2006年06月05日

『SHOE MAKER』 鳩山郁子

モノを作るってのは、どういうことなんやろ。

最近、家作りの一行程である下地や天井貼りを手伝ったり、知り合いの職人から和菓子作りの手ほどきを受けたりと、理屈より実践という現場に立ち会った。こういう世界では、技ってのはよぅ、頭じゃなくってよぅ、体で覚えるもんでぇ、べらぼうめ、てやんでぃめ、ヘクションてなことをよう聞くんやけど、ご説ごもっともかもしれまへん。

別にハンドメイドをもちあげてるんじゃないんよ。機械による量産品でもいいんやけど、ふと目の前にあるタバコやライターにビアグラス、ちりし、ボールペンなんか見て、いったいこいつら、誰がどこで何をどうした結果、木魚の目の前におるんやろうってね。

小枝2本拾ってお箸にするだけじゃ、野趣溢れるとはいえ手を加えてないから不思議感はそんなにない。文字どおりハダカ一貫でなにからなにまでやってみんしゃいといわれたら、とりあえずイチジクの葉っぱで秘部を隠して、それから呆然とする。万歳しちゃうとモロだしになり行司の木村庄之助が相手に軍配を挙げ木魚に土がつくからだ。そうなると一生こころの傷が残るから困る。

ツタかなんかでヒモ代わりにすればいいのだが、葉っぱとツタを結びつけた段階で、葉っぱとツタでなくなりパンツイッチョコ前というモノができあがるのだろうか。それとも葉っぱをパンツと思った時点で、モノになってしまうのかもしれない。

shoemaker.gif

こんな孤島でひとりでサバイバルな想像はさておき、モノへこだわりだすとモノへのフェチ度が増す。ここでお披露目させてもらうマンガは、釣り話ばっかやとフランスがそっぽ向くんで気がひけること幾星霜、どうしたもんかとうんうんしてたら思いだした一品、鳩山郁子の『SHOE MAKER』(青林工藝舎)であります。

青林工藝舎は一般向けとはピリッとちゃうアングラ風雑誌『ガロ』を出してた青林堂の衣鉢を継ぐ出版社。彼女の作品はこの2つから出ててどの作品も独特の耽美な世界、いろんなモノを鉱物的にこだわっています。新装版を除いていちおう全部楽しませてもらってます。オフィシャルサイトで表紙だけでも出歯亀しちゃってみてくらさい。

その『SHOE MAKER』の「PASSAGE II・薔薇色の本」というお話の舞台がパリ。フレンチにかこつけるにはちぃーと短かすぎる物語で、まいどのことながら強引すぎて気随い(わがまま)者な木魚やけどこらえてくらはい。ある古い本の装幀をめぐって鳩山郁子ならではの詩想が結びつくんがミソやろか。そや難波、じゃなく、そやさかい、木魚の筆では筋をうまく語れませんねん、亀は万年。これもこらえてくんさい。

ほでもね、これ読んでると、昔の本って仮綴じしてるだけで、しかも袋とじでね、読むにはペーパーナイフでいちいちページを切らなあかんし、正味、むき出しのページを束ねただけ、おにぎりやと飯だけのまんま、「ママー、ハダカじゃ嫌」って感じで売ってることがわかるんやわ。そやから海苔まいたらなあかん。仮綴じ本買ったお客さんは本におべべ着せたらんと風邪ひくから、自分好みでやれモロッコ皮にしようか、やれ箔押ししちゃろか、やれへチマやとうんうんする。フェチ度がアップする仕組やね。

papiermarble01.jpg皮や箔押しのお召し物はやっぱ値がはる。そこでリーゾナブルな大理石紙(パピエ・マーブル)を登場人物は選ぶんやけど、ジャストちょっと待ってモーメントプリーズ、それなら木魚も持ってるやん。ゴソゴソゴソ、あったあった。

シリーズものの一冊、色調はおんなじでも一冊ごと柄が微妙に異なってる。サイケやな、ウルトラQちゃんやな。どやって作るんやろ。この手の本はもう買うことないな、財布とのツロクが合わんから。中身だけ読ませてもうたらいいし。でも手ぶらで眺めるだけなら楽しそう。

もし木魚が装幀職人やったらどうするやろ?
そらもちろんイチジクの葉っぱでキメッ。


木魚@無縁仏

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posted by cyberbloom at 19:49 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ+アニメ+BD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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