2006年06月01日

STARFLYER

STARFLYER が、2006年3月16日、新北九州空港のオープンにあわせ就航した。スターフライヤーは北九州市に拠点を置く新しい航空会社。現在の航路は新北九州空港と東京羽田空港の往復のみとしている。何よりも目をひくのは、黒と白というコンセプトカラー。ANA は青、JAL は赤をトレードカラーにしているが、実は白と黒のコントラストほど鮮やかなものはないことを思い知らされる。今のところ世界中どこを探しても、黒を前面に出した航空会社はないようだ。

starflyer01.jpg

白と黒を基調にした機体と内装のデザインは、Posy や Pino(宇多田ヒカルのプロモーションビデオにも使われていた二足歩行のヒューマノイドロボット)などのロボットデザインなどを手掛ける松井龍哉氏が担当。機体デザインだけでなく、会社案内やスターフライヤーのWebサイト構築などのブランド戦略から、チケットセンターやラウンジのデザイン、スタッフの接客態度、果ては社内で使われる文房具や名刺まで、トータルな形で行われている。

機体そのものが、すでにスタイリッシュなデザインの「エアバス A320」が使われている。エアバスといえば、最近、最新鋭機 A380 がお目見えしたところだが、もともとはアメリカのボーイング社やロッキード社に対抗するために、仏独の共同出資で作られた会社。それに英、西も加わり、4カ国体制で運営されている。

エアバスはともかく、フランスと何の関係が?と思われるかもしれないが、松井氏は96年から、フランスに留学し、Ecole nationale supérieure de création industrielle(フランス国立高等工業大学大学院?)で3年間学んだ経験を持つ。フランスのデザイン業界のことはよく知らないのだが、彼のインタビューが面白かったので紹介する。2001年9月1日付けの少し古いものだが。

「フランスに留学されてたんですか?」
「96年から3年間です」
「大きな影響を受けましたか?」
「ええ。若い内にああいうところで本物を見ると、後の作品作りや人生観が全然変わりますね」
「アートに関してパリという街ほど、エキサイティングな所はないですからね。恐らくアーティストが一番偉そうに出来る街じゃないかな(笑)」
「日本で“デザイナー”とか言うと、この人、霞食べて生きてるのかな、なんて思われるでしょ(笑)。でもそんな馬鹿げた話はなくて、人間にとって最も重要な感性や、感じること、美しいものを追い求めるという気持ち、は生命力が強いという証明なんですよ。最も人間らしい行為なんです。それを堂々と言える場所がパリです。自分はアーティストだと言うと、この人は人として正しいんだ、というインタラクションが出来るんです。それは伝統とも言えるけど、そこに流れているミームですよね」
「ところでパリでは何を勉強したんですか?」
「コンピューターと芸術の関わり合いです」
「インタラクティブ・アートというものですね。かみ砕いて言うと、相互性ということだから、何かモチーフをコンピューターに与えて、それと他者とがどう関わっていくかということですか?」
「はい。インタラクティブ・アートを研究できる大学院があるんです。パリって凄く面白くて、マルチメディアが出てきた時にいち早く国立でアートとして勉強させる学校を作ったんですよ。僕がいた国立の工業大学もそうです。国が文化としてコンピューターを認めてるんです。アメリカはビジネスとして利用しようとするんですけど、フランスはアートの為に積極的でした。あとはアートの保存ですね。すぐにルーブル美術館のCD-ROMやwebサイトを作るとか。文化的な遺産が山のようにあるから、そういうものをきちんとデジタライズしてアーカイブしておくということを、国が先導してやってるんです」

posy01.jpgこれから留学しようと思っているアート系や工学系の人は参考になるかもしれない。アメリカではウェブをビジネスに結び付けようとし、フランスではアートに結び付けようとする、という話は納得できる。フランスは蓄積されたアート作品のアーカイブ化にも熱心で、「ダ・ヴィンチ・コード」でも注目を集めているルーブル美術館のサイトなんて目を見張るものがある。今月掲載された最新のインタビューで松井氏はロボット Posy に関して、こんなことも言ってます。

「Posyは一つの役割を明確にしていて、2030年くらいでできたらいいと思ってるんですが、パリのオペラ座で、世界最高峰のバレリーナと一緒に踊ると」
「2030年にオペラ座で!」
「目標にしていますね。夢というのは、期間限定でなければリアリティを増さないと思うんですね。僕は60歳くらいになってるので、デザイナーとしてはそこまでに一つ傑作みたいなものを作りたいな、と」

SKYFLYER にも乗ってみたいけど、ロボットとプリマドンナの共演も見てみたい。目が離せないデザイナーです。今月の「ELLE DECO」でも特集が組まれていました。SKYFLYER の写真がきれいでしたよ。

■STARFLYERのオフィシャルサイトはこちら




cyberbloom

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posted by cyberbloom at 21:15 | パリ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ART+DESIGN | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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