2012年02月08日

ベルグソン『意識に直接与えられているものについての試論』

今年、本当に驚かされた一冊は竹内信夫訳ベルグソン『意識に直接与えられているものについての試論』(白水社)である。何と個人全訳による『新訳ベルグソン全集』の第1巻だそうで、全7巻+別刊1の構成になるとのこと。これから恐らく10年くらいに亘って続々と新訳が刊行されることになるのだろう。竹内氏は東京大学教授を務められたフランス文学者であり、マラルメ研究の泰斗として、長く後進の指導に当たって来られた。と同時に、仏教・インド哲学の研究者としても知られ、空海に関する著書もある。その竹内氏が、今度はベルグソンの個人全訳に挑むというから驚かされない訳には行かない。実は竹内氏は遥か昔からベルグソンを愛読していたそうで、この仕事は彼の集大成になるのかもしれない。まさに彼ならではの翻訳が生み出されて行くと思われ、いまから全集の完成が期待される。
(不知火検校)

意識に直接与えられているものについての試論 (新訳ベルクソン全集(第1巻))物質と記憶 ― 身体と精神の関係についての試論 (新訳ベルクソン全集(第2巻))笑い ─ 喜劇的なものが指し示すものについての試論 (新訳ベルクソン全集・第3巻)

と不知火さんが書いてくれたのが2010年。そして今日送られてきた白水社の新刊案内に3巻目の『笑い―喜劇的なものが指し示すものについての試論』 Le Rire. Essai sur la signification du comique (1900) が載っていた。ベルグソンが試みた初めての社会学的考察。ベルグソンは、笑いを社会から乖離した存在に対する社会の罰とみなしている。時間の空間化を批判した時間論はデフォだが、この「笑い論」も面白かった。鷲田清一氏の解題の他、しりあがり寿氏の漫画入りの月報がついているのが今風。
(cyberbloom)


posted by cyberbloom at 00:00 | パリ 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評−文学・芸術・思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック