2006年07月15日

フランスの建築(2)−ノルマンディー橋

pontnormandie01.jpg以前、ドーヴィルに競馬を見にいったあと、オンフルール経由でパリに戻った。その際に、セーヌ川河口にかかる「ノルマンディー橋」を渡った。これもまた空に向かって羽ばたくような美しいデザインの橋だった。ノルマンディー橋は、無中継の支間長が856mあり、斜張橋の世界記録を更新した。その後、1998年に日本のしまなみ海道「多々羅大橋」(全長1480m)が完成し、2位に転落してしまったが、多田羅大橋とノルマンディー橋は世界第一、第二の斜張橋ということで、姉妹橋となった。めでたし、めでたし。

pontnormandie02.jpgこの橋が架かる周辺は「印象派発祥の地」と言われ、18世紀以来多くの芸術家たちが、オンフルールやノルマンディー地方に集った。「空の巨匠」と呼ばれたブーダンをはじめ、モネ、コローらが、光の効果と、刻々と変化する自然をカンヴァスに捕らえようとした。「印象派」の名を世に知らしめることになったモネの「印象、日の出」は、現在、ノルマンディー橋で結ばれたル・アーヴル港の朝焼けを描いたもの。印象派の画家たちの目には、自然を切り裂くようなデザインのノルマンディー橋はどう映るだろうか。

印象派の画家たちは当時の先端技術であった機関車や、先端建築であった駅、鉄橋、列車の発着場なんかもよく描いていた。エッフェル塔も、新しい絵画を切り開いていこうとした画家たちにインスピレーションを与えた。駅や鉄橋は自然の一部として風景に溶け込んだり、光の具合によって姿を変える自然の反映として描けるが、ノルマンディ橋やミヨー高架橋のデジタルなデザインは反自然というか、むしろ宇宙的。だから何もない空がいちばん似合うのだ。




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posted by cyberbloom at 08:02 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | バーチャル・バカンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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