々、朝日新聞が「ロストゼネレーション」特集を組んでいた。ロストゼネレーションとは現在25歳から35歳の世代で、失われた時代と呼ばれる90年代のあおりをもろに食らい、何よりも最も厳しい就職状況を生きた。「氷河期世代」、「混沌の世代」と自らを定義する。これは何も日本だけの話ではない。

昨年3月フランス中を吹き荒れたCPEのデモについて本ブログでも何度か取り上げたが、学生や労働者が「26歳未満なら2年間は理由を告げずに解雇できる新雇用制度=CPE」に真っ向から反対したのだった。この問題の根本にも世代間格差がある。

フランスの若者たちがいらだちを覚えるのは現在60歳前後の「68年世代」で、日本のまさしく団塊世代にあたる。68年世代はかつて5月革命の主体となってドゴール政権(日本の文脈で言えば安倍現首相の爺さんの岸信介政権)を揺るがせたが、若者にとっては既得権益を離さない守旧派に映る。朝日に「68年世代は、社会の要職にいるのに、私たちの苦しい状況を全く理解しようとしない」、「私たちは上の世代の無策の犠牲者だ」というフランスの若者の発言が載っていた。

ライブドアショックからちょうど1年が経過したが、ロストジェネレーションに属するホリエモンが支持されたのは、近鉄買収騒動に象徴されるように「若者にも既得権をよこせ」と声高に主張したからだ。もっとも若者全体にというわけではなく、自分によこせってことだったのだが、そこにホリエモンの同世代が自分の欲望を投影した。しかし、一方でライブドアショックは、新興市場に信用不安を引き起こし、ライブドア株だけでなく、他の新興株も暴落させ、「若い」個人投資家を奈落の底に突き落としたのだった。

韓国では無職者を「ペスク=白手」と呼ぶ。働かない者は手が白いからだ。韓国でもぺスクは急増し、120万人を越える。彼らも日本のフリーターと同じようにパートやアルバイトを転々とする。韓国では97年のアジア通貨危機をきっかけに企業のリストラが一気に進んだようだ。職にありつけない彼らは「オリュクド」と上の世代を呼ぶ。「56歳以上で働く者は給料泥棒だ」という意味で、「もう十分な収入を得ただろうから、若い世代に仕事を譲れ」という皮肉がこめられている。

格差社会に関しては、そんなものは存在しないとか、いろいろ議論があるが、この世代間格差に関しては比較的実感されやすく、どの国でも不満が噴出しているようだ。

フランスに「暗黒の木曜日 jeudi noir」という新手のユーモア系テロ集団がいる。木曜日はフランスで、住宅情報誌が発売される日である。それと世界恐慌が起こった暗黒の月曜日=ブラックマンデーをひっかけて、「暗黒の木曜日」とした。イスラム世界を見てもわかるように、テロはいつも全く埒が明かない、民主主義的な手続きに絶望した状況から生まれる。

ところで、彼らは何をするかというと、数人で家探しを装って賃貸物件を見せてもらい、家主と部屋に入ったとたんに外で待機する仲間を招き入れ、シャンパンと音楽でパーティーをおっぱじめる。ある意味、いやがらせ作戦だ。この活動は有力紙やテレビでも報じられた。

「家主側は無期限雇用の身分や高額な保証を求める。そんな条件で若者が住宅を借りれるわけがない。この深刻な問題を表現したかった」。

と主張するが、そのパーティーの模様がサイトで紹介されている!朝日新聞で紹介されていたトーンと全然違う。Disco Kingなる人物がノリノリで先導し(バックに流れるのはビージーズの「サタデー・ナイト・フィーバー」!)、ありえない条件を不動産屋にふっかけている。不動産屋のお姉さんもお兄さんも笑うしかない。舞台は部屋の物件ではなく、不動産屋の事務所のようだ。こんなシャレが通じてしまうフランスは懐が深いというか、ラテン系というか。(続く)

★パーティーの映像はコチラ
暗黒の木曜日 JEUDI NOIR 公式サイト(フランス語)


cyberbloom

rankingbanner_03.gif
↑クリックお願いします!
メイン・ブログ-FRENCH BLOOM NET を読む
posted by cyberbloom at 21:15| パリ 霧| Comment(0) | TrackBack(1) | グローバリゼーションを考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/32604438
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

行政はこっち向いて!
Excerpt: 行政は誰のためにあるの?実際してることって何なの?ちゃんと市民の方向いてよね!人権尊重してよね!人間の尊厳て何かわかってるの?追加キャンペーン!わたしはイタリアに詳しいはずだったのですが、愛国心はある...
Weblog: 言ノ葉工房
Tracked: 2007-02-01 21:57