2006年08月16日

アルベルト・ジャコメッティ展

hommetraversant01.jpg兵庫県立美術館で「アルベルト・ジャコメッティ展」が開催されている。去年の目玉は同美術館での「ギュスターブ・モロー展」で、学生も大勢見に行ってレポートを書いてくれた。このあと、神戸市立博物館では「オルセー美術館展」(9月29日から)が控えている。関西だけでも、毎年、フランス系の充実した美術展をいくつも見ることができる。

ジャコメッティ。スイス生まれの彫刻家で、フランスで主に活躍した。戦前のキュビスムやシュルレアリスムの芸術家たちと親交があり、影響を受ける。しかし、何よりも、主として戦後に制作された、限界にまで肉をそぎ落とした細長い立像が印象的である。

展覧会では、1956年から1961年にかけてパリで過ごし、ジャコメッティのモデルをつとめた日本人の哲学者、矢内原伊作にもスポットが当てられている。矢内原をモデルにした作品や、彼の手許に残された作品、手紙や写真などの資料も展示されている。

フランスの実存主義の哲学者、サルトルは、ジャコメッティの人物像を「現代における人間の実存を表現した」として高く評価した。矢内原の顔を「物であることを拒否している」と言ったジャコメッティのコメントもサルトルっぽい。私はこういう芸術が何かの反映だという話がめっきり苦手になってしまって、むしろ、プリミティブ・アートの影響とか、古代イタリアのエトルリア文明の細長く引き伸ばされた人物彫刻との関連とか、そういう造形や模倣レベルの話の方に興味がある。ジャコメッティは何よりも造形と質感のインパクトだと思う。

しかし、ジャコメッティの場合、サルトルの評価や矢内原との交流を初めとして、彼の周囲には様々なストーリーが交錯している。それらを紐解く楽しみについては、PSTさんが書いてくれるものと勝手に期待しているのだが。

とりあえずは関連本を2冊。展覧会に行く前に読んでおきたい。

■「ジャコメッティ」矢内原伊作:矢内原とジャコメッティとの対話の忠実な記録。
■「エクリ」ジャコメッティ:ジャコメッティの言葉を集めた決定版。テクスト30篇、未発表断片90篇、対話7篇。ミシェル・レリスとジャック・デュパンの序文つき。

□EXPOSITION INFO:「アルベルト・ジャコメッティ展」
兵庫県立美術館 2006年8月8日−10月1日
詳細はコチラ


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posted by cyberbloom at 00:01 | パリ ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | 美術館&美術展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とりあえず、見に行ってきます。
では!
Posted by Pst at 2006年08月16日 07:20
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