音楽と言語の関係はいつも重大なテーマだ。日本でも、ロックは英語で歌うべきか、日本語で歌うべきかという論争がかつてあった。強いアクセントを持つ英語をベースに生まれたロックは果たして日本語に合うのか。英語派は内田裕也(本木雅弘の義父)、日本語派は「はっぴいえんど」(細野晴臣、大滝詠一らが在籍)。その折り合いをつけたのがサザン・オールスターズだと言われている。つまり英語のように日本語で歌うというやり方だ。
フレンチ・ウィスパーと言われるように、怒鳴ったり、叫んだりするよりも、フランス語は淡々と囁くように歌うのがいいようだ。AUTOUR DE LUCIE はフランス語で歌っていることにあまり違和感がない。それは歌い方のせいなのだろう。

AUTOUR DE LUCIEは、女性ボーカルのヴァレリー・ルリヨが唯一の固定メンバー。彼女は曲も書いている。AUTOURは意外にもアメリカで受けが良く、1994年に出たファースト・アルバム L’ECHAPEE BELLE はフランスのグループとしては例外的に1年間で15000枚を売った。このアルバムは1995年に日本でも発売され、フランスよりむしろ外国で支持された。アメリカでのツアーは最初のうちフランス語のボーカルが障害になったようだが、コンサートをこなすうちにそれが評価へと変わっていた。アメリカでの成功に気を良くして、彼らはしばらくアメリカに留まって活動するようになる。2枚目 Immobile が出たのは1997年。1枚目以上にポップでメロディアスな作品。これも40000枚のヒット。3枚目のアルバム、Faux Mouvement は2000年の春に発表。これまでのアコースティック路線から大きく変化し、初めてエレクトロニクスを使い、ループやサンプリングによって新たな世界を切り開いた。
いつも授業でかけているのは、ファースト・アルバム(L’ECHAPPEE BELLE)から、L'ACCORD PARFAIT。「完全な調和」という意味だが、男女の関係を音楽になぞらえている。初めの頃、AUTOUR をフランスのカーディガンズと紹介してたのだが、カーディガンズがパッとしなくなったので、「フランスのブリリアント・グリーン」に変更。でも、そちらも最近音沙汰なし。トミー・フェブラリー(最近はヘンブンリーというロック・プロジェクトもあるようだ)の80年代ピコピコサウンドにはやられてしまったが、「ブリリアント・グリーン」とは、女性ボーカル、ギター、ベースという構成も同じだし、ギターの感じがよく似ている。90年代の前半によく聴いていた、ブリティッシュ系のギターバンドの音。系統としては80年代のネオアコにまでさかのぼる。
この手の音を出すフランスのバンドが他にいないわけではないのだが、何せみんな英語で歌っている。国境を越えて成功しているフランスのバンドの多くはやはり英語志向が強い。AUTOUR DE LUCIE のようにフランス語で歌い、かつ質の良いロックというのはなかなか見つからないのだ。
アルバム全体として完成度が高く、しかも聴きやすいのは2枚目の「Immobile」(写真右)かな。個人的にもアルバムを通して聴いていたのはこの作品だ。3枚目はダーク&ダビーで一般受けはしないかもしれない。
ネットが使えるクラスでは「Personne n'est comme toi」(=あなたのような人は誰もいない)のビデオクリップを見ている。4枚目のアルバムからの曲。抑制の効いたギターとタイトなドラム、そしてハモンドオルガンの響きがカッコいい!
■Personne n’est comme toi(Video Clip from Youtube)
■AUTOUR DE LUCIE 公式サイト
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