2006年07月28日

「オリーブ」世代

olive01.jpgFBNを読んでおられる学生の方々は「オリーブ」という雑誌のことを知って、あるいは覚えておられるのでしょうか。この雑誌はマガジンハウスから、当初同出版社から刊行されていた「ポパイ」の妹版という名目で、おそらく10代後半の女の子たちをターゲットに1982年に創刊されました。翌83年に大幅リニューアルされ、その後展開された独自の世界観は一部の少女たちに熱烈に受け入れられました。

正直言うと私は友人が買う「オリーブ」を借りて読んだり、興味のある号だけ買ったりする程度で熱心な読者とはいえませんでしたが、それでも「ティーン」とは言えない世代になってもよく手に取って読んでいたし、お気に入りの号は今でも捨てきれずに置いてあったりするのを考えると、やっぱり特別な雑誌だったのかなあと思います。

「オリーブ」を読み解くキーワードのひとつに「リセエンヌ」というのがあります。これはフランス語の lycéenne つまり「女子高生」のこと。センスのいいインテリアや雑貨に囲まれて、おしゃれを楽しみ、素敵な男の子と恋をする。だけどそれだけじゃなくて、映画を見たり本を読んだり美術館へ行ったり自分を知的に磨くのも忘れない。そんなフランスの女子高生のライフスタイルをお手本に!というメッセージは雑誌のいたる所から発せられているのでした。もちろんこの女子高生のイメージは虚構のものだと言ってしまえばそれまでですが、「オリーブ」製のリセエンヌ像をしっかりと刷り込まれ、あこがれの国フランスに思いを馳せていた「オリーブ少女」たちは少なくなかったでしょう。

例えば今手元にある「オリーブ」355号(1997年11月3日号)を開いてみると、「ときめく! ロンドン」や「コートの季節がやってきた」などはまだしも、「自分を見つける本の旅 太宰治と三島由紀夫のすすめ」だの、カジ・ヒデキ、サニーデイ・サービス、中村一義、山崎まさよしなどを取りあげた「おれたちゃ天才? ミュージシャン」だのといった特集のタイトルを見れば、他のティーン向け雑誌とは一線を画していたことは歴然としていますね。

その特異性のため発行部数が伸びなかったのでしょうか、再々度リニューアルされたもののこの雑誌は2003年に休刊することになりました。もはや定期刊行物として見られないのは残念ですが、それでも「オリーブ」は時おり「特別編集」という形で本屋に姿を現していて、さすがに「リセエンヌ」という言葉は見られませんが、相変わらずのマイペースぶりを披露してくれています。そのほか「オリーブ」の精神は少々形を変えて、同じマガジンハウスから出版されている「クウネル」などの雑誌に受け継がれているように思います。

「オリーブ」全盛期の80-90年代の読者たちは、おそらく今では20代後半から30代ぐらいでしょう。彼女たちはちょうど今ブログ活動の中心世代にあたるのではないかと思われます。実際かつて「オリーブ少女」だったと思われる女性たちは高感度なウェブサイトやブログを運営していることも多く、彼女たちの視点のするどさや知的好奇心の旺盛さに私もしばしば発奮させられます。


exquise@extra ordinary #2

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posted by cyberbloom at 07:49 | パリ | Comment(0) | TrackBack(1) | ファッション+モード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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