2009年12月18日

PREFAB SPROUT‐JORDAN:THE COMEBACK

Jordan: The Comebackこの時期のお薦めは、1990年に発表されたプリファブ・スプラウト PREFAB SPROUT の5作目、JORDAN:THE COMEBACK 。80年代に名を馳せたトーマス・ドルビーによるプロデュース。プリファブは北イングランドのニューキャスルの近くにある小さな街、ダーラム出身のバンド。もともと田舎のバンドなのだが、彼らの飽くなき上昇志向はプリファブを5枚目にして彼らの最高傑作へと至らしめた。

とりわけパディ・マクアルーンのソングライターとしての才能がパーフェクトに開花した作品だ。プリファブの曲は非常に技巧的な作りになっているにもかかわらず、曲の展開がそれを全く感じさせないくらいスムーズなのだ。その絶妙なバランスを通して、私たちは研ぎ済まされた極上のロマンティシズムを味わうことができる。やはりこういうポップアルバムの王道を行く傑作は、やはりイギリスからしか出ないのだろうか。

パディの男前なボーカルもさることながら、透明感のあるウェンディのバッキングボーカルも巧みに色を添えている。トーマス・ドルビーも生楽器とプログラミングによって玄人技のアレンジを施し、エコーがかかった深みのある空間に、キラキラ感のある独特の効果音を響かせている。深い夜の空間に原色の光が揺らめくジャケットもそれと重なり合い、アルバムの色彩的なイメージをうまく表現している。このイメージが、クリスマスの時期の華やぐ夜の街の雰囲気と重なり合うのかもしれない。

聴きながら歌詞を追っていくと、いやおうなしにストーリー性を感じてしまうが、元はと言えば、それぞれ違ったテーマを持った3つの組曲から構成されるはずだったらしい。特に名曲、JESSIE JAMES SYMPHONY & BORELO は「バッドボーイ」の物語である。

JESSIE JAMES BORELO & SYMPHONY

ジェシー・ジェイムズ JESSIE JAMES はフロンティアに対するノスタルジーを呼び起こさせるアメリカン・ヒーローのひとりである。南北戦争のあと、兄弟や仲間たちと強盗団を結成し、銀行や列車を襲い殺人を繰り返したが、ミズーリ州政府がジェシーを10,000ドルの賞金首とすると、それを狙って裏切った仲間に射殺された。ジェシーはバッド・ボーイどころか、極悪非道の重罪人にもかかわらず、その悲劇的な最後は人々の同情を集めた。強者に立ち向かうロビン・フッドのイメージに重ね合わせられたり(強盗のターゲットを金持ちの実業家らに限定していた)、ビリー・ザ・キッドのようなアウトローとして英雄視されたり、アメリカの伝説のひとつとなった。ジェシー・ジェイズムの伝説は何本もの映画になっていて、去年日本で、ジェシー・ジェイムズが暗殺されるまでを描いたブラッド・ピット主演・プロデュースの映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」が公開されている。

そのほか、個人的に好きな曲は WE LET THE STARS GO や THE ICE MAIDEN など。とにかく一瞬のハーモニーの切れが息を飲むほど素晴らしい。

プリファブ・スプラウトの2枚組みのベストアルバム「38カラット・コレクション」も出ている。本アルバムからも7曲が収録。もう終わったバンドかと思っていたら、何と今年最新アルバム「Let's Change the World with Music」が発表された。

WE LET THE STARS GO
ALL THE WORLD LOVES LOVERS


Jordan: The Comeback
Jordan: The Comeback
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Prefab Sprout
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おすすめ度の平均: 5.0
5 最高傑作ですね
3 良いアルバムですが
5 音楽家
5 聴いた後の満足感が違う
5 完璧な音楽




cyberbloom

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posted by cyberbloom at 23:24 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | Musique pour…のための音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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