2006年07月12日

フランスの建築(1)−ミヨー高架橋

maillau01.jpg2004年12月、フランス南部のタルン渓谷に、世界で一番高い橋「ミヨー高架橋」が完成した。高さはパリのエッフェル塔をはるかに凌ぐ343メートル。デザインや施工方法も周囲の環境に十分配慮され、地域住民も納得。全長は2460m。資金は民間から調達され、総事業費は3億1000万ユーロ(418億5000万円)。38カ月という短い工期で建設された。コンペで選ばれた英国の建築家、ノーマン・フォスター卿によるデザイン。

ギュスターブ・エッフェルは橋の建築家でもあった。誰もが知っているパリのエッフェル塔を建てる5年前に、南フランスの谷にガラビ橋という長い橋を架けている。それをぐいっと垂直にしたのがエッフェル塔だったのだ。つまりエッフェル塔は天と地に架けられた橋というわけだが、そうだとすると、基本的にはゴシック建築なんかと同じ欲望を持つことになる。しかし、ミヨー高架橋は私たちの上昇志向をなぞらない、ひたすら天上に架かる、天上の建築だ。

millau02.jpg早朝に雲海が発生したときは橋脚部が隠れ、まるで雲の上をドライブしているよう。この光景と浮遊感にはデジャヴュを覚える。雲の上の建築−おそらく小さいころに読んだ御伽噺(あるいはサイケ文化)が頻繁に取り上げたモチーフだ。この現実化のインパクトは大きい。

ミヨーはタルン渓谷の美しさと中世を思わせる風景で知られるが、その厳しい地形ゆえに、パリから地中海へ南下する途中の交通の難所だった。橋の完成によってバカンス・シーズンの渋滞が緩和され、パリ〜バルセロナ間は45分短縮された。通行料金は夏のシーズン中が普通車6.5ユーロ(約900円)、二輪車が3.2ユーロ(約450円)。日本で同じものを造ったらいくら徴収されるだろう。




cyberbloom

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posted by cyberbloom at 14:42 | パリ | Comment(0) | TrackBack(0) | バーチャル・バカンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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