2006年06月12日

「ダヴィンチ・コード」の穴場(2)−サン・シュルピス教会

「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台といえば、まずルーブル美術館だろう。パリのルーブル美術館は先月の19日から、小説と映画の「ダ・ヴィンチ・コード」を追体験しながら同美術館の芸術作品を鑑賞する音声ガイドの貸し出しを始めた。音声ガイドは、映画で警部役を演じるジャン・レノが犯罪現場を案内する形式になっており、「おれの指示がない限り動いちゃいけない」と話し掛ける。ルーブル美術館は入場者数の増加(2005年は750万人に達した!)を「ダ・ヴィンチ・コード」のおかげと認めたくなかったようだが、結局は趨勢に逆らえなかったようだ。経済合理性がすべてに優先するということか。「ダ・ヴィンチ・コード」の人気は周到なマーケティングによるという意見も多い。これもかつての普遍=カトリックに対する、グローバリゼーションの勝利なのかしら。

stsulpice01.jpgところで、「ダ・ヴィンチ・コード」の中で、サン・シュルピス教会−Eglise St-Sulpice−も忘れられない舞台のひとつだ。キーストーンを求めて、修道僧シラスが訪れる場所のひとつになっている。サン・シュルピス教会はブリュージュの大司教、聖シュルピスに捧げるために建てられた教会で、17世紀から断続的に建設が進められてきた。幅58m、奥行き115mと、パリのノートルダムにも匹敵する大きさだが、地味な印象はぬぐえず、私の頭の中では、南スペインの豪華絢爛の大聖堂とは対極にある(ヨーロッパ中の教会やカテドラルを網羅したわけではないが)。

教会の内部がひんやりとしているので、暑い夏の日とか、よく涼みに立ち寄ったものだが、いつも教会の中は閑散としていて、観光客はほとんどいなかった(まだ「ダ・ヴィンチ・コード」が話題になる以前だったので)。あるとき、いきなり大音量のオルガンが響き渡ってびっくりしたことがある。この教会のオルガンは18世紀に作られたヨーロッパでも最大級のもので、数々の有名なレコーディングが行われている。

ローズ・ラインの話にはあまり触れないようにしよう。教会側も「ダ・ヴィンチ・コード」は迷惑だったようで「そんなものありません」と張り紙がしてあったらしい。問題はオベリスクの形をしたグノモン(gnomon)。天文観測器として使用され、日時計の役割も果たす。その足元を走る真鍮でできた子午線は、ローズ・ラインと称するほどの特別なものではないようだ。またローズ・ラインは、19世紀の天文学者、フランソワ・アラゴ(Arago)の名を冠したアラゴ子午線とも無関係。グリニッジ子午線は1884年に世界標準として採択されたが、フランスはずっとアラゴ子午線こそ、世界標準だと反対してきたもの。いかにもフランスらしいエピソードだ。

サン・シュルピスの周辺といえば、フレカジ青少年御用達のアニエス・ベー(本店は右岸)やAPC(リュクサンブール公園の東側の入り口)がある。あと、エルベ・シャプリエとか、思い出すのは、何だか一昔前にもてはやされた感じの店ばかり。教会の広場に面してロラン・バルトが入り浸っていたというカフェがあるが、名前は忘れた。その少し奥、カネット通りに入ると、「のだめカンタービレ」にも登場した、パリで最もピザが美味しいイタリアン・レストラン「サンタ・ルチア」がある。オデオンの方向には、最近、日本にも進出している惣菜・ケーキ屋の「ジェラール・ミュロ」があり、よく買い食いした。無印良品(MUJI)もそこらへんを歩いていたとき、見つけてびっくりして、無意味に買い物してしまった。クレモンティーヌが「EVASION(逃避行)」(LONG COURRIERに収録)という曲の中で「いいお天気、冬は終わったのね、中庭のマロニエが花をつけたわ、サン・シュルピスの鐘の音が聞こえる、ああ、なんて気持ちがいいんでしょう」と歌っていた。彼女は16区にあるアールデコ調の高級アパルトマンで育ったというが、16区までサンシュルピスの鐘の音は聞こえるのかな。

サン・シュルピス教会はドラクロワの壁画があることでも有名だ。ドラクロワの壁画(フレスコ画)は向かって右にある礼拝堂にある。12年の歳月をかけて描いた「ヤコブと天使の戦い」(「出エジプト記」からの題材)。旧約聖書の中でも面白いエピソードのひとつだ。今はすっかり文学から足を洗ってしまったが、かつてボードレールという19世紀の詩人の研究をしていた時期があり、特に絵画論に興味があって、彼と親交のあったドラクロワの作品を一時期集中して見て歩いた。少し離れたサンジェルマン・デ・プレ教会の裏手にドラクロワ美術館がある。ここもパリの穴場的なスポットだ。





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posted by cyberbloom at 21:46 | パリ | Comment(0) | TrackBack(1) | バーチャル・バカンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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