2006年04月30日

新作DVD情報「5×2 ふたりの5つの分かれ路」

フランソワ・オゾン François Ozon は、おそらく現在フランスで最も意欲的に活動している映画監督のひとりといえるでしょう。1990年前後から映画制作にたずさわってきた彼は、これまでに数々の話題作・問題作を発表し、時として過激すぎるその内容は物議をかもす事もたびたび。そのオゾン監督が2003年に撮影し、その年のカンヌ映画祭にも出品されたこの「5×2」 は、たしかに衝撃的なところもありますが、全体的に淡々と落ち着いていて、大人っぽい映画に仕上がっています。

ジルとマリオンという男女の出会い、結婚、出産、破綻の予兆、離婚を描いた物語というと、あまりにもありふれたテーマですが、この作品ではその出来事が逆戻りに配置されて展開していきます。その手法すらも今では珍しくないとはいえ、余計なものが極力そぎ落とされたシンプルな映像で冷めた視線で語られると、そこにはオゾン監督独特の空気が漂います。

5つのエピソードは、それぞれの出来事の全体ではなく断片が語られ、それも謎めいた部分を残しながら次へと続いていくので、何が起こったのか、あるいは起ころうとしているのかは明確にされません。けれどもふたりの関係の微妙な変化がさまざまな形で暗示されていて、各挿話の合間に何があったのか、「映画では語られていないこと」について私たちにいろいろ考えさせる作りになっています。ふたりが出会ってこれから恋が始まりそうな瞬間に映画が終了することで、ハッピーエンドを迎えたような錯覚に陥る構成にも、観る側への意図的な揺さぶりを感じます。この点で「5×2」は、映像をただ与えられるばかりで受け身になりがちな観客を、積極的に作品に関わらせようとする映画であるともいえるでしょう。

ふたりを演じる俳優もすばらしく、とりわけマリオン役のヴァレリア・ブルーニ・テデスキは微妙な心理の変化を自然かつ繊細に表現しています。2番目のエピソードで、ジルが兄たちを前にショッキングな告白をする場面で、最初は平気な顔をしていたマリオンが次第に変化して行く様子は絶妙です。

ふたりの5つの分かれ路
メディアファクトリー (2006/02/24)



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posted by cyberbloom at 23:31 | パリ ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | フランス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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