2006年04月27日

祐天寺りえ『フランスだったら産めると思った』

umerutoomotta01.jpgEU加盟国の中で、フランスがアイルランドについで高い出生率をマークしたことが去年報じられていた。女性1人あたり1・9人。政府の手厚い育児支援と、子育てをしながら働ける環境作りが、出生率を押し上げる結果になったようだ。

フランスでは子供2人目から「家族手当 allocation familiale」が支給される(収入制限なし)。2005年1月からの規定では、2人目の子供が生まれると月1万6000円(2005年〜)、3人目で月3万6千円が家族に支給され、1人増えると2万円ずつ加算さる。また、11歳を超えると、1人あたり月4500円、さらに16歳を超えると8000円UP。その他、乳幼児手当、新学期手当、片親手当、家事代行格安派遣など、ここまでやるか、というほどの充実ぶり。そう言えば、子供が5人いるフランス人の知り合いのおじさんは、「多産割引」証を持ってて、運賃や展覧会の入場料が割引になるって言ってたなあ。

女性1人あたり子供1・3人の日本は真剣に見習いたいところ。うちには子供がひとりいて、月5000円支給されていますが、あまりもらってる気にならない。今年に入って、政府が育児手当制度を新設する方向で検討に入ったようだ。手当は1万5000円。しかし、何と3歳まで。うちの子は関係ないじゃないかよ!やることが中途半端なんだよ!(マジギレ)

ここでお薦めしたいのが、祐天寺りえ著『フランスだったら産めると思った』(原書房 2002年)。フランスに住むことになった日本人の女性の視点からフランスの子育て事情について書いている。これからはどんな家族のあり方が望ましいのか、具体的にイメージできる本だ。

総務省の社会生活基本調査によると、働きに対して賃金が支払われる有償労働と、家事、育児、介護といった家族のための無償労働の割合は、日本の男性は12対1。先進国の男性は、オランダが1対1、ドイツ、アメリカ、フランスは3対2。マッチョな国といわれるイタリアでも4対1だ。いかに日本の男性が仕事に明け暮れ、家庭を顧みない、いびつな生活をしてきたか、よくわかる数字だ。そうやって日本の男性はホモソーシャルな世界(会社の人間関係のような男だけの付き合い)を最優先して、自らを家庭から疎外してきたわけだ。雇用の流動化が進行している現在、「仕事人間」というアイデンティティーが根底から揺らぐわ、リストラされたら帰る場所がないわ、定年まで勤め上げたと思ったら「熟年離婚」されるわで、自殺するしかないような状況に追い込まれている。少子化の問題は、日本の男性の生き方そのものを問い直すきっかけにもなるだろう。




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posted by cyberbloom at 22:06 | パリ ☁ | Comment(1) | TrackBack(1) | 子育て+少子化対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントつける前にTB失礼いたしました。TBありがとうございました。本当にフランスの制度は充実してますよね。日本も選挙対策だけでなく、長期的に本腰を入れてやって欲しいです。『フランスだったら産めると思った』は、一時帰国したらぜひ読んでみたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
Posted by みほっち at 2006年11月08日 16:52
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