2006年09月18日

週刊フランス情報 11 - 17 SEPTEMBRE

□朝日新聞16日付の「分裂にっぽん」という1面の特集で、「太る株主、細る働き手」という記事があった。小泉首相が行った重要な政策のひとつは、終身雇用制度を根本的に壊したことだ。具体的には派遣社員の契約期限の上限を原則1年から3年に延長し、製造業現場への派遣も解禁した。業績絶好調のキャノンの例があがっていたが、派遣・請負労働者がここ2年半で1万3千人増え、社内で働く人の4割近くに達した。こうした「低コストでクビの切りやすい非正社員」は、人件費の安い海外勢力と競争しながら、日本国内でものづくりを続けるのには不可欠なのだという。当事厚労相だった坂口氏は今更ながら「景気が回復したら派遣は減るはずだったのに」と計算外だったようなことを言っている。一旦動き出せばそういう流れは止まるはずがなく、格差を再生産していくばかりだ。
□それでは浮いたコストはどこへ行ったのか。正社員の新規雇用や待遇改善に使われずに、経営者は配当金増などの株主重視に励んだのだ。M&A対策で株価=時価総額も上げなくてはいけないという口実もある。こうして企業や株主が潤う一方で、カイシャ共同体から放たれて労働市場を商品のように彷徨う若者が、自分たちに分け前が回ってこないことに隔絶感を募らせているのだという。今朝(18日)の共同通信が、企業全体では8割も増益になったにもかかわらず、賃金は微減しているというデータを出していた。これじゃ好景気の実感がわかないわけだ。
□電車の広告は、派遣で働くことは、「自由でカッコいいこと」だと謳っている。実質35歳定年とか、派遣社員の現実を全く知らない学生も多い。こういう状況に対して安倍さんが言っている「失敗した人が再チャレンジできる社会」という提言も的外れとしか言いようがない。故意に問題をすりかえる戦略なんだろうが。
□これはフランスにも言えることで、CPE法案では挫折したが、「分配より成長」を主張するサルコジ氏は次にどのような手を打ってくるのだろうか。次期大統領に決まったわけじゃないが。
□厚労省の審議会でパート労働法の改正論議が7月から始まり、年内にも議論がまとまる予定。要はパート労働者の待遇改善の議論だ。03年には仕事の内容が同じならば均等処遇を求めるガイドラインもできたが、格差はなお大きい。働く時間も、仕事の内容も正社員と変わらないのに、不安定雇用で、賃金も安い、「正社員的パート」は働き手全体の3割、働く女性の半分、若者の4割に及ぶ。多くの「正社員的パート」は契約打ち切りを恐れて何も言えないらしい。

アニエスベー青山店で少女人形を展示、映画「エコール」公開で
10月よりロードショー公開される映画「エコール」は、高い壁で遮断された森の中の学校で学ぶ少女たちの世界を描いた作品。指揮を執ったルシール・アザリロヴィック監督は、各国の国際映画祭でも注目を集める気鋭のフランス人女性監督。アニエスベーは同作で衣装を担当、2006-07秋冬シーズンから再スタートする子供向けライン「アニエスベーロリータ」のスペシャルラインとして、ワンピースやスカートなど作品をイメージした服をデザインした。日本での旗艦店となるアニエスベー青山店に飾られるのは、人形作家の陽月(Hizuki)さんが制作した、主要登場人物7人の球体間接人形。人形はいずれも、アニエスベーで展開される子ども向けラインと同様の「ミニチュア」衣装を身に付けるという。9月24日まで。
(シブヤ経済新聞9月14日)
★人形作家というと、四谷シモンを真っ先に思い出すが、人形の写真集、持ってたなあ。「球体間接人形」って、言葉の響きが凄い。「エコール」は学校っていう意味だけど、何だか「萌え度」が高そうな映画です。映画のサイトはコチラ

■「穴掘り泥棒」逮捕!ルパン?
地下のカーブの壁から穴を掘って隣の店舗の地下室に侵入、現金や商品を盗んでいた連続窃盗団がこのほどフランスで逮捕された。ジュルナル・ディマンシュ紙によると、犯人はルーマニア人男性3人。パリ市内では今春から同じような手口による空き巣が頻発。菓子店の地下からチョコレート175キロが盗まれる事件もあった。今回捕まったのは飲食店専門のグループで、他にも宝石専門や服飾専門の窃盗団が暗躍中だと言う。
(9月14日、朝日新聞朝刊)

■サルコジ氏、911で事前運動?
サルコジ仏内相が追悼行事で訪米。ブッシュ大統領と会談し、親米振りをアピール。講演では米仏関係の建て直しに言及し、まるで国家元首のように振舞った。野党は「血税を使って渡米し、将来の選挙運動のために要人との写真を残した」と、大統領選の事前運動だと反発。
(9月14日、朝日新聞朝刊)

■隣のドイツの話題。ドイツの学校で制服を導入する動きが広がりつつある。移民の増加などに伴って学校で増える差別や暴力事件を、おそろいの服を着て「連帯感」を高めることで克服しようという狙い。第2次世界大戦時代にナチスが国家への忠誠心を養うためにカギ十字の腕章のついた制服を青少年らに着せ、組織化した経緯がある。いわゆるヒトラー・ユーゲントだ。威圧的な制服姿と一糸乱れぬ隊列はナチス時代の象徴的な光景であり、学校に制服を導入することはナチスを想起させるとして抵抗があったようだ。
(9月14日、朝日新聞朝刊)
★誤解を恐れずに言えば、あまりにヒトラー・ユーゲントの制服がカッコよく、魅惑的だったからだろう。人間は制服と統制に対する危険な欲望を持っている(コスプレの話ではない)。ナチスはそれを熟知していた。それゆえにその後の抵抗感も強かったのだろう。写真を見ると新しい制服はカジュアルなもので、校名が入った体操着のようなもの。私服登校も許されている。制服導入は荒廃した学校を改善する解決策ではなく、新しい学校のあり方を考える議論の糸口であり、連帯意識を作り出す実践のようだ。日本の場合、戦時中と戦後の断絶はなく、軍隊的な規律も学校や体育会系のノリの中に温存された。制服は強制だし、「みんないっしょ」という過剰な同質性がイジメを逆に生み出している。でも昔の黒い詰襟やセーラー服に比べたら、ずいぶんカジュアルになったけれど。夏はプールに通ったが、インストラクターに怒鳴られながら、せっせと水中エアロビクスに励む人たちを見ていると、マスゲームとか抵抗なくやれるんじゃないか思ってしまった。権力への身体の馴化は意外に気持ちのいいことなのだ。

ディープインパクト、凱旋門賞まで秒読み
10月1日にパリ郊外のロンシャン競馬場で行われる欧州競馬の最高峰、凱旋門賞(GI)の前哨戦、フォア賞(GII)が10日、同競馬場の芝2400メートルで行われ、昨年の凱旋門賞馬で今年も本命視されているハリケーンラン(牡4歳、フランス)は2着に敗れた。昨年の米ブリーダーズカップ・ターフ(GI)優勝馬で、同じく凱旋門賞有力馬のシロッコ(牡5歳、フランス)が優勝した。海外のブックメーカーの予想オッズでは、現時点で1番人気がハリケーンラン、2番人気がシロッコで、注目を集める日本のディープインパクト(牡4歳)は3番人気に支持されている。 
(時事通信9月11日)
★凱旋門賞、いつになく盛り上がってますね。ハリケーンやシロッコに飛ばされないように深く芝を踏みしめて走って欲しいですね。

今週の松井大輔:セダン1-2ルマン(ルイ・ドゥゴゲ16日)
ルマンに所属のMF松井大輔は16日、アウエーのセダン戦に後半26分から途中出場。試合は2-1でルマンが勝利し、勝ち点11で暫定4位に浮上した。
(スポーツ報知9月18日)

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posted by cyberbloom at 12:11 | パリ | Comment(1) | TrackBack(1) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。
三日前。妹が「派遣なんてただの人身売買やなぁ〜」と身も蓋も無いことを話していました。
友人たちを見回しても、20代も半ば過ぎ、しかも女性なら9割が非正規雇用。友人が一人、また一人結婚し、つい先週、その二次会に出席したメンバーで人生について延々と二時間語っていた。(少し悲しい)
「再チャレンジ」・・・大きなお世話です。ていうか、散々引っ掻き回しておいて勝手に失敗した事にするなよ!と思うのですが・・・。
Posted by tk at 2006年09月18日 23:55
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Tracked: 2006-09-29 20:59
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