2006年08月27日

週刊フランス情報 21 - 27 AOUT 「子猫殺し」作家、フランス刑法に抵触?

「子猫殺し」直木賞作家、フランス刑法に抵触?
直木賞作家の坂東眞砂子さんが日本経済新聞に寄せたエッセーで、自身の飼い猫が産んだ子猫を殺していることを告白し、波紋を広げている。坂東さんはタヒチ島(南太平洋フランス領ポリネシア)在住で、事実ならフランスの刑法に抵触する可能性もある。坂東さんは「避妊手術も、生まれてすぐの子猫を殺すことも同じことだ」との趣旨の主張をしているが、日本経済新聞社には抗議や非難が殺到、動物保護団体も真相究明を求めている。日本動物愛護協会によると、フランス刑法は犯罪を三つに分類、子猫を殺す行為は、中間の「軽罪」(最高2年の拘禁刑)か、最も軽い「違警罪」(罰金刑)にあたる可能性があるという。坂東さんは日経を通じて「タヒチ島に住んで8年。人も動物も含めた意味で『生』、ひいては『死』を深く考えるようになった。『子猫殺し』はその線上にある。動物にとって生きるとはなにかという姿勢から、私の考えを表明した。人間の生、豊穣性にも通じ、生きる意味が不明になりつつある現代社会にとって、大きな問題だと考えているからだ」とのコメントを寄せた。
(毎日新聞8月24日)
★ネット上では「きっこのブログ」が批判の先鋒に立っていた。問題は、坂東さんが自分がどういう立場にあり、どういう立場の人々に語っているのか、全く考えていないってこと。具体的には、自然豊かなタヒチから、日経の読者に向けて語られているわけだが、日経の読者の大半は日本の都市部の住人だろう。つまり環境破壊の進み、自然が失われた狭い日本で暮らし、殺伐とした日常の癒しのためにネコを飼っている。そういう人たちに向かって、南太平洋の楽園で印税暮らしの作家が「子猫殺しの話」をしても共感は得られないだろう。何よりも作家が語る立場性に全く説得力がない。これじゃ、コノテーションとして「自分はあんたたちとは違って、自然豊かな良い環境に住んでいる」という自慢話をしているにすぎない。確かに現代社会は「生の根源」の体験が徹底的に排除されている。坂東さんの言っていることは「ある条件のもとでは」間違ってはいない。一昔前だったら、日本でも間引きは公然と行われていただろう。しかし、「全く別の条件のもと」でネコを飼っている人たちに対して、それが普遍的な真理であるかのように言い放つことに何か意味があるのだろうか。日本の都市部での「生死の意味」はタヒチのものとは全く違うのだ。そういう条件を考えるセンシビリティが全く欠けている。この件だけでなく、自分の語る立場を括弧に入れて、それがバレバレにも関わらず何か気の利いたことを言っているつもりになっている作家とか学者と呼ばれる人たちの言動が近頃目につく。上からものを言ってりゃ、下のものがありがたく聞いている、という時代は終わった。語る立場や条件をはっきりさせ、コンセンサスを得る土台からまず作っていかなきゃ何も分かり合えないし、共感も生まれない。この事件は上から一方的に問題を投げかける、新聞というメディアの限界を示したとも言える。日経の腰の引けた対応と沈黙する作家とは対照的に、ブログでの議論の盛り上がりは凄かった。「コンセンサスを得る土台作り」という意味でも、ブログの方が「現在の問題」に対してはるかに適応性があるメディアであることが証明された。やっぱ、ブログだね。

仏、暫定軍に増派、安全確保で2000人へ拡大 
フランスのシラク大統領は24日夜、テレビ・ラジオ演説で、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)への派遣について「レバノン南部に計2000人を派遣する」と述べ、仏軍の拡大を発表した。フランスはこれまで増派の人員は工兵隊200人にとどめていたが、積極的に展開する方針に切り替えた。イタリアのプローディ首相が24日、ブッシュ米大統領と電話協議を行い、イタリアが指揮を引き受ける用意があると明らかにしたこともフランスの対応を刺激したとみられる。
(産経新聞8月25日)

モテ言語No.2はフランス語!
ORICON STYLEでは、「どんな言葉を話す異性に惹かれるか」という観点でのリサーチを実施。1位は予想通りの「英語」だったが、2位は意外にも「フランス語」。
(オリコン8月24日)
★実用ということではなく、「モテる」ことが基準だとこうなるのか。いくらモテててもオマンマは食えないしなあ。

在仏日本大使館が日本の歴史問題を扱ったドキュメンタリーにクレーム
1ヶ月半前から、在仏日本大使館がフランスのテレビ局「フランス5」(国営の教育テレビ)に、日本のドキュメンタリー「過去の影 les ombres du passé 」(すでに別のテレビ局で放送済)の放送を取りやめるよう、「最も控えめなやり方 de la façon la plus discrete 」で申し入れていた。日本の外交官は何度かテレビ局に電話を入れ、電話だけでなく手紙も出した。手紙では、竹島を巡る論争、靖国問題、歴史教科書問題に関してドキュメンタリーの内容に事実誤認があることを指摘。「フランス5」は日本大使館からそのような問題提起があったことを認めたが、ドキュメンタリーの作者と話し合って解決したと言っている。結局、ドキュメンタリーは予定通り8月18日に放送された。
(リベラシオン、8月22日)
★日本では全く話題にならなかったが、「仏メディアが誤った日本報道−大使館が抗議」と産経新聞(web版8月23日)が取り上げている。産経はドキュメンタリーが「日本で軍国主義が復活しているような印象を与える構成」になっていると書いている。産経の記事を読むと何か日本大使館が猛烈に抗議したような印象を受けるが、実際は「最も控えめなやり方」だったようだ。ドキュメンタリーの内容を見てないので何とも言えないが、せっかく抗議してるんだから日本大使館はこっそりやらずにもっと堂々と目立つようにやればいのに。全然ニュースになっていない。

今週の松井大輔:ル・マン3−2バランシエンヌ(ル・マン21日)
ル・マンはバランシエンヌと対戦し、3−2で逆転勝ち。2勝1分けの勝ち点7で暫定2位に浮上した。MF松井は2戦連続でフル出場。厳しいマークに遭いながらも積極的なプレーで満員の観客を魅了。次節は27日にアウエーでマルセイユと対戦
(スポーツニッポン8月21日)
松井大輔公式サイト


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posted by cyberbloom at 22:22 | パリ ☀ | Comment(2) | TrackBack(7) | 週刊フランス情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、TBとコメントありがとうございます。
確かに、自然豊かなタヒチから、子猫殺しの正当性を説いても説得力ないです。この真っ当な指摘は、大変参考になりましたので、コメント欄ですが、いち早く引用させて頂きました。ありがとうございます。

ジダン選手の頭突き問題あたりから、何度も楽しく拝見させて頂いています。これからも宜しくお願いします。
Posted by 春霞 at 2006年08月29日 00:10
管理人様初めまして!坂東眞砂子氏のエッセイや行動は異常ですが、やっていいこと悪いことをいろいろ考えさせられました。
怖いですねー!

猫かわいいですよ!
Posted by SASKI at 2006年08月29日 17:07
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