2006年10月18日

ミッシェル・ポルナレフ(1)

polnareff01.jpg私が生まれて初めて買ったレコード、それはミッシェル・ポルナレフだった。一緒にフランス語を勉強していたキクチ君に教えてもらい、自分で買って聴いてみようと思った。当時、中学1年生だった私の周辺には、自称ソ連の共産党員でロシア語をやっている先輩や、中東情勢に詳しく、アラビア語が話せる先輩などがいたが、私が最もシンパシーを感じたのはフランス語をやっていた先輩だった。なぜらなら彼はやたらと女性にモテたのだ。私はフランス語をやるしかないと決めた。思えばこの不純な動機が今の不幸の始まりだった。

しかし、同学年にはライバルがいた。それがキクチ君(今や東大の先生だ)だった。フランス語をやろうと決めたはいいが、私はフランスのことなどまるで知らなかった。しかし、キクチ君はフランスでいちばん流行っているミッシェル・ポルナレフとかいう歌手のアルバムを持っていたのだ。

Je cherche un job, job, job, job, job, job
Pour aller lui acheter sa robe
Job, job, job, job, job, job
Pour un jour lui enlever sa robe

キクチ君は私に「Je cherche un job」という歌の歌詞カードを見せ、この意味わかるかと聞いてきた。挑発的な口調だった。こんなもの簡単さと、辞書をひきひき、直訳でなんとか意味はとれたが、ウブだった私には意味する状況がさっぱりわからなった−俺は仕事を探す。彼女に服を買ってやるために。俺は仕事を探す。いつか彼女の服を脱がせるために−何でせっかく彼女に買ってあげた服を脱がせるわけ?

「ジョブ」はあまり有名ではないが(シングルのB面)、ポルナレフの最も有名な曲といえば「シェリーに口づけtout tout pour ma chérie」だろう。授業中にかけても、誰もが知っていると手を挙げる。今もときどきCMに使われ、最近ではホンダのゼストのCMに使われていた。98年のフランス開催のW杯では日本のナショナルチームの応援ソングがこの歌の替え歌だった。今の学生は「シェリーに口づけ」を聴くと、「ウォーターボーイズ」を思い出すらしい。

日本で「シェリーに口づけ」がリアルタイムにヒットしたのは、1971年のこと。フランスではすでに2年前に発表されていたが、日本では1971年8月にCBSソニーよりシングル盤「シェリーに口づけ」と、ファースト・アルバムに「シェリーに口づけ」を追加収録したアルバム「愛と青春のトルバドゥール」が発売された。今ではフランス語の曲が日本で売れることはありえないが、当時は日本各局のラジオチャートでトップに入り、40万枚を売り上げる大ヒットシングルとなった。(続く)

ポルナレフ・ベスト
ポルナレフ・ベスト
posted with amazlet on 06.07.22
ミッシェル・ポルナレフ
ユニバーサルインターナショナル (2006/01/25)

cyberbloom


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posted by cyberbloom at 20:07 | パリ ☔ | Comment(1) | TrackBack(0) | フレンチポップ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして
後先になって申し訳ございません
ここの記事を私のブログにリンクさせていただきました
Posted by 栄太郎と申します at 2007年11月12日 20:11
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