2006年11月20日

週刊フランス情報 13‐19 NOVEMBRE

darwin.jpg一匹の魚から始まる悪魔のグローバリゼーション
▽アフリカ最大の淡水湖・ビクトリア湖に面するタンザニアを舞台に、1匹の外来魚がもたらした一大産業と、その影に潜む貧困、エイズ、ドラッグなど深刻化する問題に焦点を当てたドキュメンタリー「ダーウィンの悪夢」。各国で社会論争も巻き起こした本作を手掛けるフーベルト・ザウパー監督が、11月9日、東京・渋谷のエクセルホテル東急にて来日記者会見を行った。
▽もともとビクトリア湖は「ダーウィンの箱庭」と呼ばれるほど、多種多様な生物が生息していた。今から半世紀ほど前、ビクトリア湖に外来魚ナイルパーチが放たれた。ナイルパーチはどんどん増え続け、湖畔の町ではナイルパーチを加工・輸出する産業が発展する。その一方、一部の人間以外は仕事にあぶれ、貧困が広がる。すると女たちは生活のために売春婦になり、エイズが蔓延して人が死んでいく。貧困やエイズで親を亡くしたストリートチルドレンは、粗悪なドラッグで現実逃避する…。
▽「これはナイルパーチについての映画ではなく、人間についての映画。東京のスーパーで売られている食材にも、本作で描かれているような破壊的な背景があるはず。それを見る目を持ってほしい」とザウパー監督はコメントする。
▽フランスでは、内容に衝撃を受けた観客がナイルパーチをボイコットする運動を起こした。ちなみに、ナイルパーチは日本のスーパーでも市販され、白身フライ、フイッシュバーガーなどに使われている魚である。「ダーウィンの悪夢」は12月ロードショー。
(eiga.com 11月13日)

★このドキュメンタリーは今年の3月、NHKでやっていた。見ていて欝になるくらい悲惨な光景が次々と繰り広げられていた。ナイルパーチを加工処理したあとの大量の残骸を焼却する前に一旦干すのだが、ドロドロに溶けた魚にはウジがわき、悪臭を放つアンモニアガスが発生する。その仕事に携わる女性たちの両眼はガスのせいで潰れていた。
★ストリートチルドレンたちは配給される一握りの食べ物のために殴り合いを始める。最も壮絶だったのは、悲惨な現実を忘れるために、粗悪なドラッグに手を出す子供たちの姿だった。魚を入れる発泡スチロールの箱を燃やして、シンナー代わりに吸うのだ。廃人同然になって虚ろな目でふらふら歩いている子供たちもいた。目の前の湖には無数のナイルパーチが泳いでいるのに決して彼らの口には入らない。あくまでヨーロッパや、遥か遠くの日本にまで売られていく商品なのだ。
★そして魚を運ぶの使われるのがロシアの飛行機。帰りは魚を運ぶが、行きは武器を運ぶのだという。背後に武器商人も暗躍し、地域紛争に加担する。ポスターはフランスのものだが、それを暗示している。

★「ダーウィンの悪魔」 オフィシャルサイト
★「ダーウィンの悪魔」 BLOG
★BLOG「うるわしのブルターニュ」に詳しい関連記事(Darwin's Nightmare-その3のコメント欄に映画は現実の一部しか捉えていないと、現地の人の反論あり)

ボージョレの真実ボージョレを支えているのは日本人?
▽11月第3木曜日の16日、フランスワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」が解禁された。風物詩として定着したが、日本のボジョレーの値段、高くはないのか。
▽フランスではボージョレは決して高いワインではなく、木曜午前零時の解禁時も静かだ。値段は2.5ユーロ(約377円)前後と極めて庶民的。スーパーで最も出回るのは2~6ユーロ(約300~900円)程度。パリの高級食材店「フォション」でも5ユーロ前後からある。▽だが、日本の市場に出回ると2000円以上となる。最近はワンランク上の4000円ぐらいの品まで出ている。ユーロ高に加え、日本の価格が高い理由は輸送費。空輸の場合、船便の倍近い価格に跳ね上がるとされる。
▽昨年のボージョレの日本への輸出量は全体の22%を占め、2位米国(16%)、3位英国(12%)を引き離して断トツの1位で、今年も同水準を見込む。大手輸出業者モメサンのバルデ社長は「今年に入って進んだユーロ高が気になるが、日本では女性の間で人気が高く、消費量はまだまだ伸びると思う」と話す。
▽日本への輸出はバブル崩壊によって一時は落ち込んだが、98年の赤ワインブームで盛り返し、04年に1145万2500リットルと過去最高を記録。05年は1024万1500リットル。世界的に頭打ちになりつつある中、最大のお得意様である日本への期待は大きい。
▽フランス文学者の鹿島茂さんは「日本人はイベント好きで、この時期には他に適当なものがないから、ボージョレに飛びつくのでは。フランスでは若者中心にワイン離れが進んでいて、消費量が減っている。日本で飲まれて、一番喜んでいるのは向こうの業者ですよ」と話す。
(毎日新聞11月16日)

★鹿島先生、そんな皮肉な言い方をしなくても。これがグローバリゼーションですよ。フランスの若者がワインを飲まないなら、遠く離れた日本の女性たちが代わりにフランスのボージョレ文化を支える。いいじゃないですか。もっとも、空輸して無駄なエネルギーを使い、高いのを買わされるよりは、船便で届くのをゆっくり待てばいい気がする。木曜の晩は解禁日だということをすっかり忘れて、髪が七色のロケンロールな編集者S氏とバーで遅くまで飲んでいた。そういえばカウンターを見渡すと、何組かの二人連れの女性客がボージョレのボトルを開けていた。やはりボージョレの担い手は女性なんですね。優雅にワインを嗜む女性たちの隣で、私たちといえば、いい年こいてフローズンカクテルをストローでチューチュー飲んでいた。

仏社会党、初の女性大統領候補、ロワイヤル氏が過半数獲得
フランス社会党は16日、来春の大統領選の公認候補を選出する党員による投票を行い、即日開票の結果、セゴネル・ロワイヤル元環境相が全投票数の60・62%を獲得し、社会党としては初の女性の大統領候補となった。
(フジサンケイビジネスアイ11月18日)

ジダン 神が愛した男■ジダンのDVD「ジダン 神が愛した男」発売
最後の勇姿が「頭突き」となってしまったジダンだが、このDVDは17台のカメラで1試合分()のジダンの動きを追いかけた斬新な作品。選ばれた試合は2005年4月25日、レアル・マドリードVSビジャレアル戦だ。サントラを担当したのがスコットランドはグラスゴーのバンド、モグワイ。サントラは11日にすでに発売開始。映像と音のコンビネーションも見所のひとつ。

★「ジダン 神が愛した男
★「ジダン 神が愛した男(サントラ)

家庭で作れるシンプル・フレンチ、ジョエル・ロブションのDVD発売
フランス料理のイメージといえば「難しい」。そんなフランス料理のイメージを変え、誰にでも作れる「シンプル・フレンチ」をコンセプトにしたあのジョエル・ロブションによる料理DVDが発売され、注目を集めている。

ジョエル・ロブションのシンプルフレンチ−コンプリートBOX−(春夏秋冬セット)
★本BLOGのライター mandoline さんの「かんたんフレンチレシピ」もよろしく!

今週の松井:ルマンは引き分けるも松井は出場停止
先週、シミュレーションで今季3枚目のイエローカードをもらった松井は出場停止。ルマンはアウェーでレンヌと1−1で引き分けた。海外組では、中村俊輔(スコットランド・セルティック)が活躍、中田浩二(スイス・バーゼル)と稲本潤一(トルコ・ガラタサライ)もフル出場。
(時事通信11月19日)


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posted by cyberbloom at 01:01 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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