2006年06月23日

FLOWER BY KENZO

flowerbykenzo01.jpg美は芸術作品の中にあるだけでなく、日常的な光景の中にも散らばっている。それは広告やCMであったり、商品のパッケージだったりする。それは消費へと駆り立てるものにすぎないという批判はあるにせよ、現代都市の殺伐としたハイテクな日常から、一瞬の非日常性へといざなってくれる。過酷な現実があるからこそ、それは鮮烈で深い瞬間になる。咲き乱れる赤い花は、現代の都市空間にうがたれた夢のようだ。まさにそういうイベントが行われた。

2001年5月。パリのポンピドゥーセンター前広場とヴァンドーム広場を2万本のひなげしが埋め尽くした。このイベント、「フラワー・イン・ザ・シティ」の最後には、通行人が一本一本ひなげしを摘み取って持ち帰った。同じイベントがロンドン、ミラノ、モスクワ、香港で行われた。

flowerbykenzo.jpg実は、ひなげしは香水を飾るにはふさわしくない花なのだ。なぜなら、咲き乱れる赤い花から感じる情熱とは裏腹に、ひなげしにはほとんど香りがない。だから、この花から香水の香りをイメージできない。逆に香水によって花は香りを吹き込まれる。そういう手の込んだコンセプチュアルな仕掛けはフランス人の得意技だ。こういう複雑で、矛盾をはらんだイメージ操作を楽しむ感性と余裕が欲しいものだ。

FLOWER BY KENZOのサイトも洗練度が高く、手も込んでいて一見の価値あり。つかみどころのない、不安定で、エフェメラな構成は、香りがなくても楽しめる、視覚化された香りのようだ。

花の成長によりそうような、このシリーズのボトルの形も印象的だが、ひなげしの成長に合わせた3つのサイズがある。そして今回、このコンセプトに触発された3人のアーチストがパッケージのために絵を描き、限定商品として発売中。サイトでも紹介されている。

FLOWER BY KENZO 公式サイト

cyberbloom

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FRENCH BLOOM NET 最新記事「ブロークバック・マウンテン」(06/23)
posted by cyberbloom at 22:46 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ファッション+モード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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