2006年10月16日

週刊フランス情報 9 - 15 OCTOBRE 日本からの脱出

もう日本はイヤ!NYに脱出する若い女性が増加 米紙が特集
米紙ニューヨーク・タイムズは15日付で、「Escape From Japan日本からの脱出」と題した特集記事を掲載、日本にない自由を求めてニューヨークに移り住む若い日本人女性が増加していると紹介した。記事は、1990年代はフリーターの若い男女がほぼ同じ割合で渡米してきたが、最近は男性が日本経済の回復で職を得られるため、割合についても女性が増えてきたと分析。日本では結婚して出産することを求められ強いプレッシャーを感じるため、「自由な街」ニューヨークへ逃れてきていると指摘している。(…)
記事には、プロのダンサーを夢見る二十歳代前半の日本人女性らが登場。「両親はとても保守的で、私が日本人の男性と結婚することを望んでいる」「ニューヨークには自由がある」などとの発言も載せている。
(ニューヨーク共同10月15日)
★Escape From Japan-New York Times(英語の引用先はコチラ)
★昨晩、ヤフーニューでこの記事の見出しを見つけ、気になったので読んでみようと思ったら、アクセスが集中していてしばらくつながらなかった。よほど「もう日本はイヤ!」とか「日本からの脱出」って言葉に反応した女性が多かったのだろう。先に引用先のNew York Timesを読んでみたのだが、最近の日本の格差社会やフリーターの問題を、男女という性差の視点で捉えている。
★最近の好景気による正社員枠の拡大は、どうやら男性に有利に働いているようだ。フリーターは自己実現のための仮の姿と言われているが、何のことはない、男性は仕事があればとっとと就職しちゃうわけね。「オレには夢がある」なんて、所詮は仕事のない言い訳にすぎなかったってことか。女性の場合は景気の恩恵が届きにくい。「若者」そして「女性」という二重の壁があり、フリーターであることの意味が問われ続けている。
★さらに派遣やパートの問題もそこに重なる。仕事の内容も正社員と変わらないのに、不安定雇用で賃金も安い「正社員的パート」は働き手全体に対しては3割を占めるが、「働く女性」に対しては5割に達する。ちなみに若者に対しては4割だ。以前、「正社員的パート」について触れた記事にこのようなコメントをいただいた。「妹が、派遣なんてただの人身売買やなぁ〜、と身も蓋も無いことを話していました。友人たちを見回しても、20代も半ば過ぎ、しかも女性なら9割が非正規雇用。友人が一人、また一人結婚し、つい先週、その二次会に出席したメンバーで人生について延々と二時間語っていた」(tkさん)−ひとつの具体的な証言だ。
★一方で、日本のお父さんたちは相変わらず娘には幸せな結婚を望んでいるようだ。もちろんお父さんの価値観に沿った「幸せな結婚」だ。お父さんたちは自分の幻想を守りたいだけで悪意はないのだろうが、それが余計に始末が悪い。資格を取って働きたいって言ったら、父親に女は結婚すればいいんだと言われ頭にきたと、先日ある学生も言っていた(お父さんは某鉄道会社のお偉いさんらしい)。親だけでなく社会全体がそういうプレッシャーをかけてくる日本をバカバカしく思う女性たちが、自己実現の場を外国に求める。そういう傾向に拍車がかかるかもしれない。そうしたら子供を作っても日本の出生率アップには貢献しない。コストがかかると工場を外国に作ったり、こんな環境で研究できるかと外国にフィールドを移す研究者がいたり、いろんなものが日本から流出しているが、今度は女性の流出だ。一緒に出生率も流出する。
★彼女たちは今や多様な考え方や価値観に通じているし、グローバル化した様々な分野で(記事で話題になっていたのはDJなんかのアーティスティックな分野だが)彼女たちが活躍できるチャンスが用意されている。昔は外国人男性に走る女性は白い目で見られ(日本男児の嫉妬の入り混じった視線)、NYのタクシーになぞらえた「イエローキャブ」(Don’t call me “yellow cab”♪)なんて言葉も流行ったが、あれから事情は大きく変わっているのだろう。女性たちは経済的にも精神的にも、もっと切羽詰って、あるいはもっと根本的な動機を持って行動しているのだろう。もちろん、いくらNYが自由な街と言っても、外国で暮らすことは厳しいし、誰もが成功するわけではない。しかしそれは「公平さ」に基づいた厳しさならば耐えられるし、個人として評価されるのならば納得もできるのだ。
★日本脱出願望と子供を生むことの拒否は深いところで結びついている。政府も少子化問題を国家の根幹に関わるとして子育て支援とか、物分りの良さそうな顔を見せ始めたが、社会が相変わらず根本的な部分で女性を出産マシーンとして考えているとすれば、簡単に見透かされてしまうだろう。彼女たちは家事や子育てをしたくないわけでもないし、子供が欲しくないわけでもない。勝手に押し付けられた女性の役割を基準にするのではなく、まず個人としての自由を承認して欲しい、そして自分を正当に評価して欲しいということなのだろう。子供の問題はそこから出発するのだ。
★サザエさん家みたいな伝統的な家族を復活させれば子供が増えるわけではない。女性が働きやすい環境を整備したスウェーデンやフランスでの出生率の上昇がそれを証明した。少子化を食い止めるには自己実現を求める女性たちが生きやすい社会を作ることが先決なのだろう。女性は社会に不自由さや息苦しさを感じたら、本能的に子供を作ることを拒否するのかもしれない。女性にとって子供は社会から与えられた自由のお返しなのだ。出生率に関してこう考えた方がいいのかもしれない。

英国人もフランス好き=世論調査
フランス人と英国人の間には歴史的に見て反感があると考えられているが、かなりの数の英国人がフランス人に生まれていたらよかったと思っていることが、世論調査によって明らかになった。フレンチ・ワインズ・ウィーク・リポートが1010人を対象に実施した調査で明らかになったもので、サッカーのイングランド・プレミアリーグ、アーセナル所属のフランス代表FW、ティエリ・アンリに代表されるように、英国で活躍する有名フランス人が増えている影響とみられる。
(時事通信10月10日)
★考えてみれば何でこんな世論調査が行われるのだろう。イギリス人にとってフランス人はいつも気になる存在なのか。ドーバー海峡なんて泳いで渡る人もいるくらいだし、ユーロスターも走っているし、あまり仲は良くなかったとはいえ歴史的な交流も長いし、アンリの影響って何か違うと思うが。

移民系若者暴動、1年たって再燃の兆し
移民系の若者による暴動発生から間もなく1年を迎えるフランスで、暴動が再燃する兆しをみせている。
(毎日新聞10月15日)

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posted by cyberbloom at 23:51 | パリ ☀ | Comment(3) | TrackBack(1) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
女性の自己実現って言うと何か夢を実現させる、好きなことをする、みたいな捉えられ方をされがちですが、それ以前にまず親とか夫とか誰かに依存しないで自分で自分の食い扶持を稼ぐという根本的なところを意味しているのでは。
経済的に自立してなかったら、自己の尊厳なんてありえないのではという気がします。やっぱりフランス人カップルがカップルとして対当にいろんなことを話し合えるのは女性も働いているという前提があるからだと思います。
Posted by noisette at 2006年10月17日 09:33
ほんと、時折日本って息苦しいと感じることがあります。便利で清潔でサービスの行き届いた日本が好きではあるのですが、なんでかなあ・・・大人が楽しそうでない。型にはまらない人をなかなか容認しない国なのですね、ここは。
女性たちのほうが逃げやすいのかもしれません。
Posted by 黒カナリア at 2006年10月17日 20:31
日本では女性が自立しないほうが楽なんじゃなかろうか?と思う事があります。
昨今、男性の領域だった職場に女性が進出しています。かつて私もそういう職場で、部署初の女性社員として働いておりましたが、職場が女性に配慮されているとは限らないです。当時は20歳そこそこで必死だったので、自分の置かれている状況がわかっていませんでしたが、企業側の業務改革だったのか、イメージアップ戦略のネタだったのか、と思わなくもなかったです。
女性で無線や通信、電気系の資格を持っていても、役立っているような気がしないです。(そんなに難しい資格ではないせいもありますが。)求人ないし。
女性のキャリアモデルがなく、また、周囲(男性)も悪い人達ではなかったのですが、人間関係もうまく作れなくて相当悩みました。
今はあっさりドロップアウトして、実家で居候(笑)
Posted by tk at 2006年10月18日 20:39
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