2006年09月23日

「パリ物語―グルメの都市をつくった人々」玉村豊男

冬から春は貝がうんごい。

ホッキ貝アカ貝トリ貝ツブ貝バイ貝ミル貝ナガレコホタテタイラギハマグリアサリetc.、はしりも名残もいま旬も、来年までさいならもこれからよろしゅうもいろとりどり。磯臭さやぬめりが放つ貝の香りと甘味苦味に歯ごたえ、それぞれ個性があって甲乙丙丁戊己庚辛壬癸がつけがたい。

今挙げたなかでハマグリアサリは火を通さなちょいやばこいけど、それ以外はナマでいける。もっともナマでいく部位は貝によるんやけど、この地はほんまナマを珍重するな。しょうゆがなかったら寿司も刺身もどうなってたんやろ。

フランスでは、ハマグリムール貝ホタテにカキといったところが先発スタメン級、個人的にはCyberbloomはんに連れてってもうた愛と追憶の日々として、小ぶりのバケツにテンコ盛りのムール貝、これのセロリや香草入りのワイン蒸しが豪儀でええもん、なにしろ安かった。国産もんのムールは味けのうてもの足らん、なんでやろ、調理の差か持ち味の違いか。-1)

ナマは野蛮という文化圏でもカキだけはわっしゃかわっしゃかいただく。特産は「緑のカキ」ことオレロン島のもんやけど、今から35年ほど前にあっちで赤潮が発生しカキがわやになりかけた。これを救ったんが日本のカキで、大湖石みたいなゴツゴツしたむこうのカキは日仏交流の産物やったとは調べてみるもんやね。-2)

あとデンデンムシ食べるんが、あっぱれおみそれしやした。マイマイちゅるって山伏ぐらいやで。レストランでは魚料理にカテゴリーされてて、タマゴはホワイトキャヴィアって呼ばれてるんやて。木魚も試したけど虫と貝の違いってなかったな。区分けが舌をつくるんやな。

木魚

BOOK INFO:「パリ物語―グルメの都市をつくった人々
玉村豊男(中央公論社1992/11)

1)緑の看板が目印のムール貝料理のチェーン店、LEON のこと。パリにたくさん展開している。小ぶりのバケツ一杯のムール貝の白ワイン蒸しに山盛りのフライドポテトがつく。ベルギーのブリュッセル発。

2)「パリ物語―グルメの都市をつくった人々」の前半には、以前cyberbloomが「カフェ・コスト&ホテル」で紹介したオーベルニュ地方とパリのカフェの関係について書かれている。後半は「パリにクレープと生ガキをもたらした辺境の国」と題して、ブルターニュ地方がテーマになっている。ブルターニュ地方はパリの先端を行く料理を提供してきたのだが、そこは昔から貧しい地方だった。肉が食べれなかったので、仕方なく沿岸部では魚を食べた。フランス的には魚は「腹持ちが悪い」と嫌われ、魚食は貧しさの象徴だったようだ。また小麦がとれなかったので、仕方なくソバをクレープにして食べた。しかし、ダイエットの時代にはそれらが逆転した。「腹持ちが悪い」ということは脂が少ないということであり、ソバは今や自然食でヘルシーな食品のひとつである。


notes by cyberbloom


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posted by cyberbloom at 20:54 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | CAFE+WINE+GOURMET | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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